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空き家を活用して新しい価値をつくる

どこに住もうが、子供を生もうが、個人の勝手!「地方創生」の鍵は空き家活用

「地方創生」とは

 

地方創生」って最近よく聞きます。なんとなく名前がキャッチーなので新鮮な感じがするかもしれませんが、要するに「東京一極集中の是正と地方分散による都市と地方との格差縮小」のことですよね。地方への移住者を増やし、そこで子供を産んで人口増加につなげる、という発想です。政府は年内に具体的な戦略をまとめ来年度から実行に移していく考えです。背景にあるのは今年5月に発表された消滅可能性都市レポートです。2040年までに約1800ある全国の自治体の約半分が消滅する可能性があるというものです。

 

消滅するのは地方ではなく「地方自治体」

 

昨日、実際に話を聞いてきた木下斉さんがこの消滅可能性都市レポートに対して「消滅するのは地方ではなく”地方自治体”だ」「自治体破れて山河あり」と根本的な所を修正されています。

参照1:消滅可能性都市のウソ。消えるのは、地方ではなく「地方自治体」である。

参照2:消滅可能性都市のウソ。消えるのは都市ではなく、地方自治体である。 - Togetterまとめ

 

つまり消滅可能性都市とは、女性が減少し出生数が減少し、人口が1万人を切ると「自治体経営」が成り立たなくなるということです。今のままの自治体が、消滅する可能性があるだけ。そして、このレポートの中に「東京一極集中から地方分散」という過去に何度も叫ばれた言葉が盛り込まれています。

 

「東京一極集中をやめろ」というのも幾度と無く叫ばれた言葉です。都市機能を分散移転するとかアイデアはいくらでも出てきますが、東京から奪うという発想事態がイケてません。地方が伸びて、東京以上に魅力的になる方策を独自に考えるのではなく、東京から何かをぶんどろうという発想です。伝統的な地方分権的発想と同じで、権力を地方に戻すという、小さな箱のなかの争いです。

消滅可能性都市のウソ。消えるのは、地方ではなく「地方自治体」である。

 

自治体の存続のためではなく、個人の幸せのために生活している

 

政府として「地方移住」を積極的に打ち出そうとしていますが、当然ながらどこに住もうが、そして子供を生もうが、各個人や各家庭の選択次第です。魅力的な街には人が集まってきます。

 

「地方に若者が戻るようにせよ」「子供を産めよ増やせよ」といったところで、人々はより好条件の職を求めたり、より良い教育を求めたり、より良い都市生活を求めた上で、東京を選択しているわけです。

消滅可能性都市のウソ。消えるのは、地方ではなく「地方自治体」である。

 

かつて炭坑の街として栄えた夕張市は1964年末には人口10万人を超えていましたが、「石炭から石油へ」というエネルギー政策の転換で炭坑が次々と閉山、1979年に市長に就任した中田鉄治による「炭坑から観光へ」という観光・レクリエーション投資で巨額の負債を抱え市の財政を圧迫、人口はどんどん流出。2007年の財政破綻の頃には約1万人にまで人口減少しています。曖昧な見込みでテーマパークやスキー場、映画館といった維持管理にすごいコストを要する箱モノをたくさん作るだけでは、後世に大きな負担を残すだけであることを夕張市の事例は教えてくれています。

参照:夕張市 - Wikipedia

 

「地方に住もう」ではなく「住みたくなる(住み続けたくなる)地方をつくる」

 

いくら「地方に住もう」と政府が旗降って「移住支援コーディネーター」や「移住情報データベース」などを整備しても、根本的に「住みたくなる街」「住み続けたくなる街」でないと持続していきません。そしてその作り手はその地域に住む人や企業、行政が軸になると思います。

 

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画像引用元

 

「地方創生」の鍵は空き家活用にあり

 

全国に点在する空き家は約820万。そのうち賃貸用が約430万、その他の住宅(個人住宅など)が約320万です。賃貸用は市場に出ているだけあって最低限の管理がなされていたり、少なくとも借りてがつくような資産価値を備えている物件といえます。一方でその他の住宅の場合は、市場に出されていない空き家(例えば親の家)の資産価値は立地や建物の状態でまちまちですが、ポテンシャルは高いです。

 

空き家を移住者に安価で貸し出す仕組みやサテライトオフィスやアーティスト・イン・レジデンスなどにリノベーションして空き家に付加価値をつけるなど、既にたくさんのヒントは地方で生まれています。徳島県神山町の取組尾道空き家再生プロジェクトなどが有名ですね。

参照:「地方創生」が税金の無駄遣いっぽいので、効果的な使い方を提案します : まだ東京で消耗してるの?

 

他にも公民連携でリノベーションまちづくりに取り組んでいる北九州市小倉の取組岩手県紫波町のオガールプロジェクトなど、地方には生き生きした地域再生事例がたくさんあります。ヒントはたくさん転がっているわけですから、あとは「やるかやらないか」ですね。

参照:消滅可能性都市のウソ。消えるのは、地方ではなく「地方自治体」である。

 

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