宇野常寛さんのラジオ番組で空き家活用について質問してみた
今年の1月のNHKの番組「日本新生」で空き家問題が特集・放送されました。そのとき出演していた宇野常寛さんの空き家に対する考え方や住み替えを前提とした賃貸住宅の拡張の必要性など、とても納得しました。
そして放送終了後、毎週月曜日の深夜11時30分から放送されている宇野常寛さんのラジオ番組「J-WAVE THE HANGOUT」で空き家の活用について質問メールを出してみたんですね。そうしたら本編では読まれませんでしたが、ニコニコ動画で配信している”延長戦”のほうでなんとぼくの質問メールが読まれました!
(画像引用元)
ゴーストタウンにしかならないところを整理
質問の趣旨は、空き家の3〜4割を占める市場に出ていない個人住宅を活用していくためにはどんなアプローチが有効か、ということです。
そこでまず必要なのは、これ書くと怒られそうですが、ゴーストタウンにしかならないところを整理して、人口減少の現代から未来にかけて人が住めるエリアと住めないエリアを分けていくことです。そして、立地条件の良いエリアやこれからも住宅地として考えていく必要のあるエリアの空き家をどんどんリノベーションして賃貸化したり、市場に出していくことが必要である、と。
”国土の均衡ある発展”の次のステージへ
つまり”国土の均衡ある発展”という理念のもと、全国の隅々まで高速道路や空港、新幹線が通り、駅前商店街や工場、そして宅地がたくさん建設されたわけです。当時は若者の数が多く(団塊の世代)、人口ボーナス期だったから経済成長する伸び代が今よりもありました。
戦後、日本のまちづくりの全体戦略というのは、基本的には政府が全国開発総合計画(全総)というものを立て、『国土の均衡ある発展』 *1 という理念のもとで実施されてきました。その結果、私たちは日本の隅々にまで高速道路、空港、新幹線を見ることができます。
人口ボーナス期というのは、端的に言うと「労働力人口がたくさんいて高齢者がちょっとしかいない国の状態」を指します。日本の70年代だと思ってください。若者がたくさんいて高齢者がちょっとしかいないので、一言で言うと、社会保障費が全然かからないんです。なので、その国は人口ボーナス期の段階では経済発展するのが当たり前、というふうにデービッド・ブルームは言っています。
※ Taken from 日刊読むラジオ at http://www.yomuradio.com/archives/4827
しかし現代は当時建設された建物やインフラの老朽化に伴い維持管理のコストはかかり、人口減少がこれから本格化(2020年以降)していく中 、”国土の均衡ある発展”は現状にそぐわない理念になっていることは明らかです。
若者や外国人が気軽に賃貸住宅に住めるように
次に賃貸住宅の拡張のお話もありました。若者の住宅問題というのは深刻で、未婚で年収200万円以下の若者の8割は親の実家に住んでいる、という調査結果も出ています。親家の安定は必ずしも持続せず、低所得者向けの住宅供給がまさに課題です。
通常、賃貸住宅は入居審査が厳しく、正社員のお父さんとか役人の兄貴がいないとまともに部屋を借りられません。こういった状況をどんどん切り崩して賃貸住宅に若者や外国人などが気軽に住めるようになることが重要です。さらに言うと、そこで商売したり仕事をしたり、新しい価値を生み出す場所にしたりということも必要です。
これには規制緩和など法令の改正や行政の働きもポイントになります。
まとめ
ポテンシャルのありそうなエリアの空き家のリノベーションを進めること、そしてライフステージやライフスタイルに応じて住み替え出来るように賃貸住宅を拡張していくこと、さらに低所得者への住宅保障(ハウジングファースト)を実現すること、これらが今回導き出されたこれからの住宅のあり方のビジョンです。これらのビジョンの実現には法令の改正や行政の支援も必要になってきます。
最後に、真摯に質問に応えてくださった宇野さんに感謝です。
宇野さんのラジオ番組はこちらから。