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”無届け介護ハウスのガイドライン見直し決定”で「空き家を活用した介護サービス」が増えそうな件

「無届け介護ハウス」急増の実態に制度を合わせる

 

有料老人ホームは施設面(個室の整備や広さに応じた防火設備の設置など)などにおいて法律で基準が定められていて都道府県へ届け出を行う必要があります。しかし有料老人ホームに入りたくても入れない「待機高齢者」がますます増えています(昨年度全国に52万人)。そんな中、法律で義務付けられた届け出を行わないまま空き家や空き室で高齢者に介護サービスを提供する「無届け介護ハウス」が急増しています

 

今年1月にニュースになった際に「増え続ける”無届け介護ハウス”、その対策は空き家活用が現実的かつ有効」という記事を書きましたが今回、厚生労働省から新しい方針が出て、行政の指導や監督が及ぶよう基準を満たしていなくても事業者に届け出を促すためガイドラインを見直す方針を決めました

 


無届介護ハウス ガイドライン見直しへ NHKニュース

 

都内に86カ所の無届け介護ハウス(都が把握している3.6倍)

 

NHKの独自調査によると東京都内に86カ所の無届け介護ハウスが存在するそうです。これは東京都が把握している3.6倍です。東京都の指導や監督が及んでいなかった無届け介護ハウスが相当数あったことになります。

 

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画像引用元) 

 

個別具体的な事情に応じて柔軟に対応する介護サービス事業者と空き家を活かす

 

現在は、国が定める基準からはずれた場合は有料老人ホームとして認めない→だから国や都道府県は指導も監督も行わない→しかし「待機高齢者」しかり施設に入所しないと生活できない高齢者が多い実態がある→止むを得ず空き家などを使って無届けで介護サービスを提供する→国や都道府県の指導や監督がないため安全面や衛生面などが行き届かない→虐待や事故、感染症の発生リスクが高まる、、、こんな悪循環に陥っている状態です。「施設面を基準に合わすべき」だとか”べき論”を言って実態を見ないよりも、実際問題として必要な介護施設の拡充を目指した柔軟な方針の見直しは良いことだと思います

 

具体的には、空き家やマンションなどを利用している場合は、例えば、廊下の幅が狭くても職員が介助するなど高齢者の安全を確保するための代替案を設けるか、改善策を利用者に説明していればガイドラインを満たしていると判断するとしています。

無届介護ハウス ガイドライン見直しへ NHKニュース

 

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 (画像引用元

 

空き家活用と介護サービス事業者の新規参入を促進

 

空き家や空き室は余りまくっているので、今あるストックの活用を促し制度を柔軟に運用していくことで介護サービス事業者の介護事業分野への新規参入にもつながります。そうやって事業者が増えたら利用者が選べるサービスの幅も広がります。そして事業者の質の確保のために届け出と定期的に情報開示義務を課すなど、多様な手法をミックスさせて日々、アップデートさせていくことが重要だと思います。

 

厚生労働省は広く意見を募っています。パブリックコメントはこちら。 

 

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