空き家だった元お寿司屋さんがカフェ、バー、オフィス、イベントスペースへ
東京は港区虎ノ門といえば今年6月に森ビルの「虎ノ門ヒルズ」がオープンするなど、超高層ビルが立ち並ぶ再開発エリアです。そんなエリアで築50年の元お寿司屋さんをセルフリノベーションしてカフェやバー、オフィス、イベントスペースといった複合的なコミュニティをつくり出している取組を見つけました。今年7月に公開された「ホリエモンチャンネル」でも取り上げられていました。
(堀江貴文のQ&A vol.306〜10年後の未来!?〜 - YouTube)
「リトルトーキョー」という新しい「まち」をつくる
”生きるように働く”人のための求人サイト「日本仕事百貨」のナカムラケンタさんと”ほしい未来”をつくるためのヒントを共有するウェブマガジン「greenz.jp」の鈴木菜央さんなどが中心となって立ち上がりました。”新しいまちをつくる”という発想が面白いです。
僕たちは今、東京・虎ノ門に「リトルトーキョー」という新しい「まち」をつくろうと考えています。そして、この「まち」は自由に仕事をつくることができる場所です。そして、新しい生き方を見つけられる場所にしたいと思っています。たとえば、靴磨き職人になりたい人は、土曜日限定の靴磨き屋さんをやってみる。憧れのバーテンダーになってみる。映画好きなら、映画祭をプロデュースする。……本当はやってみたかった仕事、憧れの職業に、実際になってみることができます。
もう一つの肩書きを持てる街「リトルトーキョー」を、一緒につくりましょう。 - クラウドファンディングのMotionGallery
アイデアは飲み会で
そもそもこの”新しいまちをつくる”というアイデアは飲み会から生まれたそうです。クリエイティブな人が集まれば、面白いアイデアも生まれるのですね。双方とも独自のコンテンツとメディアを持っていることが大きいなと思います。
ありがちな話ですが、リトルトーキョーのアイデアは、飲み会から生まれました。「greenz.jpと仕事百貨の共同でなにかおもしろい場、コミュニティをつくりたいね!」と盛り上がったことがきっかけです。
それぞれ独自のコンテンツとメディアも持っているgreenz.jpも日本仕事百貨が一緒に、たくさんの人が参加できる、リアルな場をつくったら……ものすごく面白いコミュニティになるんじゃないか? 社会に対して、面白い提案ができるんじゃないか? そんな予感がしました。
もう一つの肩書きを持てる街「リトルトーキョー」を、一緒につくりましょう。 - クラウドファンディングのMotionGallery
偶然見つけた築50年のお寿司屋さんと空き地
まずは森ビルに勤めているナカムラさんの知人から「虎ノ門に空きビルがあるから使いませんか?と話があったそう。しかしその建物は結局借りられなくなっけれど、せっかくなのでその近くに良さそうな物件がないか歩いて探した、偶然見つけたのが築50年の「蛇の目寿司」という老舗のお寿司屋さんでした。その隣の空き地も貸してくれるとのこと。
“はじめるひとの、つくるまち”って?グリーンズと日本仕事百貨が仕掛ける「リトルトーキョー」のクラウドファンドいよいよ大詰め! | greenz.jp グリーンズ
(画像引用元)
”もうひとつの肩書きが持てるまち”をつくるプロジェクト
「リトルトーキョー」は”もうひとつの肩書きが持てるまち”をつくるプロジェクト、ということで「働き方」に関わる場づくりがメインです。しかし当初は空き家・空き地で何をやるのか具体的なプランは無かったそうです。そこでヒントになったのがドイツのミュンヘンで行われている「ミニ・ミュンヘン」や大阪で行われている「ミニ・大阪」といったキッザニアのような子供だけの職業体験プログラムです。
(子どものうちから、生き方に直結する仕事を探そう。 行政・学校・海外と連動しながら右脳系プログラムを展開する「cobon」[マイプロSHOWCASE関西編] | greenz.jp グリーンズ)
このプログラムに参加する子供はまずは”市役所”で市民証を取得しハローワークで職業を選び、なりたい職業が無ければ自分で考えて起業する、選挙で選ばれれば議員や市長に成ることも出来る。こうした「誰もが自由に仕事をつくることができること」と「民主的なまちづくりの考え方」に共感し、子供だけではなく大人にも同様の実践が必要と思ったそうです。
ミニ・ミュンヘンやミニ大阪は、お金のために働くのではなく、まさに生きるように働くこと、遊びながら学ぶ場所でした。「ミニ・大阪」を運営しているNPO「cobon」代表の松浦真さんの話を聞いていると、「これは、子どもだけではなく大人にも必要なことだ!」と思ったのです。
まあ、実際には「子どもだけが参加できるなんて、ずるい! そうだ!これの大人バージョンをリトルトーキョーでやろう!」と思ったわけです。こうして、「ミニ東京」ならぬ「リトルトーキョー」をつくることになりました。
もう一つの肩書きを持てる街「リトルトーキョー」を、一緒につくりましょう。 - クラウドファンディングのMotionGallery
”都市の隙間”、”遊び”、”モラトリアム”、”間”といった曖昧な空間、曖昧な時間といったものを使って「働き方」の可能性を探るイメージなのかなと思います。普段の仕事とは全く別の仕事との出会い、オルタナティブな活動が現実の具体的な仕事選びや新しいプロジェクトのスタートにつながったりするような場を目指しているんだと思います。
Vol.1 ナカムラケンタさん | リノベーションの株式会社リビタ
DIYでセルフリノベーション
リノベーションはルーヴィスに依頼するも、基本的には自分たちの力で改装していったそうです。
改装は本当に大変だった!古い物件なので歪んでいたり幅がちがう箇所があったりして、リノベーションはルーヴィスに依頼したのですが、百戦錬磨の彼らにでさえ「これまでで一番改装するのが大変な物件だ」と言われました。(笑)
それでも毎日少しずつ作業を進めて、寿司屋だった建物はカウンターとか全部取っ払って空っぽにして、壁を抜いたら水道管を破裂させたことも(笑)。あと奥にカフェ兼バーをつくったり、トイレを設置したり、壁を塗ったり。
“はじめるひとの、つくるまち”って?グリーンズと日本仕事百貨が仕掛ける「リトルトーキョー」のクラウドファンドいよいよ大詰め! | greenz.jp グリーンズ
作業はボランティアを大勢巻き込んだそう。ここでも”楽しくやること”が実践されています。色々な人たちと協力して作り出す空間だからこそ愛着が持てるようになるんですね。
(画像引用元)
まとめ
”終身雇用”、”年功序列”、”雇われて働く”といったこれまでの働き方は段々と変わろうとしています。自分と向き合い、やりたい仕事を模索し続けることは充実した人生のために必要なことだと思います。リトルトーキョーの取組はそれぞれの働き方や生き方を深く考えるきっかけになるのかなと思います。
(しごとバー 2014年11月 « 生きるように働く人の仕事探し「日本仕事百貨」)
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