空き家の活用で社会的課題を解決するブログ

空き家を活用することで新しい価値を生み出し、社会的課題解決へつなげる好循環をつくるために書いているブログです。

民泊を育てていくために必要な2つのこと

民泊新法は骨抜き?

今年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、7月29日時点で民泊届出件数は6,603件(民泊受理件数は5,235件)となっています。民泊仲介大手プラットフォームであるAirbnbの全国の登録件数は6月2日時点で5万件以上でした。急増するインバウンド(訪日外国人)の受け皿という観光の観点、空き家や空き室の有効活用というシェアリングエコノミーの観点から民泊を推進しつつも、違法な無許可営業を行うヤミ民泊に関しては地域住民の生活環境の脅威となったり利用者の安全が脅かされる事件も起きていることから、必要な規制を着実に実行していくことが重要です。現状としては、民泊を観光の受け皿としシェアリングエコノミーを推進したいとしつつも、現場となるマンションの管理組合や各自治体においては民泊の負の側面(騒音やゴミ出しなど地域住民の生活環境悪化など)への対策が最優先とされ、独自のルール(管理規約や条例)により事実上、民泊を締め出しているようなケースが目立ちます。まさにせっかくの民泊新法が骨抜きになっている状態ともいえます。

届け出を受理する割合が少ない自治体の多くは、民泊を営業できる区域や期間などを制限する追加規制を条例で定めている。京都市は家主が同居していない施設は約10分で駆けつけられる管理人が駐在するよう義務づけた。手続きの際の添付書類が通常より多い20点以上必要で不備が起きやすいという。任意の現地調査もあり時間がかかる。

民泊届け出 受理低調 自治体、追加規制で確認に時間 :日本経済新聞

(公財)マンション管理センターは27日、民泊対応状況に関する管理組合アンケート調査の結果を公表した。
調査は6月15日~7月6日、同センターに登録する約8,600組合に対してウェブ上で回答してもらった。有効回答数は105組合。
住宅宿泊事業法による民泊の取り扱いでは、「全面的に禁止」が96.2%を占めた。「一部許容」「全面的に許容」はいずれもゼロで、民泊を許容する取り決めをした組合はなかった。

マンション管理組合の96%が「民泊全面禁止」 | 最新不動産ニュースサイト「R.E.port」

f:id:cbwinwin123:20180825160244p:plain(出典:https://www.airbnb.jp/rooms/4909611?s=X72qjLzUAirbnbのサイトから。質の高い民泊をいかに広げていくかが課題です。

民泊の経済的側面よりも社会的規制をめぐる問題へシフト

当初、民泊をめぐる問題はインバウンドやシェアリングエコノミーの推進によりビジネスの拡大を狙った新興勢力と、それに反対する既存のホテル・旅館業界との対立といった趣きでした。しかし、現状では民泊の現場の生活環境との調整をどう図っていくかが大きな論点となっています。立教大学観光学部の東徹教授によるこちらの記事から重要な箇所をピックアップさせていただきます。

民泊問題に対処するルールづくりの過程において、当初は、インバウンド振興とシェアリング・エコノミーの推進という経済的な側面が前面に押し出され、民泊をビジネス・チャンスととらえる不動産業界等、民泊推進派と、規制の公平性を訴え、これに反発する宿泊業界が対立する構図がみられたが、ルールづくりの舞台が国から各地域に移るとその構図は一変し、住民の声が大きくなる結果、民泊の経済的側面よりも、生活環境をどう守るかという、社会的規制をめぐる問題が主要なテーマとなった。 

「民泊新法」は民泊に新たな秩序をもたらすのか - 東徹|WEBRONZA - 朝日新聞社の言論サイト

自治体の上乗せ規制はあくまでも社会的規制にとどめる

多くの自治体で条例による独自規制を制定しています。区域・期間制限を含む条例、広域性のみの条例など150自治体のうち52自治体が住宅宿泊事業法18条(区域を定めて期間を制限できる)を根拠に、民泊を規制する条例を制定しています。地域住民の安全安心な生活環境を整備するためにある程度の社会的規制は必要です。しかし、観光客の受け皿や空き家や空き室の有効活用といった経済的側面に対する理解もまた必要で、社会的規制をしつつも新しい宿泊サービスである質の高い民泊を後押ししていくことが自治体には求められます。

少なくとも、法第18条を地域独自規制の法的根拠とする以上、民泊の営業を制限する理由は、住民の生活環境の保護という社会的規制に求められなければならない。もちろん、「住専」地域や「平日」の営業制限が規制の理由としてふさわしい「特段の理由」に該当するかどうかは別途検討されるべきであろうが(注7)、少なくとも住民を守るための社会的規制は、法的根拠に基づく自治体としての当然の措置であり、国としてもある程度は認めざるを得ないものであろう。しかし、表面的にはともかく、規制の背後に既存宿泊業者を保護する意図があるとすれば話は別である。それは法第18条を根拠とした規制とは異なる「経済規制」に当たるからである。 

「民泊新法」は民泊に新たな秩序をもたらすのか - 東徹|WEBRONZA - 朝日新聞社の言論サイト

民泊を育てる

まだまだこれからな民泊を新しい宿泊スタイルとして浸透させていくには質の高い民泊の事例を積み上げていくこと、そしてヤミ民泊の監視・取り締まりを強化することです。急増する訪日外国人、急拡大するシェアリングエコノミー市場を背景に、良い民泊と悪い民泊との峻別を丁寧に行っていくことが重要です。

今後民泊を「健全なビジネス」を行う新たな宿泊形態として定着させていくためには、少なくとも、 ①“良い”民泊の事例を積み上げると同時に、②無許可・無届の“ヤミ民泊”の監視・取り締まりを強化することで、住民の安心につなげ、地域社会の理解を得ることが必要である。それが民泊適正化への道であり、不可欠な課題であろう。 

「民泊新法」は民泊に新たな秩序をもたらすのか - 東徹|WEBRONZA - 朝日新聞社の言論サイト

民泊をめぐる関連サービスも続々出てきています。

新法施行に合わせ、大手コンビニエンスストア・チェーンが、民泊施設の鍵の受け渡しサービスを導入するなど、民泊関連ビジネスは今後広がりを見せる気配である。今後次々と生ずる新たな事態に対応しながら、民泊適正化に向け、柔軟にルールの見直しを行っていくことが求められる。 

「民泊新法」は民泊に新たな秩序をもたらすのか - 東徹|WEBRONZA - 朝日新聞社の言論サイト