マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

”廃校活用”の大きな可能性(後編)

人口減少社会では空き家も廃校も増加する

 

人口減少で子供の数が減れば当然、廃校も今後増えてきますよね。なんていったって2000年中頃までは一貫して人口増加してきた日本です。バンバン新しい建物を建てるということがこれまでは当たり前でした。しかし形勢逆転、人口は減少しています。2020年以降は東京も世帯数が減少し本格的な人口減少社会が来ます。これからは空き家にしろ学校にしろどんどん”ハコ”は余っていくわけですね。

 

で、先日参加したイベントで遭遇した廃校について魅力的な活用方法がないか考えています。

 

全国の廃校の70%は活用されている

 

ちょっと調べてみたところ全国の廃校の70%は体験施設や宿泊施設、オフィスや工場、保育所、高齢者施設などに活用されています。でも20%位は活用の用途が決まっていません。これは全国の活用事例を参考にしつつ、地元地域の要望や課題を踏まえて地域住民が納得するようなコンテンツを作って行けばいいのではと思います。

 

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廃校施設活用状況実態調査の結果について:文部科学省

 

全国の魅力的な廃校活用事例

 

調べてみると全国に面白い廃校活用事例はたくさんありました。ワクワクするものをいくつかピックアップします。

 

アーツ千代田3331(東京都千代田区)

 

まずは「アーツ千代田3331」。東京都千代田区が芸術文化の拠点を作ろうと計画したことで2005年に閉校した旧練成中学校が選ばれたのがきっかけです。アートギャラリー、オフィス、コミュニティスペース、ラウンジ、カフェ、オーガニック菜園など複合的なサービスが合わさっています。

 

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画像引用元)コミュニティスペース。誰でも自由に使える場所。

 

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画像引用元)公園だった部分と中学校の敷地をつなげて芝生の広場が心地よいです。

 

一度行ってみたときのブログはこちらです。

 

3331 Arts Chiyodaは旧練成中学校を利用して誕生したアートセンターです。地下1階、地上3階の館内には、アートギャラリー、オフィス、カフェなどが入居し、展覧会だけでなくワークショップや講演会といった文化的活動の拠点として利用されています。また、誰でも無料で利用できるフリースペースも充実しており、お昼時には近隣にお勤めの方々やベビーカーを押すお母さんたちで賑わい、夕方には宿題をする子供たちの姿も見られます。

3331について:ABOUT 3331:3331 Arts Chiyoda:アーツ千代田 3331:3331 ARTS CYD

 

台東デザイナーズビレッジ(東京都台東区)

 

次はファッションやデザイン起業者向けのインキュベーション施設「台東デザイナーズビレッジ」です。台東区は革財布、帽子、ジュエリー、アクセサリーなど国内でも有数のファッション雑貨の産地です。しかし、経済のグローバル化で人件費の安い盗難アジア諸国に生産はシフト。今後、国際競争に打ち勝って行くためにデザイン力や企画力に優れたクリエイティブな人材を育成していこうと考えたことがきっかけです。旧小島小学校を活用し日本初のファッション分野に特化したインキュベーション施設として2004年4月に誕生しました。

 

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画像引用元)普段は一般公開はしていないそうですがモノマチという街のものづくりイベントでは公開されていました。

 

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画像引用元)教室が創造の場になっています。

 

IID世田谷ものづくり学校(東京都世田谷区)

 

次はデザイン・建築・映像など「ものづくり」のための交流施設・オフィスやギャラリー、カフェ、会議室などを備える「IID世田谷ものづくり学校」です。渋谷から二駅のところにあります。生活に密着した学校にアートやデザインの要素を加えることで廃校が素敵な空間に変身しています。

 

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画像引用元)「IID」は池尻インスティテュートデザインの略ですね。

 

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画像引用元)教室がクリエイターのオフィスです。

 

2004年3月に廃校となった旧池尻中学校跡地が生まれ変わりました。
施設の名前は「IKEJIRI INSTITUTE OF DESIGN(以下IID)-----世田谷ものづくり学校」。
渋谷からほど近い場所で[デザイン・建築・映像・食・アート・ファッション]など
さまざまな分野のクリエーターに教室を開放し、ワーキングスペースとして機能しています。

IID 世田谷ものづくり学校

 

HAPSスタジオ(京都府京都市)

 

次は京都です。2011年3月をもって閉校した旧新道小学校をアーティストの制作スタジオとして生まれ変わらせました。手掛けたのは東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)。HAPSは若手芸術家などの居住・制作・発表の場づくりを事業として取り組んでいる組織です。詳しくはこちらをご覧ください。

 

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画像引用元)制作場所や展示スペースを求める若手アーティストやクリエイターと空き家や廃校といった空間資源をマッチング。

 

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画像引用元)教室がアトリエに変身。廃校が若手芸術家の拠点になります。これは地域にとっても大きなメリットです。

 

氷見市役所新庁舎(富山県氷見市)

 

最後に変わり種は廃校になった体育館などを市役所の新庁舎にしてしまった富山県氷見市役所。旧庁舎は2012年の調査で耐震基準を満たさず、津波浸水想定区域内にあることが判明します。そこで統廃合になった高校の体育館2棟と校舎の一部を活用して新庁舎を作ります。「公共施設の老朽化と予算不足に悩む地方自治体のモデルケース」として県内外から注目を集めています

 

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画像引用元)開放的です。市民が最初に訪れた窓口で各課の対応が簡潔する「ワンストップサービス」を充実させるそう。

 

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画像引用元)開放的な会議室、というか会議スペース。

 

まとめ

 

他にも本当にたくさんの廃校活用事例がありました。今回ご紹介したのはアートやインキュベーション、コミュニティスペースとしての活用が多かったです。また次回他の活用事例もご紹介できればと思います。廃校を使ってかなり面白いことをやっている事例がたくさんです。まちの魅力的なコンテンツとして廃校活用は大きな武器になると思います。

 

関連記事はこちら。

”廃校活用”の大きな可能性(前編) - 空き家の活用で社会的課題を解決するブログ

関連サイトはこちら。

~未来につなごう~「みんなの廃校」プロジェクト:文部科学省

【全国】廃校のリノベーション利用の、カフェ・宿・イベントスペース - NAVER まとめ

廃校・旧校舎の芸術文化活用調査

まちむら交流きこう | 廃校活用ポータルサイト