マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

「空き家データベース」の作成を個人レベルで出来るかどうか

今後、全国の市町村で「空き家データベース」を整備するニーズが高まる

 

秋の臨時国会に提出される「空き家対策特別措置法案」の内容を見てみると、市町村が空き家の情報を一元化したデータベース(DB)の整備を行うことを努力義務としています。

 

空き家等対策の推進に関する特別措置法案要綱

第11条

 市町村は、空家等(建築物を販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理されているものに限る。)を除く。以下第13までにおいて同じ。)に関するデータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるよう務めるものとすること。

鹿児島3区・衆議院議員 | 宮路和明 公式サイト | みやじ和明 国会通信

 

この条文を読むと自治体の「空き家データベース」の対象となる空き家は”販売や賃貸も出来ない管理不十分な老朽・劣化した空き家”ということになると思います。つまり、防災・衛生・景観など地域住民の生活環境に悪影響を及ぼす(または、及ぼしがちな)空き家の数や状態、位置を把握することに意義があるように思います。

 

あと気になるのがこの空き家データベースの整備は”努力義務”(”義務”ではないので「整備するように努めています」と言っていればぶっちゃけ整備しなくても法令違反ではない)なので、全国の市町村にどれだけ浸透していくのかは法律が施行してからではないとわかりません。

 

アクリーグ、老朽化空き家データーベースの作成・空き家管理サービスを自治体から受注

 

8月22日放送のワールドビジネスサテライトは空き家特集(「7戸に1戸・・・空き家をなくせ!」)でした。その中で栃木県小山の地図制作会社「アクリーグ」が空き家の倒壊危険度を5段階で評価しデーターベース化、そして自治体から空き家管理サービスを受注していることが紹介されていました。

 

茨城県桜川市の空き家現地調査の様子です。以下全ての画像はワールドビジネスサテライトさんから引用しています。

 

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窓ガラスの破損具合を見ています。

 

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放置空き家の背景には解体費用が土地の売却費用よりも高くつくことが大きな要因です。老朽空き家を解体した後の土地活用といった問題も出てきます。使い道があれば別ですが、オープンスペースのままにしておくだけでも悪くないと思います。

 

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現地で調査した後は外壁や窓ガラスの破損具合、築年数などを総合的に考慮のうえ危険度を5段階評価し、データベース化していきます。

 

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図面上に空き家の位置をマッピングし、空き家の外観などの状態が蓄積されています。

 

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クリックひとつで空き家の状態や位置がわかります。

 

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料金は自治体の規模によって違いますが、800万〜3,000万円で、この3年間で5つの自治体から空き家管理サービスを受注しているそうです。空き家法案が通れば全国の自治体でこういったデータベースのニーズが高まると思います。

 

個人レベルで空き家データベースの作成は可能か

 

千葉県松戸で空き家を活用してクリエイティブシティをつくる活動をしているまちづクリエイティブ寺井元一さんもおっしゃっているように、一軒一軒しらみつぶしに街を歩き回って(または自転車で走り回って)空き家の位置や状態を把握していくってことは時間とやる気があれば出来る気がします。

 

「放置物件を徹底的に洗いまくりました。町を歩いては、しらみつぶしに空き家や空き店舗を探して地図にマッピング。これはと思った物件については、地元の人たちにオーナーが誰なのか尋ねてまわる――そんな泥臭い作業ですよ」

面倒くさいことを楽しむ? 新旧市民の共創による「クリエイティブな自治区」──MAD City(千葉県松戸市)|あしたのコミュニティーラボ

 

半径500メートル圏内とか地域を絞って、その地域の空き家活用を進めるぞとまずやってみることが出来るかなと思います。あと、一歩進んでグーグルアースオープンデータの有効活用も絡めていくと質の高いデータベースが作れると考えます。

 

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