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空き家グッド

空き家、空き室、空きビル、空き店舗、空き倉庫は問題ではなく可能性!空き家を活用して社会的課題を解決し、新しい街のコンテンツに生まれ変わらせる。そんな観点から書いているブログです。

不動産とまちづくりは表裏一体!不動産ビジネスでまちづくりを進める|ニュー不動産展「まちと不動産の幸せな関係」イベントレポート

MAD City

ニュー不動産展へ行ってきた

 

2015年8月28日(金)〜30日(日)にかけて渋谷ヒカリエニュー不動産展が開かれました。

 

「ニュー不動産」は造語で、面白い物件のセレクトマーケットや、DIY、シェアなどのテーマを持った住まいの提供など、これまでになかった不動産とユーザーの出会いを創出するサービスを指す。イベントではこれらのサービスを6つのテーマに分け、30の団体が参加するトークセッションが行われた。

トークセッション「ニュー不動産展」開催 ツクルバ

 

このイベントの代表者である(株)ツクルバの中村真広さんのブログには今回の豪華メンバーを揃えた趣旨や目的が綴られています。

 

賃貸・売買の領域はもちろん押さえつつ、不動産契約未満のタイムシェアリングでの空間資源の活用事例も紹介したい!そもそも不動産単体の前にエリアの価値向上も重要だと考えているので、そこに対してアクションしている方々もお呼びしたい!不動産との出会い方が変わるきっかけにテクノロジーの力が寄与するはずなので、そんな取り組みをされている方々をお呼びしたい!世間的にも話題になったシェア型の住まいの現状とこれからについても議論したい!・・などと発想していったら、今回のような豪華な方々にお声がけすることになり、結果として多くの皆様にご協力いただけることになりました。自分で言うのもなんですが、本当に豪華な登壇者の方々ですよ!

masahiro nakamura blog — 「ニュー不動産展」という実験。

 

session1-1「まちと不動産の幸せな関係」を聴いてきました。

 

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(株)N9.5篠原靖弘さん(一番左)、福岡移住計画須賀大介さん(左から2番目)、(株)まちづクリエイティブ寺井元一さん(右から2番目)、まちづくり会社ドラマチック今村ひろゆきさん(一番右)の4人のトークセッション。

 

まちと不動産の幸せな関係って?

 

4人ともありがちな不動産管理・仲介会社ではなく、”まち”や”エリア”といった面的な広がりを持った仕事をされています。つまり不動産が起点となるのではなく、まちが起点となって各社それぞれのサービスを構築・提供されているのだと感じました。さらに言うと、彼らには「不動産という箱を使って人の生活や暮らしの豊かさを拡張していく」、といったような発想が前提にあるように思います(これは、まちづクリエイティブの寺井さんが特におっしゃっていました)。人の生活や暮らしを豊かにするためにまちがあって、そんなまちをつくるために不動産事業があるといった感じです。以下、4人の取り組みについてポイントをまとめていきます。

 

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壁紙や天井クロス、カーテンなどのインテリア製品、床貼りで使用するタイル、非常食定期宅配サービス、輸入壁紙、水性ペイント、スマートロックなど、ニュー不動産に付随する欠かせないサービスの数々が会場内に展示されていました。

 

1 篠原靖弘さん(株式会社N9.5)

 

まず会社名のN9.5の名前の由来は「白」だそうで、色々な色を重ね合わせて関係しあうという理念があります。N9.5は、まち暮らし不動産西国図書室阿佐ヶ谷もちより食堂など、様々な事業を持っている会社で、ワーカーズコレクティブという形でメンバーのそれぞれがリーダーシップを持ち、お互いに協力し合うという関係性を重視されています。

 

光の色は、色と色が重なると、重なったところには、明るい新しい色があらわれます。
それぞれの人が、それぞれ違う色で輝けば輝くほど、人と人のあいだには「明るい場」ができるのです。
さらに、多くの色が重なり合うと、そこは「白」に近い色になります。
わたしたちは、そのような場所でありたいと思い、「白」を表す「N9.5」を社名にしました。
それぞれがリーダーシップをもち、自分に誠実に仕事をするお互いの色を認め、お互いを活かし、お互いの間に生まれる新しい色を楽しみながら、それぞれに、輝いていく。
そういう会社でありたいと思っています。

社名について | N9.5 INC.

 

篠原さんのお話で印象的だった言葉は「”家に住む”から”まちと暮らす”へ」です。つまり個人の家だけで生活が完結するのではなく、まちが個人の家の集合体であるということです。お風呂に入るときには銭湯に行く、ご飯を食べるときには食堂や飲み屋に行くなど、生活のサイクルの中でまちへ当たり前に接続するという感じです。他には公園、カフェ、寺、図書室、コワーキングスペースなどなどまちのコンテンツを利用し尽くすことがポイントです。

 

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「まち暮らし不動産」について話す篠原さん。

 

篠原さんのウェブサイトなどはこちら。

N9.5(ウェブサイト)
N9.5(Facebook)
まち暮らし不動産(ウェブサイト)
まち暮らし不動産(Facebook)

 

2 須賀大介さん(福岡移住計画)

 

岩手移住計画や札幌移住計画、島根移住計画、佐賀移住計画など「⚫︎⚫︎移住計画」の嚆矢は京都移住計画ですが、初めての暖簾分けは福岡移住計画でした。福岡移住計画の発端は、ハイコスト、人口過密、経済的に肥大化した社会システムといった「東京モデル」の限界を感じたことです。そして福岡の地に”余白”や”可能性”を見出し移住支援を進めています。

 

僕たちが、時間も資産も投じて、この活動を継続する背景には、東京での20年近い活動の中で感じた『東京モデル』の限界があります。それについては、人によって、もしくは視点によって、意見も変わる部分なので、多くは語りません。

しかし、わたしたちは第一に東京での


・ハイコスト
・人口過密
・経済的に肥大化した社会システム


この3点によって、若者が活躍し、あるいは起業し、あるいは社会参画して成熟度を増すためには、余りにも多くの時間と労力を使わねばならないという点に、言葉に出せないモヤモヤ感を感じながら生きてきました。

3.11をきっかけに、上記の社会システムの脆さにも気づき、日本全国移住先を検討しました。結果、福岡にもっとも可能性を感じ、移住しました。
移住後、過ごしてきた時間を振り返って見て、この街には、東京にはない『余白』と『可能性』が多く残されていると強く感じます。

福岡移住計画について » 福岡移住計画

 

そんな福岡移住計画を主催されているのが須賀大介さんです。須賀さんは3年前に家族で福岡へ移住し、2013年に自らの移住体験をもとに福岡移住者をサポートする活動である福岡移住計画を立ち上げました。つぶれたスーパーをリノベーションしたイベントスペース/コワーキングスペース「ライズアップケヤ」などを中心に、移住者の居場所をつくる活動を進めています。

 

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 「地方移住×不動産」というテーマでお話をしてくださいました。

 

須賀さんのウェブサイトなどはこちら。

福岡移住計画(ウェブサイト)
福岡移住計画(Facebook)

 

3 寺井元一さん(株式会社まちづクリエイティブ)

 

株式会社まちづクリエイティブの寺井元一さんは、もともとは渋谷でアート・スポーツ・ビジネスなど若者の才能支援を目的としたNPOで活動されていました。しかし結果的に渋谷のつまんなさに直面し、2010年5月に株式会社まちづクリエイティブを設立します。千葉県松戸駅前で行われているまちづくりプロジェクト「MAD Cityプロジェクト」を軸に、民間企業の立場からまちづくりに取り組まれています。

 

松戸駅前で行われている、まちづくりプロジェクトです。地域のストックである空き家を利活用することで地域内外からクリエイティブ層を誘致し、入居者の自発性を引き出すことでまちの活性化を図ります。プロジェクト開始以来、5年を経て延べ200人近いクリエイティブ層を誘致してきました。

MAD City - つづく世界をつくる。まちづクリエイティブ

 

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まちづクリエイティブでは、知識産業の創出と定着に注目した研究であるクリエイティブシティの議論などを研究しつつ、まちづくり事業においてそれを実践しています。

 

『「つづく世界」をつくる。』という理念を掲げているまちづクリエイティブですが、具体的にどんなまちづくり事業に取り組んでいるかというと、改装可能・原状回復不要な賃貸物件を取り扱っている不動産事業が中核にあると思います。つまり空き家や空き室を入居者がDIYで改装するという、能動的に自らの暮らしをプロデュースする人たちを呼び込もうとしています。「個性的な不動産は個性的な人を集められる」という寺井さんの言葉が印象的でした。オリジナリティー溢れる改装を施した個性的な不動産にはクリエイティブな仕事や活動をしている面白い人が集まる、そういう好循環が生まれたまちは魅力的です。

他にもMAD Cityの尖ったビジョン(市民憲章)海外のスクワットの話などが面白かったです。

 

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取り扱い物件57件のうち、改装可能物件が50件。居住用やアトリエ、オフィス・店舗として利用されています。

 

寺井さんのウェブサイトなどはこちら。

株式会社まちづクリエイティブ(ウェブサイト)
株式会社まちづクリエイティブ(Twitter)
MAD City(ウェブサイト)
MAD City(Facebook)

 

4 今村ひろゆきさん(まちづくり会社ドラマチック)

 

間借りブッケンメディアMaGaRiやWEBマガジン東東京マガジンなどを手がけているまちづくり会社ドラマチックも、既存の建物を再生・活用することでそこに面白い人や活動を根付かせ、ネットワークを広げ、さらに新しい人を呼び、にぎわいをつくる、というまちづくりに取り組んでいます。今回のセッションのモデレーターも務めていた今村ひろゆきさんも民間の立場からまちづくり事業に取り組まれています。

 

「活かす、繋ぐ、しかもドラマチックに」をテーマにまちづくりの企画運営を行います。
モノも建物も飽和状態の今、もう、お金をかけて新しい建物をつくるだけではまちは元気になりません。

既存の建物を再生・活用し、そこに面白い人や活動が根づき、ネットワークを広げ、
彼らの活気がまた新しい人を呼び、にぎわいをつくる。

そんなサイクルがあれば、まちは元気になり、たくさんの人が街に愛着を持つようになります。
ハードだけではなく、ソフトとして人や活動を応援する仕組みを充実させたい。
ドラマチックは、そのような視点でプロジェクトを進めています。

www.drmt.info 

 

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既に所有者のいる店舗やオフィス、商店街、ビルなどの空いている空間や時間を発見し、紹介・マッチングしていくメディア「MaGaRi」といったシェアエコノミーを起点としたサービスは空き家が増加するこれからの時代にますます重要になっていくと思います。

 

今村ひろゆきさんのウェブサイトなどはこちら。

まちづくり会社ドラマチック(ウェブサイト)
まちづくり会社ドラマチック(Facebook)

 

最後は4人でフリートーク・やっちゃいけないことを頑張って減らす

 

最後は登壇者の4人でフリートークでした。福岡移住計画の須賀さんからまちづクリエイティブの寺井さんに「松戸に才能が集まっているが、どんな風につなぎとめているのか?」という質問がありました。これに対して寺井さんは、内に向かいがちなコミュニティではなく、自律的かつ能動的に行動するアソシエーションが重要になると回答していました。

まちづくりはやっちゃいけないことを頑張って減らすこと、という話も面白かったです。公園河川敷屋上など公共空間を自由に使い倒すことが出来たらまちはもっと面白くなると思います。

 

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最後は登壇者全員が前に出てきてフリートークでした。

 

生まれ故郷だからまちづくりをやるのではなく、プロフェッショナルなまちづくり屋として事業に取り組むという寺井さんの姿勢も印象的です。そして、まちづくり事業を進める上で不動産ビジネスが大きな力になると。つまり、不動産とまちづくりはコインの裏表という関係でとても親和性が高いわけです。

最後に、「故郷はつくれる」という話も面白くて、全然縁もゆかりもない、今住んでもいない松戸でまちづくり事業に取り組むことでホームタウンをつくっているということです。

 

最後はちょっとまとまりがなかったですが、当日の動画がYouTubeで公開されていますので、トークセッションの内容が詳しく知りたい方は動画をどうぞ。

  

ニュー不動産展 session 1-1 まちと不動産の幸せな関係 - YouTube

 

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2015年6月からニュー不動産展にも登壇した寺井さんが代表を務めるMAD Cityのメディア「madcity.jp」に関わっています。ぜひこちらも御覧ください!

連載・コラム | MAD City:松戸よりDIYと暮らし、物件情報を発信

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2015.9.17追記

All Aboutで中川寛子さんがイベントレポートを書かれています。

 

街にはいろいろな要素がある。寺井さんはマッドシティの複数の拠点、さらにその中にある個々の部屋は、その多様性を表現しているという。部屋が集まって建物になり、建物が集まって街になっていると考えれば、身近にある部屋のひとつずつは街でもある。そして、身近にある自分の部屋を自分の好きに変えられるとしたらどうだろう。「自分の部屋をリノベしたら、次は街で何か、やりたいという気持ちに繋がる。部屋が変えられることが分かったら、街も変えられると思えるし、変えられることが大事だと思う」。

 

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