マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

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生活とシェアオフィスと遊休不動産

 2019年10月中旬、以前から気になっていた神奈川県川崎市溝の口にある、築90年以上の元診療所兼住宅だった空き家をリノベーションしてシェアオフィスにした「nokutica(ノクチカ)」の有料イベントに行ってきました。DIY賃貸をテーマにした内容で、不動産投資家や大家と思われる方がたくさん来ていました。現場で写真を撮り、空き家が再生されるプロセスについて調べ、こちらのウェブメディアに記事を寄稿しています。

fudousan-iroha.jp

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利用者の8割が近隣住民

 溝の口の駅近の好立地に2017年に空き家をリノベーションして誕生したnokuticaはレンタルスペースやコワーキング、レンタルオフィス、テイクアウト専門のコーヒー店からなるシェアオフィスです。コワーキングスペースは70人弱が利用し、現在応募を停止するほどの人気、レンタルスペースも月140組利用しています。なお、コワーキングスペースは全利用者のうち8割が近隣住民です(元記事はこちら)。

長時間通勤のコスト

 オフィスまで電車やバスに乗って満員電車に揺られ長時間通勤することは単純に疲れますし、時間もロスします。車内の時間でスマホ見たりして有効活用している、というかもしれませんが本来であれば集中出来る落ち着いた環境で情報収集なり仕事なり動画視聴なりした方が満足度は高いはずです。会社側も高い通勤手当の支給は負担ですし、従業員が心身ともに気持ちよく働ける環境を作る責任ある立場として長時間通勤は改善していくべき問題です。

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職住近接なシェアオフィスのニーズ

 その点、nokutikaは近隣住民の利用がほとんどで職住近接のライフスタイル、ワークスタイルを実践する方々のサードプレイス的な場所となっているように思います。夫婦共働きは当たり前、子育てや介護などをしながら働くダブルワークも当たり前です。人口減少がこれからますます進む中、どこも人手不足です。インターネットの発達やスマホの普及などを背景に工業社会から情報社会へと働き方は変化しています。決められたことを疑問を感じずに忠実に実行する能力ももちろん大事ですが、より大事になっているのが課題を自ら見つけ解決に向けてアイデアを出したり、解決に向けて思考し行動していく知的生産です。その上で生活圏内にあるシェアオフィスのニーズは今後ますます高まると考えます。
 東京都内におけるコワーキングオフィスの市場規模も大きくなってきています。生活と仕事の調和、シェアオフィスのニーズ、そして地域に点在する限りなく使われていないと思われる不動産とをうまくマッチングすることができれば、小規模資本でシェアオフィスを開設できます。決して大きな儲けは出ないけれど確実に地域住民のニーズを満たす取組として遊休不動産のシェアオフィス化は社会的意義が高いです。

f:id:cbwinwin123:20191107070858p:plain(出典:CBREが特別レポート「コワーキングオフィス - 新たな働き方のプラットフォーム」を発表 | CBRE