不動産業界の問題行為”物件の囲い込み”
不動産業界の問題行為として”物件の囲い込み”が挙げられます。不動産ポータルサイトHOME'Sを運営する株式会社ネクストの井上社長はこの問題について厳しく指摘しています。
売主から物件の売却を依頼された不動産会社は本来は他の不動産会社を通して買主が現れれば売却を進めるはずですが、それでは主な収入源である仲介手数料が売主からしかもらえません(片手取引)。そこで他の不動産会社から物件の問い合わせがあっても「すでに売れてしまった」などと嘘をついてまで、なんとか自社で買主を見つけようというのが”物件の囲い込み”です。囲い込んだ結果、自社で買主を見つけられれば売主と買主の双方から仲介手数料をもらえるわけです(両手取引)。
これは顧客の満足よりも短期的な収入を優先させた問題行為で、長期的には不動産業界に対する不信や不動産に対する関心が遠ざかることにより不動産への投資も停滞していくと思います。
結局、割を食うのは、A社に売却仲介を依頼した顧客です。B社が抱える顧客に対して高く売れたはずなのに、A社が抱える買い手に売ったことでより安い金額しか手にすることができないということも起きるのです。
不動産業界を震撼させる衝撃のデータ
この”物件の囲い込み”の事実データとして立証されている記事が不動産業界界隈の方々の間で衝撃を持って受け止められています。
三井不動産、住友不動産、東急不動産など名指し。これは恥ずかしいだろうな ⇒ 大手不動産が不正行為か 流出する“爆弾データ”の衝撃|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン http://t.co/NU9sTQFLqw @dol_editorsさんから
— 長嶋修 不動産コンサルタント (@nagashimaosamu) 2015, 4月 13
大手不動産が不正行為か 流出する“爆弾データ”の衝撃|週刊ダイヤモンド http://t.co/TPbrWcv7nj いわゆる売り手側エージェントが手数料を両手取りするために、自社顧客への売却を優先させている、という指摘。 pic.twitter.com/Hj7QjCOPUV
— Gen Shibayama (@gshibayama) 2015, 4月 15
これ、当局側は取り締まるつもり全くないよね。いわゆる「釣り物件」も横行してるし、監督官庁含め旧態依然の業界の権化。それにしても東急が業界3番手だったとは驚き。>大手不動産が不正行為か 流出する“爆弾データ”の衝撃 http://t.co/eMVAWHp30V
— Hitoshi Ichimi (@Ichimi3) 2015, 4月 16
朝から不動産業界隈のSNSを駆け巡っている話題。400を超えるコメントを見ても業界では何を今更的なだが、具体的な証拠の提出は画期的。→不動産大手 囲い込みが横行か - (2015年4月13日(月)掲載) http://t.co/rFJmIYafdQ #住宅、マンション
— Manjo Shimahara (@Manjo_Shima) 2015, 4月 13
データには物件名、不動産仲介会社名、担当者名、問い合わせ時間、電話でのやりとり(下写真)。音声データも。 ⇒大手不動産が不正行為か 流出する“爆弾データ”の衝撃|『週刊ダイヤモンド』特別レポート| http://t.co/NU9sTQFLqw @dol_editorsさんから
— 長嶋修 不動産コンサルタント (@nagashimaosamu) 2015, 4月 13
売主と買主の双方から仲介手数料をもらう両手取引自体は問題ないですが、故意に物件を囲い込むことが問題です。
両手仲介自体は正しい商取引である。だが、問題なのは、売り主と媒介契約を結んでいる不動産仲介会社が、他社から物件照会があっても「すでに他の客と交渉中」などと偽って物件を渡さず、両手取引を狙うケースである。これが物件の囲い込みと呼ばれる行為だ。
そもそも物件の囲い込みは宅地建物取引行法で禁止されています。しかし囲い込みが表面化してこない理由は2つあります。
囲い込みが表面化しない理由は二つある。
一つ目は、囲い込みが行われても売り主がその事実を知ることはできないため、被害が表面化しづらいこと。
二つ目は、不動産仲介会社の間でも囲い込みの事実を見極めるのが難しいということだ。
不動産仲介会社からの問い合わせには紹介拒否し、一般客として問い合わせると内覧可能と答える
不動産業界の有志による調査によると、調査対象である476件のうち、囲い込みとみられるものは50件あったそうです。三井不動産リアルティは5件に1件です。
(画像引用元)
そして具体的にどのように物件を囲い込むのかがリアルに書かれています。
では、具体的にどのようにして囲い込むのか。
例えば、三井不動産リアルティの神奈川県の某支店では以下のようなやりとりがなされている。
不動産仲介会社役「物件確認なんですが、○○○(物件名)なんですけど……」
支店担当者「あ~、話入ってます(=すでに交渉中です)」
それから16分後、今度は一般客のふりをして同店に電話してのやりとりは以下の通りだ。
一般客役「ホームページで見たんですが、○○○(物件名)って今は空いているでしょうか?」
支店担当者「ご紹介可能です」
一般客役「あ、本当ですか」
支店担当者「まだ内覧した人は一人もいないので、今週末から内覧可能です」
実態調査、仲介手数料の自由化、インターネットやテクノロジーのフル活用
記事では監督官庁である国土交通省が実態調査や厳罰化を検討すべき、と結ばれています。まずが実態調査は必要だと思います。厳罰化に関しては一旦冷静に考えてみると、不動産業界が物件を囲い込んで両手取引を狙わないと売り上げが上がらないという構造を変えていくことが重要です。ネクストの井上社長や不動産コンサルタントの長嶋修さんがおっしゃるように”仲介手数料の自由化”は物件仲介の労力に見合った仲介手数料を取るということなので、今よりも市場性が強く健全な競争を促す上で有効だと思います。
そしてイタンジ株式会社の「ヘヤジンプライム」のようなインターネットやテクノロジーをフル活用して不動産情報の透明化を進める取組が今後、成長していくし、成長していかないと不味いと思います。
不動産業界はITの力で変わるか?! ―イタンジCEO伊藤氏、イケダハヤト氏が語る不動産取引と住宅問題(前編) | storie
スマホ、不動産情報のマッチング、スマートキー、オンラインで契約手続き、Eコマースなどなどインターネットとテクノロジーの力で不動産市場の透明化を進めています。不動産市場がもっとわかりやすくなれば関心も高まり、投資も後からついてくるはずです。イタンジ株式会社以外にもnomadやiettyも注目です。