マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

人口減少時代には”減築”という発想と手法が必要

減築とは?

 

大抵の住宅や建物は人が住んだり働いたり遊んだりするためにあります。しかし現在は、人口減少や核家族化、単身世帯の増加といったことを背景に需要が減っています。逆に住み継がれない(使い継がれない)住宅や建物が増加しています。そこで需要に見合うだけの住宅しかり建物を供給していこうという考え方を根底に「減築」という手法が注目され始めています。

 

近年に「減築」がクローズアップされてきた背景には、日本人のライフスタイルの変化がある。昔であれば、親世帯の家にそのまま長男夫婦または長女夫婦が同居することも多かった。きょうだいが独立して家を出て行っても、残った長男夫婦に孫が産まれるなどして、長い期間にわたり「部屋が余る」ということはなかったのだ。

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画像引用元「減築」とは増築の反対で、人口減少時代において建物の床面積を減らすことです。

 

減築のメリット

 

戸建ての場合、高齢夫婦だけの世帯で2階の部屋を持て余しているケースというのは多いと思います。ケースバイケースな所もあるようですが、建物を長持ちさせることにつながったり、光熱水費や維持管理費の削減につながったりすることなどが減築のメリットです。

 

減築には2階全部を除去して平屋にする、2階または1階の一部を除去する、2階の床の一部を除去して吹き抜けにするなどさまざまな方法があるが、減築によってどのようなメリットがあるのだろうか。一般的に挙げられることが多いのは次のような点である。

 

□ 生活動線が短くなることで毎日の暮らしが楽になる

□ 掃除や手入れなど家の管理がしやすくなり、効率のよい生活となる

□ 平屋にした場合はバリアフリー化が容易になる

□ 床面積が減ることで、他のリフォーム工事がしやすくなりコストも下がる

□ 隣家との間隔をあけることで、風通しや日照を改善できる

□ 隣家との間をオープンスペース化することにより、延焼リスクを低減できる

□ 家のメンテナンス費用を軽減できる

□ 固定資産税や都市計画税が安くなる

□ 家の耐震性能が上がる

□ 家の光熱費を軽減できる

□ 防犯上の死角が減る

□ 住み慣れた家を離れずにすむ

減築リフォームの需要が増える!? これからの住まいはコンパクト化へ | 住まいの「本当」と「今」を伝える情報サイト【HOME'S PRESS】

 

住宅、公共建築物、民間の商業施設などに広がる減築

 

イギリスではロンドンオリンピックで使用された競技場を減築(客席を1万7,500人から2,500人に減らした)しました。運営コストの削減につながったりしているようです。減築しやすい設計というのもポイントです。

 

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(画像引用元:大減築時代の到来!?:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京

 

JR西日本の倉敷駅の駅ビルはもともと8階建てでしたが、3階から8階部分を解体しています。駅ビル減築の背景には倉敷駅周辺の買い物客は郊外にショッピングセンターができたことなどがあります。

 

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画像引用元) 

 

減築によって維持管理費が下がり(2割減)、客室稼働率が高水準をキープ(約8割)していることで営業利益(1割増)が上がったホテルもあります。浜名湖に面した名湯として知られている舘山寺温泉が売りのホテルウェルシーズン浜名湖ではホテルの13階から4階部分を減築しました。

 

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画像引用元

 

自治体も財政難により公共施設の維持管理コストは莫大です。それに老朽化しています。そんな中、千葉県佐倉市の消防署では3階から2階への減築を行うことで建て替えに比べて大幅にコスト削減が可能になりました。

 

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画像引用元) 

 

イチかゼロではなく

 

建て替えか解体かという白黒はっきりつける感じではなく、建物の中で今の時代において本当に必要な部分だけを残す減築という発想と手法はこれから注目です。