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空き家の活用で有効なのはサブリースだ!空き家を借り上げてサブリースする事業者まとめ3選

空き家所有者の負担はゼロ

先月の日経のこちらの記事によると、NPO法人空家・空地管理センターが空き家を借り上げ、サブリースすることで空き家の有効活用を進める事業をスタートさせたことが紹介されていました。空き家所有者の立場からすると、実質負担はゼロで、しかも空き家を改修してくれて、サブリースの入居者からの賃料も入るという、一石三鳥な事業です。

空き家の改修費用を家主に代わって不動産会社が負担し、家の賃料で回収。家主は固定資産税など税金分を受け取る仕組みだ。家主の負担がなく空き家を改修し賃貸することができる。

空き家解消へ家主の負担なく改修・賃貸 NPOが新たな仕組み :日本経済新聞

サブリースと聞くと、昨年5月にNHKのクローズアップ現代でも、その詐欺まがいの契約の問題点が特集されるなど、一般にあまり良いイメージは無いかもしれません。しかし、不動産市場に出ていない個人住宅の空き家やポテンシャルを活かしきれていない空き家の活用を進めるうえで、有効な手段です。そして、空き家を借り上げ、サブリースすることで着実に空き家の再生・活用を行っている事業者をご紹介します。

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サブリースの仕組み(画像引用元

(1)NPO法人空家・空地管理センターの「AKARI」

冒頭取り上げた日経の記事で紹介されていた、NPO法人空家・空地管理センターが新しくスタートさせた空き家サブリース事業「AKARI」は、同NPOの関連事業会社である北斗ソリューションズ株式会社が、空き家を3〜7年間借り上げ、リノベーションを行ったうえで、賃貸戸建や店舗、民泊などに活用するという事業です。特に個人住宅の空き家の所有者にとって、賃貸に出すと一言で言っても色々難しかったりすると思います。であれば、改修もしてくれて、入居者も見つけてくれて、いくばくかの家賃も入ってくる(固定資産税や都市計画税をまかなえる位)ならば、空き家のサブリースは大きな可能性があります。なお、この事業の特徴やメリット・デメリットはこちらのサイトが詳しいです。

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サブリース第1弾は戦前の古民家を改修し、DIY可能な賃貸戸建として運用するそうです。今年3月には「空家びらき」イベントも開催され、現在は入居者は見つかったのか気になります。

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今後、首都圏を中心に年内に10件程度の契約を目指す、ということで楽しみです。

まず3月に東京都三鷹市の空き家を不動産会社が改修し、賃貸住宅として仲介した。5年間の契約で、改修費用は約500万円。固定資産税や都市計画税分の年間約20万円を所有者に支払う。このほか埼玉県所沢市でも入居者の募集を始めた物件がある。同センターは埼玉県など首都圏を中心に年内に10件程度の契約を目指す。

空き家解消へ家主の負担なく改修・賃貸 NPOが新たな仕組み :日本経済新聞

(2)株式会社ルーヴィスの「カリアゲ」

リノベーション専門誌「リライフプラス」で、リノベーション界の新しいヒーローとして紹介されている福井信行さんが代表を務める株式会社ルーヴィスが昨年からスタートしたのが空き家サブリース事業「カリアゲ」です。建物の老朽化や改修の費用負担などといったリスクを、空き家所有者の代わりに負うという、空き家所有者に寄り添った発想が出発点です。

空き家が社会問題化している昨今でも、オーナーの不安である「こんなに古い物件を直して本当に入居者がいるかの?」とか「数百万もかけて、資金は回収できるのか?」という疑問は拭い去ることはできず、建物の老朽化や費用負担がオーナーの大きな不安となっているならば、そのリスクをこちらで負うことにして、空き家を活用していこうと思い、始めたのが「カリアゲ」というサービスです。 

困った空き家をカリアゲる。 新事業をスタート ルーヴィスvol.6|東京都 目黒区|「colocal コロカル」ローカルを学ぶ・暮らす・旅する 

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現在は、木造2階建て賃貸の「下目黒の家」と、RC+一部木造2階建て賃貸の「中野新橋の長屋」の2件を扱っています。

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ルーヴィス代表の福井さんが発信するリノベーションに関する情報は、リノベに関心のある人にとってはとても有益です。福井さん個人のフェイスブックから、入居者を募ったというのもポイントです。

具体的には福井氏個人のフェイスブックページでの発信で、そこから友人がシェアするという程度。だが、それでもリノベに関心のある人にとっては福井氏が何か手掛けているという情報は気になる。そのため、解体直後にすでに借りたいという希望者が現れ、その後、竣工直後の下見で即決したという。これが、一般的なポータルサイトへの出広だったら、そこまで素早く決まったかどうか。物件にもよるが、届けたい相手に情報を届けられる人をビジネスパートナーにする意味は大きいはずだ。

負担ゼロで築古の三重苦物件を再生した「カリアゲ」の仕組みとは?

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(3)MAD Cityプロジェクト

千葉県松戸駅前の半径500mのエリアを中心に、空き家を借り上げて、DIY改装可能な賃貸物件として貸し出し、アーティストやクリエイターを呼び込むまちづくり事業「MAD Cityプロジェクト」。こちらの事業は、空き家をサブリースの手法で活用し、さらにエリアを絞って面白い人たちを集め、クリエイティブな自治区をつくってしまおうという、全国的にも類を見ないまちづくりプロジェクトです。

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松戸駅前の宿場町だったエリアを中心に、風景が変わりつつあります(画像引用元

60件近い取り扱い物件のうち、ほとんどがサブリース物件ということで、まさに空き家サブリースでまちをつくっています。エリアをつくる空き家サブリース、という発想はMAD Cityならではでしょう。

千葉県松戸の駅前に面白い地域がある。その名もMAD City。株式会社まちづクリエイティブのプロジェクトから生まれた、「クリエイティブな自治区」だ。
まちづクリエイティブのビジネスモデルの核は不動産業だが、一般の不動産屋とは趣が違う。彼らにとって、不動産物件は外から人を呼び込むためのインセンティブであって、活動の主眼はまちづくりにある。
彼らは、サブリース(転貸)のビジネスモデルを活用して松戸の一角、半径500メートルの範囲をMAD Cityと再定義し、新しい街を作っている。

【インタビュー・前編】不動産業を核に、クリエイティブな自治区をつくる・ 株式会社まちづクリエイティブ|Re:Tokyo | 未来住まい方会議 by YADOKARI | ミニマルライフ/多拠点居住/スモールハウス/モバイルハウスから「これからの豊かさ」を考え実践する為のメディア。

MAD Cityではサブリースの手法により、改装可能・原状回復不要な賃貸物件を数多く扱っています。物件検索はこちらから。また、多彩なイベントも随時開催しています。

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最後に

以上、空き家サブリース事業者の事例を見てきました。サブリース事業者の立場から見ると、空き家所有者に家賃はちゃんと払わないといけないし、入居者もちゃんと見つけてこなくてはいけない、必要な改修についてのサポートも求められます。そういった意味で、既存の不動産事業とはだいぶ事業内容が異なってくると思います。しかし、空き家が増加している時代だからこそ、既存の仕組みではなく、こういった新しい発想や手法で不動産事業に取り組む事業者の存在は大きな価値があります。