空き家の活用で社会的課題を解決するブログ

空き家を活用することで新しい価値を生み出し、社会的課題解決へつなげる好循環をつくるために書いているブログです。

空き家がどんどん活用され、減る未来

10年後(2030年度)の住宅市場はどうなっている?

 2019年6月20日に野村総研から「2030年の住宅市場と課題~空き家の短期的急増は回避できたものの、長期的な増加リスクは残る~」というレポートが公表されました。新設住宅着工戸数の予測、リフォーム市場規模の予測、空き家数の昨年度予測と実績の乖離要因分析という3つのテーマでまとめられています。

新設住宅着工戸数は約30万戸減少する見通し 

 具体的にどのような要因から今後の新設住宅着工戸数を予測するのかというと、移動世帯数、住宅ストックの平均築年数、名目GDP成長率の3点から分析します。

f:id:cbwinwin123:20190630102934p:plain(出典:2030年の住宅市場と課題 ~空き家の短期的急増は回避できたものの、長期的な増加リスクは残る~ | NRIメディアフォーラム | 野村総合研究所(NRI)P.4)

 移動世帯数は、2018年の419万世帯から2030年には383万世帯へ減少する見通し、住宅ストックの平均築年数は、2013年の22年から2030年には29年近くに延びる見通し、中長期的な名目GDP成長率は概ね現状と同水準のまま推移する見通し、と予測した結果、2030年度の新設住宅着工戸数は現状よりも約30万戸減少する見通し(2018年度は95万戸)が示されました。

f:id:cbwinwin123:20190630103615p:plain(出典:2030年の住宅市場と課題 ~空き家の短期的急増は回避できたものの、長期的な増加リスクは残る~ | NRIメディアフォーラム | 野村総合研究所(NRI)P.8)

リフォーム市場規模は横ばい、ないし微増する見通し

 今後のリフォーム市場規模の予測については、新設住宅着工戸数(7〜9年前)、平均築年数、名目GDP成長率の3点から分析します。それによるとリフォーム市場規模は6〜7兆円台で横ばい、ないし微増傾向が続く見通しです。

f:id:cbwinwin123:20190630111414p:plain(出典:2030年の住宅市場と課題 ~空き家の短期的急増は回避できたものの、長期的な増加リスクは残る~ | NRIメディアフォーラム | 野村総合研究所(NRI)P.12)

2013〜17年度に空き家の除却が大幅に進んだ? 

 最後に、野村総研が2018年に予測した空き家率(16.1%)と2019年4月末に総務省から公表された住宅・土地統計調査の空き家率(13.6%)との乖離について分析しています。細かく説明すると空き家率の他に空き家数、居住世帯あり総住宅数、そして除却戸数について野村総研の予測と住宅・土地統計調査の実績では誤差がありました。主な要因は予想以上に除却戸数が多かったこと(約180万戸の誤差)です。(居住世帯あり総住宅数も約42万戸の誤差がありますが)

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 つまり、2013〜17年度に予想以上に空き家の除却が進んだことが導き出されています。

f:id:cbwinwin123:20190630115604p:plain(出典:2030年の住宅市場と課題 ~空き家の短期的急増は回避できたものの、長期的な増加リスクは残る~ | NRIメディアフォーラム | 野村総合研究所(NRI)P.16)

空き家をどんどん活用し新築を無闇に作らない

 なぜ空き家の除却が大幅に進んだのか、理由としては2015年施行の空き家対策特別措置法や税制改正などにより空き家に対する国や自治体の政策が整備されてきたことや、それに伴ってメディアでも空き家に関するニュースや記事が取り上げられることが増えてきて社会的関心が高まっていることなどが挙げられます。
 いくら空き家をどんどん活用しても、人口・世帯減少する中で新築住宅を作り続けていては切りがありません。そのため不動産コンサルタントの長嶋修さんが再三言うように新築を無闇に作らせないように自治体による住宅総量管理を実践していくことが重要です。類似の取組として、都市機能や居住区域を集約する計画である立地適正化計画といったコンパクトシティ政策は実効性が疑問です。一方で神戸市や東京都中央区ではタワーマンションの新築規制を本格化するなどの動きもあります*1*2
 全国各地で空き家の活用や再生する取組、プロジェクトが盛んになってきています。クラウドファンディングなどを活用して資金調達、SNSやインターネットをうまく使って協力者を見つけたり、広報や宣伝もしやすくなっています。こういったテクノロジーや情報ツールを武器に空き家がどんどん活用されていく、そして無闇な新築が規制され空き家が減っていく、街が集約され、歩いて楽しい街、便利な街、安心な街が広がっていく未来を想像します。

f:id:cbwinwin123:20190630120754p:plain(出典:2030年の住宅市場と課題 ~空き家の短期的急増は回避できたものの、長期的な増加リスクは残る~ | NRIメディアフォーラム | 野村総合研究所(NRI)P.20)

*1:神戸市は市中心部でタワーマンションなどの建築を規制する条例改正案を(2019年6月)24日、市議会定例会に提案する。三宮地区約20ヘクタールで住宅新築を禁止、周辺約290ヘクタールで大規模住宅の建設を規制する方針。「人口増」より「街のグレード」 神戸・三宮のタワマン規制、市が条例案 - 毎日新聞2019.6.17

*2:東京都中央区でも(2019年)7月からマンションの容積率緩和策を廃止するなど、規制に乗り出す。