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新築中心の不動産市場は否応無く崩壊する

2018年6月13日、野村総研によりニュースリリースが公表されました。結論から言うと、もはや新築中心の不動産市場は否応無く崩壊し、空き家の増加が都市生活に具体的な悪影響を及ぼし出します。今回のレポートでは大工の人数の予測をしている点が目新しいです。

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2018〜2030年度までの新設住宅着工戸数

2018〜2030年度までの新設住宅着工戸数は、2017年度の95万戸から2030年度には60万戸に減少していく見込みです。空き家が820万戸もあるのに95万戸も新築作っている不動産市場、それを許している住宅行政。新築たくさん作っておいて、特定空き家の代執行など空き家対策に公費が投入されるというなんともちぐはぐな状況です。

f:id:cbwinwin123:20180616131506p:plain(出典:2030年度の新設住宅着工戸数は60万戸、大工の人数は21万人に減少 | 野村総合研究所(NRI)

2018〜2030年度までのリフォーム市場規模

ちょっと長いですが、住宅着工統計上「新設住宅」に計上される増築・改築工事および設備等の修繕維持費にエアコンや家具等のリフォームに関連する耐久消費財、インテリア商品等の購入費を含めた金額である広義のリフォーム市場規模は、2030年まで年間6〜7兆円台の横ばいに推移していく予測です。空き家がこれだけ多いわけなのでもっと増えてもいいはずですが…。

f:id:cbwinwin123:20180616154036p:plain(出典:2030年度の新設住宅着工戸数は60万戸、大工の人数は21万人に減少 | 野村総合研究所(NRI)

2018〜2030年度までの空き家数・空き家率

そして空き家数・空き家率ですが、既存住宅の除却、住宅用途以外への有効活用が進まなければ2033年に1,955万戸・27.3%へと上昇する見込みです。5年ごとに実施される総務省の住宅・土地統計調査の最新の調査が現在行われています。おそらく2019年夏頃に速報集計結果が公表されると思われます(前回調査結果は2014年7月29日に公表)。空き家率が30%近くになると予測されているわけですが、2013年に財政破綻したアメリカデトロイトの空き家率は29.3%、2007年に財政破綻した北海道夕張市の空き家率は33%です。もう終わってしまったNHKの討論番組シリーズ日本新生では過去に空き家問題が特集されていて、明海大学不動産学部の齊藤広子教授は「空き家率が30%を超えると財政破綻する」とおっしゃっていました。今回のレポートでは、一自治体ではなく国全体で空き家率が30%近くになると予測されているわけで、特定空き家の除却しかり特定空き家予備軍の適正管理、有効活用可能のある空き家を様々な用途でどんどん活用していく、そして合理性のない新築は作らない、こういったことを本気でやっていかないとまずいです。

f:id:cbwinwin123:20180616154705p:plain(出典:2030年度の新設住宅着工戸数は60万戸、大工の人数は21万人に減少 | 野村総合研究所(NRI)

2018〜2030年度までの大工の人数

大工の世界も高齢化が進んでいて2030年には21万人まで減少する予測です。建設業の人出不足倒産の件数は他業種と比べて高水準であり、マンパワー不足という問題も大きいです。

f:id:cbwinwin123:20180616154844p:plain(出典:2030年度の新設住宅着工戸数は60万戸、大工の人数は21万人に減少 | 野村総合研究所(NRI)