マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

「未来は予測するものではなくてつくりだすもの」島耕作的な生き方をアップデートする

 今夜はこちらのイベントへ行ってきました。

 

 

会場は復興支援やソーシャルビジネス、社会起業に興味のある人たちが100人くらいいたと思います。東京駅前の丸善3階のセミナールームにて。

 

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10年前に比べポジティブなイメージをもたれるようになってきたNPO

 

かつては”ド左翼”という認識をされていたNPOが現在はソーシャルビジネスや社会起業なんて言葉やコンセプトが出てきてポジティブなイメージがついてきた、と駒崎さん。そして2007年11月に出版された駒崎さんの著書「社会を変えるを仕事にする」がNPOやソーシャルビジネスの理解を広げたと藤沢さん。駒崎さんが始めた病児保育やひとり親支援、待機児童問題の解消などなどの取組をまとめた本著はぼくも読みました。まさに21世紀の働き方のロールモデルが書かれてあります。

 

「炎上」はなぜ起こるか

 

駒崎さんといえば「炎上」。それはもうイケダハヤトさん並みです。例えば最近では川崎の中1男子殺害事件の被害者の母親批判や電車内でのベビーカー論争、ママタレントの子連れ居酒屋バッシングなど、「母親のくせに」という自己犠牲的な価値観に基づいた批判がどこからともなく砲火されます。

 

 

なぜ駒崎さんは炎上するのか。それは「社会に問いを投げかけているから」と駒崎さん。母親がベビーシッターを頼んで「母親のくせに(自分で育てろ)」という声に対し、ちゃんと言うべきことを言わないでスルーしているとそういう空気になってしまうので、なかば使命感として突っ込んでいる、これはある意味闘いだ、社会運動なんだ、と駒崎さん。

 

子育てや働き方に関する世間の価値観ってまだまだ本当に保守的で、川崎の事件やベビーシッターの事件が起きるとネット上にそうした保守的な価値観が噴出するわけですね。そこに対してあるべき論ばかりを言うのではなく、目の前の困っている人をどうすれば助けられるのか、多様な人たちが多様なまま幸せになれる社会をどう作っていくか、建設的な議論を巻き起こすために駒崎さんの突っ込みはあるのだと思います。それが結果的に炎上するわけですが。

 

「イクメン」がバズって男性の子育てスタイルが定着しつつある

 

「イクメン」や「イクジイ」など意外と社会に浸透しつつあると思います。これの発端は男性の育児参加や育児休業取得の促進などを目指して厚生労働省の音頭で2010年からスタートした「イクメンプロジェクト」です。当初この「イクメン」というキャッチコピーに対し「軽薄だ」と決して良い印象ではなかった、と駒崎さん。これまで「ダイバーシティ」や「ワークライフバランス」という言葉を使って真面目に議論してきたから。というわけですね。しかし「ダイバーシティ」も「ワークライフバランス」も流行らなかった。逆に軽薄だと思われていた「イクメン」が流行り、社会に浸透していくという結果に。「イクメンの星」なんていう名誉賞もあって、それに応募するイクメンがいたりと、確実に男性の子育て参加は進んでいます。

 

企業の意識も変わってきた

 

これまでの企業の社会貢献活動というと、あくまでも経済活動と社会貢献は切り離されていたが、震災以降、企業活動そのものを社会と直接向かい合うような企業が増えてきた、と藤沢さん。震災により社会自体がぐらぐらしていることを身にしみてからは企業も社会を支える側なんだということを強く意識したからでしょう。これまでは企業でちゃんと働いて納税をして社会に貢献するんだ、という考え方が支配的でした。しかしこの考え方は個人と社会との関わり方が弱いわけです。社会自体を一個人が支えるという肉薄した危機感が不足していました。

 

信用保証制度をNPOも利用可能に

 

NPOといえば資金調達が大きな運営上の課題なわけですが、中小企業の支援政策の中にNPOも加え、「信用保証制度」をNPOも利用できるようになります。これで銀行としてはNPOに融資してもリスクが減ります。なので NPOの資金調達の幅が広がります。NPOセクター全体の底上げにつながる制度改正です。

 

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地域貢献するNPO法人 資金 借りやすく | ニュース | 公明党

 

島耕作的な生き方はもう終わった!

 

会社での昇進が自己実現と同一化して、家庭も省みず長時間労働、地域社会との関わりなんてもってのほか。そんな島耕作的な生き方(ここではあえて「働き方」ではなく「生き方」)は高度成長期までは通用しましたが、人口減少や縮退する経済情勢の中では時代錯誤も甚だしい。これからは仕事、家族・生活、社会の三位一体の生き方のロールモデルをつくっていかないといけない、と駒崎さん。観客ではなくて参加するという生き方。「パーティシパント」という駒崎さんの新著も出るそうです。

(参考記事:『僕は島耕作にだけはなるまいと誓ったんです』 起業のリアル/田原総一朗 | MY LIFE LAB

 

課題は山積

 

課題先進国・日本ではどんどん社会的課題を解決していかないといけないわけです。しかし圧倒的に人、力、リソースが不足しています。自分のお金や時間の数%を社会のために使うことから始めてみては、と両氏は言います。NPOが募集しているクラウドファンディングに参加すると、そのNPOの活動や対峙している社会的課題に関心が沸くのでまずは寄付からというのはいいと思います。

 

会社を変えるより個人として社会と向き合う

 

最後に会場の質問で「うちの会社は社会性が無い。社長もソーシャルビジネスとか興味もっているけど、いざやろうとすると、それを全力で潰そうとする勢力がある。こういう会社を変えるために出来ることはなんでしょう?」という質問に対し、「会社を変えるより一個人として社会に関わり続けることが大事」と藤沢さん。さらに「勝手にやっちゃえばいい、ゲリラ戦士になりましょう!」と駒崎さん。要するに会社なんてそんなにすぐに変わらないし、だったら土日とか自分の時間で社会と関わっていこうということです。仕事があって家庭があって社会がある。この3つとも一生懸命関わっていくことがこれからの生き方であると強く思います。

 

10年後の未来は予測できないからこそ自分たちでつくっていく

 

そして最後に「10年後の未来はどんなふうになっていますか?」という質問に対し、「未来は予測するものではなくつくりだすもの」と駒崎さんは言います。まだまだ企業や行政セクターの比べて質的にも量的にも弱いNPOセクター。職場の肩書きに関係なく同じ社会の一員として総動員で社会課題解決に向かっていかないといけません。

 

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なお、当日の様子はこちらのツイートが詳しいです。

 

 

社会のために働く 未来の仕事とリーダーが生まれる現場

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