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空き家を活用して新しい価値をつくる

私の考える”空き家再生”「夢の賃貸住宅」学生コンテスト2014レポートpart1

空き家×賃貸住宅×学生のアイデア=未来のまちづくり

 

先日、前々から見に行こうと決めていた”空き家再生”のアイデアコンテストに行ってきました。主催は公益財団法人日本賃貸住宅管理協会です。

 

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現代の社会的課題である「空き家の増加」と「賃貸住宅」に「学生のアイデア」を吹き込むことでこれまでの発想や手法とは違った「未来のまちづくり」を導こうという取組です。

 

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12件のプレゼンがありました。大学や専門学校で建築や都市計画、デザインについて学んでいる方々の考えてきたアイデアということで、住宅の間取り図や空き家を活用してまちづくりへとどうつなげていくのかをビジュアル(絵)で示されていたので「未来のまちづくり」のイメージが涌いてきました。1件づつご紹介していきます。(なお、画像データは公益財団法人日本賃貸住宅管理協会・結城淳様よりいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。画像引用という形で掲載させていただきます。)

 

1 囘〜MAWARI〜

創造社デザイン専門学校・大堀未耶子さん

 

まずは空き家に複合的な価値を加えようという面白いアイデアです。背景には「学童保育施設不足」と「留学生の住宅不足」という二つの課題があります。この二つの課題を空き家を活用して解消してしまおうというアイデアです。児童は空き家を活用した学童に通いつつ、そこに住む留学生ともコミュニケーションが取れることで語学や異文化を小さい頃から学ぶことが出来るわけですね。

 

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空き家×学童×留学生。一石三鳥なアイデア。

 

学童保育が取り巻く課題について確認したいと思います。共働きや一人親家庭の主に小学生を放課後に校内や児童館などで預かる「学童保育(放課後児童クラブ)」ですが今年5月時点で前年比602ヵ所増の2万2084ヵ所、利用児童数は同4万7247人増の93万6452人でともに過去最高らしいです。一方で希望しても利用できない待機児童数(保育園だけじゃない)は前年比1256人増の9945人。それだけニーズがあるんですね。小学校入学後に子供の放課後の預け先が見つからずに親が仕事と育児の両立が難しくなる「小一の壁」が課題となっています。

 

そして留学生を取り巻く住宅問題についてもふれておきます。政府は外国人留学生を30万人に増やそうと目標を掲げています。しかし、留学生からは「暮らしにくさ」への不満が挙っています。言葉の壁だけでなく住まいや医療などのサポートが課題となっています。アパートを借りるときに「日本人の保証人がいないと貸せない」や「外国人だから2倍の敷金」を提示されるなど、物件探しが困難という実情があります。

 

留学生が来日してまずぶつかるのが「家探し」だ。東京大や早稲田大、明治大などが相次いで留学生向けの学生寮を整備。大学が民間の賃貸住宅を借り上げるほか、慶応大のように職員が保証人になる制度を設けている大学もあるが、追いつかないのが実情だ。

留学生受け入れ、住まいや医療に課題 サポート求める声多く :日本経済新聞

 

日本学生支援機構の調査によると、留学生13万5千人(2013年)のうち日本に留学する際に「宿舎などを探すこと」に苦労した留学生は23.6%に上るそうです。

 

日本学生支援機構によると、留学生13万5千人(2013年)のうち、大学などの寮や宿舎に入居できたのは23%。外国人留学生は10年前と比べ2割増えたが、寮や宿舎は1割増の約3万人分にとどまる。同機構の調査では、日本に留学する際に「宿舎などを探すこと」に苦労した留学生は23.6%に上る。

留学生受け入れ、住まいや医療に課題 サポート求める声多く :日本経済新聞

 

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1階は学童保育の場とキッチンや水回り。大きな窓。トイレは2つ。キッチンとダイニングを一緒にすることで留学生たちと一緒に食事をしたり交流が生まれる。2階は留学生の住まい。和室や布団といった日本家屋の良さを体感。

 

こちらの作品は「全国賃貸住宅新聞社賞」でした。

 

2 ヤネ路地まち貸し

千葉大学大学院・齋藤範明さん

 

次は空き家単体ではなく、周辺を巻き込んで路地と一体となったオープンスペースを作って交流を生み出し街に活気を生み出そうというアイデアです。対象エリアは東京都台東区谷中。幅員2mほどの狭い路地が入り組む寺と空き家が点在する木造密集エリアです。防災防犯対策に伴い建物の高層化が進む一方で、老朽木造空き家をリノベーションして街の文化複合施設へと生まれ変わらせている事例もありますね。

 

さてそんな谷中で空き家をリノベーションし、一軒家を居室単位で賃貸すると共に屋根を路地まで伸ばすことで路地と一体となったオープンスペースを作り出すという斬新なアイデアの発表がありました。

 

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屋根を伸ばすことでお隣の建物とゆるやかにつながっています。物理的につながることでちょっとした一体感が育まれそうです。

 

狭い路地が多くて防災防犯上危険であるという発想とは逆に狭い路地をプラスに捉えて価値を見いだし、自由なアイデアを加えることで新しい価値が生まれています。路地ごと家の一部になってしまっています。さらに言うと、「居室単位」で賃貸することで多数の人を呼び込むことで安定的に家賃収入が見込めます。

 

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オープンスペースを設けることで地域の人や他の街からやってきた人たちなどで交流やシェアの空間になります。

 

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狭い路地を逆手に取った空き家再生アイデアです。

 

こちらのアイデアは「HOME'S賞」でした。

 

とここまで書いて2000字以上。他に10件もあります。どれも空き家再生のヒントになるアイデアなので詳しくご紹介していきますよ。

 

(つづく)

 

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