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空き家を活用して新しい価値をつくる

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空き家活用に補助金を出す東京都の新しい取り組みに良くも悪くも注目

空き家を活用する介護事業者や空き家所有者などに補助金

 

今日の朝日新聞のこちらのニュース、「空き家を活用なら補助金 東京都、介護職員宿舎など想定:朝日新聞デジタル」によると、全国の空き家数820万戸のうち1割に及ぶ82万戸の空き家が存在している東京都で、空き家活用にかかる経費に補助金を出す新しい取り組みが新年度から始まるそうです。

全国の空き家の約1割が集中する東京都が、空き家を借り上げて職員宿舎として活用する介護事業者や、児童養護施設を出た子どもに空き家を貸す所有者らに、経費を補助する独自の有効活用策に乗り出す。新年度予算案に数億円を計上する方針だ。

空き家を活用なら補助金 東京都、介護職員宿舎など想定:朝日新聞デジタル

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(画像引用元:空き家を活用なら補助金 東京都、介護職員宿舎など想定:朝日新聞デジタル

空き家を借り上げて職員宿舎として活用する介護事業者への補助金を出す話は先日、記事にしたばかりでした。 

akiya123.hatenablog.com 

 

補助金の対象は?

 

今のところ東京都の空き家活用の取り組みで、補助金の対象になるのは介護や児童擁護、就学前児童など、福祉的な色合いが強いです。公金なので、これは当然のことといえば当然です。

都関係者によると、補助対象になるのは、災害時に高齢者や障害者ら特別な配慮が必要な避難者を受け入れる福祉避難所(約1200カ所)のうち、施設周辺の空き家を災害時に素早く対応できるよう職員用の宿舎として借り上げる高齢者介護事業者。家賃の一部を都が補助する。不足する介護人材の安定的な確保につなげる狙いもある。

児童養護施設を出た子どもを受け入れる空き家の所有者には、受け入れに必要な改修費の一部を都が負担し、入居する子どもの生活基盤が安定するまでの家賃を軽減させる。このほか、未就学児らの学習支援など「居場所」として空き家を活用する施策も検討する。

空き家を活用なら補助金 東京都、介護職員宿舎など想定:朝日新聞デジタル

 

都内では、世田谷区や豊島区などで空き家活用の取り組みが進んでいる

 

新年度から東京都で実施予定の空き家活用の取り組みをご紹介してきましたが、都内でいうと、世田谷区や豊島区では東京都に先んじて空き家活用に取り組んでいます。世田谷区では保坂展人区長が空き家活用に熱心で、空き家活用フォーラムを定期的に開催したり、空き家を活用して地域貢献している団体や事業者に初期整備費を最大200万円まで助成したりする取り組みを始めています(詳しくは、「空き家等地域貢献活用相談窓口|市民まちづくりの支援|トラストまちづくり事業|一般財団法人世田谷トラストまちづくり」へ)。

akiya123.hatenablog.com

また、豊島区ではリノベーションまちづくり構想を掲げ、子育て世代が住み続けやすいまちづくりを進めるために、空き家や空き室をリノベーションして事業化させ、まちのコンテンツを生み出す取り組みを始めています。

akiya123.hatenablog.com

 

補助金は初期整備費や空き家改修費の足しにするだけ

 

東京都で新年度から始まる空き家活用の取り組みは補助金がメインです。懸念されるのは、補助金目当てに応募してくる事業者や所有者がいないかどうかです。木下斉さんが指摘しているように、補助金依存の悪循環の構図に陥らないようにしていく必要が有ります。

麻薬依存症からの脱却同様に、補助金依存症からの脱却は個人だけではなく、組織的問題でもあるので、解決は極めて困難を極めます。ただ重要であるのはトップの意思決定であることは言うまでもありません。補助金をもらわない、もらわないでもやれるようにする。やらない場合は一度組織を解散する、くらいの気概の意思決定をしないと、なあなあと続いていき、結局活性化なんかないけど、自分たちの組織維持のために事業をやり続けていき、財政などの方針に左右され、予算が減らされて潰れるということになったりします。

「補助金依存の悪循環」(No.1003) | 経営からの地域再生・都市再生 [木下斉]