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空き家を活用して新しい価値をつくる

2018年住宅・土地統計調査の速報値が発表!

5年に1度の住宅・土地統計調査の速報値が発表

 5年に1度の総務省による「住宅・土地統計調査」の速報値が2019年4月26日に発表されました。2018年10月1日現在における全国の総住宅数は6242万戸(5年前の調査から179万戸増)、空き家数は846万戸(5年前の調査から26万戸増)、総住宅数に占める空き家の割合は13.6%といずれも過去最高を更新したことが各種メディアで多く伝えられている。

総務省が26日発表した2018年10月時点の住宅・土地統計調査によると、国内の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の13.6%だった。地方を中心に人口減少などで空き家が増え、戸数も最多の846万戸になった。政府は中古住宅の活用や老朽化した空き家の撤去を促す政策を相次いで導入しているが、空き家の増加に追いついていないのが現状だ。
空き家率13.6% 過去最高、2018年10月時点 :日本経済新聞

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(出典:統計局ホームページ/平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果)確報値の発表は夏頃の予定

新築住宅建設の規制が必要

 不動産コンサルタントの長嶋修さんは空き家数が1000万戸超えるだろうと想定されていましたが、思いのほか増えていない結果となりました。しかし、昨今の統計不正問題もあるので今回の結果を鵜呑みには出来ません。いずれにせよ空き家は増えているので新築住宅建設に規制をかけていく必要があることを長嶋修さんは提言し続けています。空き家対策に公費を投入している現状の中、経済合理性だけを追求した無秩序かつ無計画な新築着工に対しては行政がしっかり規制していくべきです。
 人口が減り空き家が増えている中、新築中心の住宅市場のままだと住宅は資産としての価値が保てません。住宅の所有者こそ自分たちの資産を守るために新築中心から中古中心の住宅市場への転換を訴えていく必要があります。

f:id:cbwinwin123:20190430171814p:plain(出典:【図解・経済】新設住宅着工戸数の推移:時事ドットコム)新築作ることで目先のGDPは上がっても中長期的に見ると住宅の資産価値を毀損している

個人住宅の空き家の増加が目立つ

 今回の調査結果の内容を見ていくと「その他の住宅」*1、つまり個人住宅の空き家の増加が目立ちます。空き家の内訳を種類別に見ると、「賃貸用の住宅」が431万戸(50.9%)に対し「その他の住宅」は347万戸(41.1%)ですが、5年前の調査と比べると「賃貸用の住宅」は2万戸(0.4%)の増加なのに対して「その他の住宅」は29万戸(9.1%)の増加となっています。つまりこの5年間で主に増えた空き家は個人住宅の空き家であるということです。

f:id:cbwinwin123:20190430174707p:plain(出典:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf)平成15年以降、その他の住宅の割合が増加し続けています

賃貸市場に出ていない個人住宅の空き家を活用・再生することの可能性と社会的意義

 賃貸市場に出ている空き家、空き室はまだいいとして賃貸市場に出ていない個人住宅の空き家は外部不経済や機会損失などの弊害が生じがちです。増え続ける個人住宅の空き家を社会的課題解決の場所として活用する、街の新しいコンテンツとして再生する、そういった働きかけがますます重要になってきます。

f:id:cbwinwin123:20190430180036p:plain(出典:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf

*1:空き家の「その他の住宅」とは、「賃貸用の住宅」「売却用の住宅」「二次的住宅」以外の住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅のほか、空き家の区分の判断が困難な住宅などを含む。