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不動産業界の胡散臭さの原因は業界と住まい手の間に存在する「情報の非対称性」にある

かねてから待望していた不動産情報ポータルサイト「HOME'S」を運営している株式会社ネクスト代表取締役の井上高志さんとPLANETS編集長の宇野常寛さんとの対談記事がPLANETSのメルマガとして配信されています

 

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ch.nicovideo.jp

 

「情報の非対称性」を縮める不動産情報ポータルサイト

 

「物件の囲い込み」や「両手取引」、「不動産価格査定のいい加減さ」など不動産業界がいまいち胡散臭く思えてしまう大きな原因の一つに「情報の非対称性」があります。つまり不動産に関する情報(例えば価格、位置、築年数、修繕履歴、周辺環境など)は圧倒的に不動産屋のほうが有利で、これから家を借りようと考えている人にとってはとりあえず駅前の不動産屋に行くしか不動産情報を得る術は無い、という状況がインターネット普及以前は続いてきました。

 

しかし、リクルートを1995年の7月に辞めて「日本全国の不動産情報が全て網羅された仕組みをつくりあげたい」と井上高志さんが1997年4月に立ち上げた不動産情報ポータルサイト「HOME'S」以降、SUUMOやアットホームといった大手も不動産情報ポータルサイトを作り始めます。

 

そして2000年代中盤頃からインターネットが本格的に台頭して、不動産情報ポータルサイトが普及することによって不動産業界と住まい手とのパワーバランスはかなり是正されてきています。つまりインターネットの力によって不動産業界と住まい手との間の情報格差は縮まりつつあります。

 

”ソーシャル”の時代にデータベースを整備して検索性を上げる理由

 

この5年くらいのインターネット業界は”ソーシャルメディア”だった中でHOME'Sはひたすらデータベースを整備して検索性を上げてきた理由について聞いた宇野さんの質問に対し井上さんは、「日本の不動産業界とソーシャルはあまり相性がよくないかもしれませんね」と答えます。

 

アメリカのように不動産のエージェントが弁護士や会計士と並び称される専門職であれば、ソーシャル的なサポートにも意味があるでしょう。でも、日本の不動産仲介業には、そういうノウハウはありません。逆にユーザー側の口コミはというと、そもそも転居にはそんなに回数がないので、セミプロが沢山いる分野になり得ない。外食であれば、毎日行く機会があるわけで「食べログ」のような口コミサービスは成立しますが、なかなか不動産では信頼性のある情報にはならないですよね。

情報化される実空間と都市再編――不動産ポータルは日本の「住」をどう変えたのか /井上高志(不動産ポータル「HOME'S」運営 株式会社ネクスト代表取締役)インタビュー ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.285 ☆:ほぼ日刊惑星開発委員会:PLANETSチャンネル(PLANETS/第二次惑星開発委員会) - ニコニコチャンネル:エンタメ

 

不動産屋の営業マンは必ずしも「住まいのスペシャリスト」ではないということに加え、住まい手からの住宅に対する評価もそもそも頻繁に住み替えるという文化が育っていないので判断しようがない。不動産屋のサービスや住んでみてここが良かった、悪かったという口コミ評価が蓄積されていっていないということが、不動産業界が”ソーシャル時代”にまだ追いつけていない大きな要因だと思います。

 

結局のところ、日本の不動産の問題点は「情報の非対称性」なんですよ。とすれば、まず重要なのは、真っ当な情報が沢山ある状態を作ることなんです。そのために必要なのは、やはりソーシャルよりも、まずはデータベースの充実だと思いますね。

情報化される実空間と都市再編――不動産ポータルは日本の「住」をどう変えたのか /井上高志(不動産ポータル「HOME'S」運営 株式会社ネクスト代表取締役)インタビュー ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.285 ☆:ほぼ日刊惑星開発委員会:PLANETSチャンネル(PLANETS/第二次惑星開発委員会) - ニコニコチャンネル:エンタメ

 

結局のところ日本の不動産の問題点は「情報の非対称性」です。不動産情報をオープンに(公開)してこなかったことが根本的に原因で、そもそもまずは不動産情報を蓄積する(データベース化する)必要があった、ということだと思います。(国内の住宅全ての情報をデータベース化し、公開することが創業時からの目標だそう。)

 

国内の住宅全てをデータベース化し公開する

 

井上さんの考えていることのスケールがとてつもなく大きいです。圧倒的な情報格差により不利な立場に置かれている住宅の住まい手や探し手が不動産会社と対等に交渉出来る環境を作ろうとされています。間取りや写真を掲載し公開するのはもちろん、地図検索にもいち早く取り組んでいます。

 

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画像引用元) 例えばこちらの物件、所在地までバッチリ公開されていています。

 

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画像引用元)写真も豊富に掲載されていて、わざわざ不動産屋に行かなくても物件情報をゲットできます。

 

僕は6千万件のデータベースを作りたいと言い続けるんです。全てのデータが目の前にあって、誰もが見られる状態になり、不動産会社の評価・ランキングまで作ってしまう。そうなれば、もう良い業者にならなければ絶対に淘汰されていくわけです。

情報化される実空間と都市再編――不動産ポータルは日本の「住」をどう変えたのか /井上高志(不動産ポータル「HOME'S」運営 株式会社ネクスト代表取締役)インタビュー ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.285 ☆:ほぼ日刊惑星開発委員会:PLANETSチャンネル(PLANETS/第二次惑星開発委員会) - ニコニコチャンネル:エンタメ 

 

なお、宇野常寛さんがナビゲーターを務めるラジオ(J-WAVE THE HANGOUT)で日本の不動産業界が情報を隠しすぎな件やHOME'Sの革新的な取組について話しています(32:18〜)。

 

J-WAVE THE HANGOUT 宇野常寛 2015年3月16日 - YouTube

 

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