今日は都議会議員の音喜多駿さんのブログからインスパイアされてブログを書きます。多摩市といえば国内最大規模のニュータウンがある街。多摩ニュータウンといえば”公営住宅”(開発主体は都市再生機構、東京都、住宅供給公社)。
都内空き家戸数75万の現代に都営住宅新設は”民業圧迫”
都営住宅の倍率、数百倍。一方、都内の空家は75万戸以上… | みんなの党 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト
まず直近の都営住宅の応募倍率ですが、
- 平成26年2月の単身者向の募集倍率 → 54倍(募集戸数:217、申込者数:11,711)
- 平成25年11月の一般世帯向の募集倍率 → 28.5倍(募集戸数:1,500、申込者数:42,781)
東京都では都営住宅の新設を停止していることもあり、入居倍率はこのようにすごい数字になります。
だからといって都営住宅を新設・拡大しようとするのは短絡的と言えます。
なぜなら都内には75万戸の空き家が存在するからです。
- 賃貸用の住宅の空き家戸数 → 49万
- その他の住宅の空き家戸数 → 19万
- 売却用の住宅の空き家戸数 → 5万
- 二次的住宅の空き家戸数 → 2万
平成20年度時点の調査によると東京都内にある空家は75万戸で、さらに増加傾向にあります。
このような状況で都営住宅を増やしていくことは、
単なる民業の圧迫に他なりません。
そう。民間の新築物件が毎年100万戸近く未だに建設されている現代に、行政までもが新築の公営住宅を建設することはあまりにも近視眼的で10年後・20年後の未来への想像を欠いています。
3月は19カ月ぶり減少 新設住宅着工戸数 13年度は4年連続増 - MSN産経ニュース
日本はこれから人口減少社会へと向かい、民間アパートの空室率も高くなっています。そんななかで自治体が住宅を大量供給するのでは民業圧迫そのものです。社会全体で住宅が余っているのだから、公営住宅は減らしていくべきです。
都営住宅のデメリット
音喜多さんのブログをまとめると、都営住宅のデメリットは、
- 住人の流動性が低い → 一度入居した人がそのままずっと都営住宅に住み続ける
- 本来住居支援を行うべき若年層にパイが行き渡らない → 都営住宅は高齢者ばかりに
- 長く住んだ人たちの閉鎖的なローカルルールが新しい入居者に対する壁になることも
「住宅バウチャー」の導入で民間賃貸住宅市場の拡大と行政の効率化を実現!
とはいえ住宅の公的支援は必要不可欠であるため、上記の課題と同時に解決するための方法として音喜多さんは「住宅バウチャー」(家賃にのみ利用できるクーポンを所得に応じて支給すること)を提案されています。
ただし、住宅バウチャーの実現には細かい制度設計が必要不可欠のようです。予算規模や予想される効果、単純に空き家を公営住宅にすれば問題は解決するのかなどなど・・・。
都営住宅の倍率、数百倍。一方、都内の空家は75万戸以上... | おときた駿
住宅バウチャーについては今年2月の都知事選で家入一真さんがツイッターやフェイスブックで集めたアイデアを元につくった政策の中にも含まれています。
家入一真(いえいりかずま)東京都知事選立候補者 120政策決定
「住宅バウチャー」だったり「家賃補助」だったり、現物給付よりも現金給付というのが人口減少・低成長時代の住宅政策にマッチしていると思います。不動産市場に出ている空き家と出ていない空き家の中で公営住宅として転用できる空き家を増やして、住宅バウチャーの使い道が増えれば、民間賃貸住宅事業者の量的・質的な充実と住宅困窮者の選択肢が増えることで満足アップにつなげることが出来るかなと思います。
今後はますます空き家が増えていくのですから、自治体が公営住宅を運営するのをやめて低所得者向けの家賃補助に切り替えた方がずっと効率的です。公営住宅から退去させるのは困難でも、じゅうぶんな収入や資産があることが判明した利用者への補助を打ち切るのはかんたんです。これで限られた予算をより有効に使うことができるようになります。
*1:統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020103