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空き家を活用して新しい価値をつくる

”空き家を単身・低所得高齢者のケア付き住まいに”医療・介護が必要になっても安心して暮らせる「住まい」を実現する【NPO法人自立支援センターふるさとの会】(空き家活用事例紹介)

団塊の世代がすべて75歳になる2025年

 

都市部では、医療や介護のニーズが高い75歳以上の高齢者が2025年にかけて急増します。東京都は現在の1.6倍の197万人に。神奈川県でも1.9倍の148万人。埼玉県は2倍の117万人になります。必然的に医療や介護などのサービスを量的にも質的にも充実させていかなければなりません。

 

日本は世界のどの国も経験したことのない高齢社会を迎えている

 

日本の高齢化率は25.1%(2013年10月1日現在)。前年より1%上昇。これは世界的に見てもずば抜けて高い割合です。一方、生産年齢人口率は62.1%。前年より0.8%減少。つまり日本は働く人よりも支えられる人が多くなる状況である人口オーナス期をひた走っています。

平成26年版高齢社会白書(概要版)(PDF形式) - 内閣府

 

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画像引用元)日本は「課題先進国」。

 

高齢者の5、6人に1人は一人暮らし

 

さらに「単身(一人暮らし)」の高齢者が増加傾向です。2010年には男性11.1%、女性20.3%。今後も増加傾向です。

 

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画像引用元)単身世帯の増加。

 

急増する単身・低所得高齢者を支える「NPO法人自立支援センターふるさとの会」

 

前置きが長くなりましたが、単身でなおかつ医療や介護を必要とする高齢者をどう支えていくのかが今後ますます問題になってきます。特に都市部では孤立や貧困の問題を抱える高齢者も多く、在宅生活が困難になりがちです。しかし地価が高いため特別擁護老人ホームなどの施設整備率は低く、増設も容易ではありません

 

そこで「NPO法人自立支援センターふるさとの会」による「空き家を活用して生活支援サービスと組み合わせて低所得の単身高齢者向けの住まいを確保する取組」が注目されています。

 

具体的には、低所得の高齢者が民間アパートに入居できるよう、関連会社を通じて家賃支払いを保障して入居を後押しします。併せて、安否確認や介護サービス利用の手助けなどの生活支援も行っています。

NPO自立支援センターふるさとの会

月刊誌「WAM」2014年6月号に記事掲載
「空き家を活用した低所得高齢者住宅の試み」

 

東京都23区を中心に33箇所の事業所を展開

 

現在は、東京都台東区・墨田区・荒川区・豊島区・新宿区で第二種社会福祉事業宿泊所、自立援助ホーム、都市型軽費老人ホーム、サポートセンターなど33箇所の事業所を展開しています。利用者(2013年11月現在)は1238人(独居830人、共居408人)で、このうち65歳以上が587人(47.4%)、身体・知的・精神いずれかの障害があったり認知症、がん等を患う人は延べ889人にものぼっています。

月刊誌「WAM」2014年6月号に記事掲載
「空き家を活用した低所得高齢者住宅の試み

 

元々はホームレス支援活動からスタートした

 

もともとは1990年にホームレス支援活動からスタートしたそうです。その後、1995年から共同リビング等の居場所作りに取り組むようになったことから「住まいの確保」の必要性を感じるようになり、1999年に空き家だった一軒家を借り、共同生活のできる宿泊所を作りました。

 

そして介護が必要な認知症高齢者もいたことから2001年から介護事業にも取り組み始めました。さらに2007年には民間アパートに住めるように、「株式会社ふるさと」を設立して建物清掃・ケア付き保証人事業を始めました。

月刊誌「WAM」2014年6月号に記事掲載
「空き家を活用した低所得高齢者住宅の試み」

 

オーナーの懸案を解消しケア付き住まいとして空き家活用を促進

 

孤独死や認知症による不始末等を心配し、高齢者に所有物件を貸す事にオーナーが躊躇することも多いそうです。そこでNPO法人ふるさとの会が間に入り、職員の巡回と家賃保証を行うことでオーナーとの信頼関係を築き、連携できるようにしています。ふるさとの会のような「中間支援NPO」の存在が大きな力になっています。

 

居住空間だけでなくカフェもオープン

 

新宿区の大久保地区には「まちカフェふるさと」というカフェもあります。このカフェは2013年1月に、ビルの空きスペースを利用しオープンしたそうです。 居住空間だけでなく、ざっくばらんに話ができるスペースも提供しています。

5月15日 公明新聞に記事掲載
「空き家活用し支援 施設不足が深刻な都心に支援付住宅、カフェを整備」

 

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(画像引用元:NPO法人自立支援センターふるさとの会パンフレットから)

 

待機高齢者解消のために空き家活用を

 

待機児童ならぬ、特別擁護老人ホームに入所できていない”待機高齢者”は2013年度は52万人に上ります。前回調査の2009年度から4年間で約10万人、24%増えました。

特養待機52万人、4年で10万人増 厚労省調査日本経済新聞2014/3/25

 

全国の空き家757万戸。都内で75万戸。特養のような大規模施設でなくても、地域に点在する空き家を活用することで待機高齢者解消と空き家解消と一石二鳥です。そのためには「ふるさとの会」のような中間支援NPOの存在が必要です。

 

関連ウェブサイトはこちら。

NPO法人自立支援センターふるさとの会