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空き家グッド

空き家、空き室、空きビル、空き店舗、空き倉庫は問題ではなく可能性!空き家を活用して社会的課題を解決し、新しい街のコンテンツに生まれ変わらせる。そんな観点から書いているブログです。

2年前までイギリスで居住用建物のスクワット(無断占拠)が違法ではなかった理由

空き家再生・活用事例 MAD City 空き家再生・活用事例-千葉県

スクワットは社会的・政治的運動として始まった

 

空き家や空きビル、居住者が留守中の家屋などを無断で占拠することを「スクワット」と呼びます。イギリスオランダドイツなど欧米諸国ではこのスクワットの行為そのものは合法であるとされてきた歴史があります。千葉県松戸でクリエイティブシティをつくる取組をされている「MAD City」はこのスクワットから着想を得てスタートしたそうです。スクワットが広がったきっかけは1960〜70年代にかけて不動産オーナーが投機目的でたくさんの空き建物を放置したために、住居のない若者が住み始めたのが始まりです。そして1970〜80年代にかけて反体制の労働者運動、学生運動、ヒッピー・ムーブメントの流れに伴い、社会的・政治的な運動として拡大しました。


オランダでたったひとりの日本人ホームレス(前編) | BIG ISSUE ONLINE

 

都市の衰退や投機目的の住宅の増加という不動産市場の失敗や当時の反体制の政治運動の思想が相まってスクワットが生まれたようです。

 

ヨーロッパを中心に若者や社会運動家が既存の空き家を不法占拠する例もある。大都市などでは、古いデパートや工場などの建築や住宅街が地域の衰退によって空き家となったり、あるいは富裕層が投機目的のために都心の住宅を住まないまま保有するといったことがある。
これに対し、移民や貧困層、彼らを支援する社会運動家、あるいは金のないミュージシャンや若い芸術家など住む場所に困る人々が、こうした使われていない廃墟や遊休資産を不法占拠し、低所得層のための社会教育センターや芸術家村などに改装して立退きを拒む例もある。

スコッター - Wikipedia

 

「スクウォット」というのは住居の不法占拠、
つまり、持ち主にはシカトで家賃も払わず
空き家に勝手に住んでしまうことです。
詳しくは分らないんですが、アムステルダム市の公文書に
「空き家の不法な占拠は刑事罰の対象にならない」
という条文がすでにあったために、
市の行う不法占拠者への立ち退き請求が
法律的に手間のかかるものになっていたらしいです。
したがって不法占拠者から見れば
都合のいいザル法と化していたわけでしょう。
その法律の抜け道をくぐって
スクウォッティングをする人達がいたらしいんです。

しかし、そのスクウォッティング
単なる個々のチャッカリ行為ではなく、
ひとつの社会的な「運動」として拡大したのは
1970年代から1980年代のようです。

投機のために空き家にして放置している建物群が
アムステルダムにあって、そういう所に住家のないプータロー
みたいな若いやつらがどんどん勝手に住み始めたらしい。
その運動を、当時の反体制の政治運動の思想が
後押しをしていたようです。

オランダは未来か?

 

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スコッター - Wikipedia

 

2012年、イギリスで居住用建物のスクワットは刑事犯罪になった

 

2011年にイングランドウェールズにおけるスクワットに関する法律改正の動きが出ます。そして2012年、居住用建物のスクワットの行為そのものが刑法上の犯罪になりました。しかし、商業用建物のスクワットは依然として民事上の不法行為のままです。そのため不動産オーナーはスクワッターを追い出す為に裁判所の命令を取り付ける必要があります。Yahoo!ニュースでイギリスのスクワットの事例が紹介されています。


トリクルアウトの経済:売られゆくロンドンとディケンズの魂(ブレイディみかこ) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

LOVE ACTIVISTSと名乗る若者たちが長期間空き家になっている商業用ビルをクリスマスに占拠し、七面鳥や野菜のトリミングなどを作って路上生活者に提供しようとしました。

 

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画像引用元

 

しかしクリスマス・イヴの日、建物オーナーの企業は裁判所から緊急止し止め命令を取り付けて、彼らを建物から退去させようとします。しかし、この件をネットやラジオで知った人々が集まって声援を浴びせるといった動きが現れます。こうした声を受けてか、裁判所は差し止め命令の内容を変更したそうです。しかし、警察に逮捕されるが6時間身柄を拘束されただけで全員釈放、というレベルで、イギリスの体制側も半ばスクワットの利点を認めているかのような印象を受けます。

 

スクワットは「個人や企業が住宅を長期間空き家にすること=人間が住むべき場所を貯金箱にすること」を阻止する合理的なカウンター措置でもあった

 

イギリスには150万戸の空き家があり、11万人の路上生活者がいるそうです。一部のスクワッターが建物内を荒らすというケースはありますが、本当に住む場所がない人々は、調子の悪い部分は修理し、普通の住宅と同じように大切に住みます。

 

しかしロンドンではアジア系海外企業が投機的に「誰も住まない家」を買い叩いているそうです。これは結果的にロンドンの街並みや風景を悪くしていっています。

 

ロンドンの住宅は「海外の富裕層の貯金箱」と呼ばれている。ガーディアン紙によれば、中国、香港、マレーシア、シンガポールなどの海外企業が、30000戸の住宅が収められた集合住宅を所有しているという。アジア系海外企業によるロンドンの不動産開発は、海外の富裕層が「株より手堅い貯金箱」として買う超高級住宅を提供することが目的であり、そうした住宅はもはやミドルクラスの英国人にも手が届かない。こうした超高級住宅は「売れても誰も住まない家」と不動産関係者に呼ばれているという。主にアジア系富裕層をターゲットとして作られた高層マンションは煉瓦づくりの英国の街並みとは一線を画す近代的デザインのため、すでにロンドンの風景を変え始めている。こうした高層マンションは「買って貸す」ことさえされずに無人で放置されているため、テムズ河畔は「ゾンビ・タウン」と呼ばれ始めている。

トリクルアウトの経済:売られゆくロンドンとディケンズの魂(ブレイディみかこ) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

住宅は投機のために存在しているわけではなく、人が住んだり集まったりして”使用するもの”でしょう。本来の住宅の目的が果たされていないならばスクワットという行為は本来的な住宅の価値を取り戻す”合理的なカウンター措置”であるといえます。

 

ほんの二年前まで英国で居住用建物のスクワッティングが違法でなかったのは、「個人や企業が住宅を長期間空き家にすること=人間が住むべき場所を貯金箱にすること」を阻止する合理的なカウンター措置でもあった。

トリクルアウトの経済:売られゆくロンドンとディケンズの魂(ブレイディみかこ) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

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