マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

自治体経営のテーゼは”成長から持続可能性へ”(消滅可能性都市・東京都豊島区が結婚・子育て支援策に手厚い予算22億円)

東京都23区で唯一の消滅可能性都市

 

2040年までに2010年に比べて20〜39歳の女性が半減する自治体を消滅可能性都市と言われています。正確には都市ではなく地方自治体のことです。つまり子どもが増えず持続可能な自治体経営が出来なくなる可能性がある、ということで増田レポートは全国の自治体に危機感を煽ったかたちになります。

 

中でも東京都23区で唯一、消滅可能性都市と指摘されたのが池袋を擁する豊島区だということで相当なインパクトがあったのだと思います。

 

若い女性の声を反映した予算案

 

今日のニュースで豊島区が消滅可能性都市の汚名払拭のため結婚や子育て支援策に22億円を予算に盛り込んだと報道されています。

 

高野区長は「持続発展都市をテーマに予算を組んだ」。重点事業には「消滅」対策がずらり。「女性にやさしいまちづくり」を第一に掲げた。新規と拡充する50事業に22億4千万円を投じる。新規・拡充の全270事業の2割を占める。


豊島区「消滅」させない 結婚・子育て支援策に22億円:朝日新聞デジタル

 

予算案の最大の特色は若い女性の声を反映したことです。豊島区内の20歳以上の女性100人による「としま100人女子会」の開催や子育て世代である20〜30歳代を主体とする「としまF1会議」が区長に住みやすいまちづくりのプランを提案したり、と当事者のニーズを積極的に引き出している印象があります。

 

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画像引用元

 

空き家リノベーションまちづくりに注目

 

そして豊島区が力を入れているのは空き家やアパートやマンションの空き室をリノベーションして魅力的なまちのコンテンツを作ろうという取組です。ぼくも参加した「まちのトレジャーハンティング(宝探し)」では良さげな空き家っぽい木造長屋や趣のあるデザインのアパートなどポテンシャルを感じる建物や住宅をたくさん見つけました。

 

昨年11月、ビルが立ち並ぶ池袋からほど近い住宅地。狭い路地を若い一団が歓談しながら歩いていた。目当ては、リノベーションをすれば、人気の住宅や飲食店になりそうな空き家。「まちのトレジャーハンティング(宝探し)」と銘打つ区のイベント。区内外の建築家や区民が参加した。

「この木造の一軒家はオープンカフェにしたら、雰囲気出そう」「戦後直後のすりガラスや木製の玄関はもうどこも作っていない。レトロな味わいがある」。7組に分かれて区内各地を回ると、築50~60年の木造の空き家が次々と見つかった。 

豊島区「消滅」させない 結婚・子育て支援策に22億円:朝日新聞デジタル

 

これからの自治体経営の常識は「成長から持続可能性へ」

 

世の中のニーズも時代背景も日進月歩で進化し変化する中、制度や仕組み、理念や手法などをアップデートしていく必要があります。人口減少、高齢化、空き家の増加・・・。経済成長は必要ですがテクノロジーやインターネットの力を使ってより効率的に、そして創造的に、みんなの潜在能力を引き出していくことが重要だと思います。やみくもに重厚長大の成長を目指すのではなく、今やっている事業や取組、活動の無駄を省き、限りある経営資源を効果的に投入する、そんな持続可能な自治体経営がますます求められると感じています。