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”行政の空き家対策が一歩前進”空き家対策特別措置法案が衆院通過

臨時国会にて空き家特措法案が衆院通過

 

景気がなかなか上向かず消費税率10%は先送りされる公算が強いようです。年末の忙しい中、集中して国会で審議してもらいたいですね。もし解散すると選挙費用に700億円かかるんですって。もったいない。

 

 

そんな混乱した国会で「空き家対策特別措置法案」は空き家対策に悩む市町村の関心が高いことから速やかに衆院通過しました。後は参議院での審議のみです。

 

安倍晋三首相が来週にも衆院を解散する公算が大きい中、空き家対策に悩む市町村の関心が高いため、同法案は同日の衆院国土交通委員会に委員長提案されて即時可決、衆院本会議に緊急上程された。参院での審議を急ぎ、今国会での成立を目指す。

空き家対策法案が衆院通過=市町村に立ち入り調査権 - WSJ

 

早ければ明日(18日)にも成立する?

 

衆議院で通過したのでよほどのことが無い限り成立すると思います。「ねじれ国会」ではないですし。参議院でもぱぱっと可決しちゃってほしいです。

 

参院での取り扱いは未定だが、与野党の国対間協議を経て18日に委員長提案を実施できれば成立する可能性もある。

日刊建設工業新聞 » 空き家対策法案/11月14日に衆院国土委で可決へ

 

危険な空き家に立ち入り調査する権限を市町村に付与

 

それでは晴れて法案が可決・成立した場合、空き家対策はどのように前進するのかを見て行きます。まずは「倒壊の恐れがあるなど危険な空き家に立ち入り調査する権限を市町村に付与」されます。「倒壊の恐れ」のほかにも「衛生面で有害」や「著しく景観を損なっている」などの空き家の所有者に解体や修繕を命じることが出来るようになります。これまでは各自治体の自主性に任せられていたので(今年4月時点で空き家対策条例を制定している自治体は355)、法律になれば無条件に全ての市町村に権限が与えられます。

 

市町村は(1)倒壊の恐れがある(2)衛生面で有害(3)著しく景観を損なっている-などに該当する「特定空き家」に関し、持ち主に解体や修繕を命じられると明記した。

空き家法案が衆院通過 国に対策指針要求:イザ!

 

空き家所有者把握のために固定資産税の納税情報を行政機関内部で活用出来るようになる

 

危険な空き家発見。じゃあ所有者に連絡取ろうと思っても現状ではなかなか難しいです。一言で言えば縦割りが問題です。行政内部の中で空き家対策に取り組むのはまちづくり部門や環境衛生部門です。かたや固定資産税の課税・徴収は税務課とかそういった税務部門。税務部門では毎年固定資産税の課税・徴収のための所有者の連絡先は把握しています。課税台帳というものがあるんですね。ただ、地方税法22条で守秘義務というのがあって行政内部といえど所有者の情報は教えられない決まりになっている。危険な空き家が存在して近隣住民の財産に不利益が及ぶ可能性があったり、街の魅力低下につながっているということを踏まえれば、柔軟に所有者の情報を活用するのが普通です。しかし、前例が無いからかセクショナリズム(縄張り主義)なのか木を見て森を見ずなのか、税務部門から空き家対策部門への所有者情報の活用は停滞しています。そこに法律というお墨付きを与えてあげるということですね。より上位のお墨付きさえあればいいわけです。法律・条例・規則通りに動くのが行政職員の性。

 

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画像引用元)こういう「危険空き家」は解体や修繕を所有者に働き家やすくなりそうです。しかし「使えそうな空き家」の活用は民間が動くしかないと思います。

 

「空き家活用」は民間が動くしかない

 

昨日おとといと参加した「まちのトレジャーハンティング」や「リノベーションまちづくり」、「空き家活用団体の立ち上げ」など使えそうな空き家の活用は民間の人たちが動かして行くしかないなと思います。空き家対策の法律は「危険な空き家」には力になるはずですが「使えそうな空き家」に対しては不得手な感じがします。”自由な発想で空き家を使い倒して街で遊ぶ”そんな人たちがたくさんいます。空き家活用しかりまちづくりは自由な発想と好奇心が大事で、何よりも楽しくやることですね。

 

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