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進化するリノベーション住宅「リノベーション・クロニクル・リアルトーク」(前編)

リノベーション住宅の歴史

 

今回は10月29日に行われた「リノベーション・クロニクル・リアルトーク」についてまとめます。ゲストはリノベーションの歴史を作ってきたパイオニアばかりです。ナビゲータはHOMES総研の島原万丈さん。 

 

スーモジャーナルなどのライターで住宅ジャーナリストの山本久美子さんのブログで当日の概要がまとまっています。リノベーションの歴史をまとめると、

 

  1. まだ「リフォーム」と呼ばれていた先史期に始まり
  2. 一部のクリエーターが自分のスペースを楽しくするたにリノベーションするというサブカル的な黎明期を経て
  3. 不動産の証券化という流れの中で、オーナーがファンドなどの金融系に移行し、収益性などを重視してリノベーションに積極的に取り組む時期があり
  4. リーマンショックでファンドが縮小すると、同じ志しを持つ仲間が集まって、「リノベーション住宅推進協議会」が立ち上がるなど、地に足の着いた成長期に入った

この20年でリノベーションが大きく進化した|女性住宅ジャーナリストの気になること

 

このように紆余曲折があってリノベーション住宅は現在”成長期”に入っています。

 

当日のお話の内容は今年6月に公開された「STOCK&RENOVATION2014」が元になっているようです。


STOCK & RENOVATION 2014【HOME'S総研】

 

住宅の改修ビジネスの起源は1975年の京都から

 

住宅の改修ビジネスはまず「リフォーム」という言葉で広がって行きました。1975年、全国で初めて増改築を専業とする株式会社京都住宅改良センター(現株式会社シーズン)が起こります。当時の社会経済背景はというと、1973年のオイルショックで高度経済成長が終わり、新築住宅の着工数が190万戸から135万戸前後に急落した時でした。また、1968年に住宅ストック数は世帯数を上回り、数の上では住宅不足は解消されています(面積や性能の面、つまり”住宅の質”の面ではまだ不十分でしたが)。

 

高度経済成長、オイルショック、円高不況、バブル発生と崩壊。70年代前半から90年代にかけてジェットコースターのような経済環境の大変化の経験を通して住宅リフォームは広がって行きます。

 

リノベーションは”裏原カルチャー”の中から自然発生

 

「裏原宿」といえばファッションに興味のある人なら誰もが知っていますね。1993年、裏原の「NOWHERE」や「NEIGHBORHOOD」などは古い民家やアパートなどをリノベーションしてブティックにしたのが端緒です。大阪も1995年頃から御堂筋の裏当たりで似たような現象が起きています。表参道や明治通りといった”表”から逸脱し”裏”ではリノベーションやDIYスピリットを持った自由で新しい価値観が生まれて行きました。マイノリティだからこそ個性的でセンスのあるサブカルチャーが誕生します。

 

やがて住宅やアパートだけでなくビルやオフィス、劇場など広がり始める

 

90年代半ば頃から後半にかけて東京都心部の広範囲なストリートに広がってきます。やがて、住宅やアパートだけではなく、ビル・オフィス・工場・倉庫・銀行・銭湯・劇場・学校などに拡大します。リノベーション後の用途もブティックや飲食店に加え、オフィスやアトリエ・ギャラリーなどバリエーション豊かになって行きます。

 

そのような流れを初めて広く世に知らしめたのが建築雑誌「SD」の「東京リノベーション特集」です。この特集を企画したのは高木伸哉さん。

 

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 ”リノベーションの第一人者”高木伸哉さん。

 

高木さんは「SD」休刊後に事務所を立ち上げ「東京リノベーション 建物を転用する93のストーリー」を出版します。90年代のサブカルチャー的なリノベーション事例を街歩き本のコンセプトでまとめたこの本は、2万部近く売れ、2000年代の第一次リノベーションブームとでも呼ぶべき状況の幕開けにつながります。

 

この「東京リノベーション特集」を企画するきっかけとなったと言われているのが1997年に東京の三田で建築家の田島則行(源テレデザイン一級建築士事務所・千葉工業大学)が手掛けたオープンスタジオNOPEです。NOPEは使われなくなった古い木造2階建ての事務所を複数のクリエイターの恊働ワークスペースとしてリノベーションしたオフィス空間でした。

 

まとめ

 
リノベーションがサブカル的に始まったことは面白いです。

 

後編につづきます。

 

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