その空き家で「リノベーションビジネス」してみませんか?part1
リノベーションアイデアコンペ「空き家問題を解決せよ!」が開催
2013年11月4日(月・祝)、「空き家問題を解決せよ!」という課題で、一般社団法人リノベーション住宅推進協議会の主催で開催されたリノベーションアイデアコンペの最終選考会に参加してきました。
リノベーションEXPO JAPAN 2013 第3回リノベーション・アイデアコンペティション
163組の応募作品より、入選作品7作品とエリア部会推薦作品6作品、合計13作品。公開トークイベント形式でプレゼンが行われました。
(パネル展示の様子)
以下、作品に対して感想を述べます。
<審査員選考 7作品>
1.「空き家×自治会」 荒木牧人建築設計事務所 意匠設計 荒木牧人
自治会内に点在する空き家の活用アイデア。優秀作品賞。
(1)学生限定格安シェアハウス
- 家賃月2〜3万円程度。自治会が不動産業者、所有者等との仲介役となる。
- 入居学生は自由に内装等の変更が可能。
- ネット等で広く募集
- 学生が自治会の活動に参加
コメント:「自治会」という地域コミュニティにこだわる必要はないと思いますが、高齢者ばかりの地域(自治会)に若者(よそ者・若者・ばか者?)を受け入れて、自治会と学生双方win-winの関係を築くという発想は素晴らしい。
(2)自治カフェ(ジジカフェ)
- 自治会のジジイたちが運営するカフェ
- 夏祭りやチャリティーイベント等を通じ、空き家の改修費用募金を集める
コメント:ただのカフェだとなかなか人は来ないと思うので、イベントやワークショップなど付加価値をつけることが大切だと思う。
(3)駄菓子屋
- 空き家の一階を店舗スペースとした駄菓子屋に
- 地域の子供が集う場所に
コメント:空き家の一階スペースを何かの商業店舗にするのは面白そう。カフェでも駄菓子屋でも雑貨屋でもギャラリーでもいろいろいけそう。
(4)野菜100円ショップ
- 地元でとれた野菜
- 空き家で野菜の販売
- 100円
コメント:地産地消。100円均一とか主婦が喜びそう。野菜の直販所って結構わかりづらい場所にあったりするからちゃんと店舗設けるのはわかりやすくて良いと思う。
(5)自習室
- 自治会員のセルフリフォームによる自習室
- 主に地域の人たちが利用
コメント:図書館は混んでいる。喫茶店はうるさい。集中して勉強できる場所は必要。
2.「住まい方の再構築 -ある独裁者による革命-」 mizuiro design design部門 古賀亮人 松本識史
これは、ちょっと強引な空き家対策。所有床面積の倍増を義務づけ、そのうち40%を地域のために提供・活用を義務づけ、最終的には地域に還す?という仕組みを法律で強制的に実行しようというもの。しかし、やろうとしていること自体は素晴らしいです。
- 所有する土地を社会的課題の解決につなげる(図書館や保育所など)
- 物件購入や活用をサポートするコンサルティング会社や管理運営会社の設立等、新しいビジネスの創出を促進(リノベーション物件提供会社、管理会社の増加など)
- 空き家管理の責任の明確化により空き家固有の問題である治安や防災面の不安の解消
- 都市に住む人が地方の物件を所有してグリーンツーリズム、市民農園、自然体験
- 地方に住む人が都市の物件を所有してアンテナショップ的展開
- 企業、NPO、自治体等の団体による広告メデイアとして活用
3.「PALASITE TOURIST」 芝浦工業大学 建設工学科 池田拓馬
伝統的な木造住宅や京町家、長屋などを外国人向けに”滞在型旅行用ホステル”にリノベーション。畳や襖、障子に庭といった”古民家”スタイルは確かに外国人に受けそう。たた、既に似たような取組は始まっている。
田舎の農家・民宿・古民家に宿泊できる「とまりーな」が : イケハヤ書店 by @IHayato
現地の人から借りる家・アパート・部屋・バケーションレンタル・民宿予約サイト - Airbnb
とまれる TOMARERU.jp|遊休資産を徹底活用!ついに誕生。民泊予約サイト
2020年東京オリンピックを見越して外国人向けの観光に政府も力を入れだしたから追い風になるかな。
4.「家の葬式」 ランドブレイン株式会社 技術部 生山翼 岡部将己 田中時光 俣野喬仁
視点特別賞。”空き家をいかに生み出さないか”という予防的なアイデア。確かに活用の余地のない腐朽・破損している空き家もあります。
(全国の)空き家総数:757万戸
うち腐朽・破損有り:181万戸
うち腐朽・破損無し:576万戸
*1
実に空き家全体の76%が腐朽・破損無しの状態です。
特に破損のきつい空き家は近隣へ迷惑をかけることもあるので、そうなる前にオーナーがちゃんと責任を持って管理することが大切です。
空き家の主な発生原因は、住宅の性能、立地といった条件よりも、所有者の死亡や施設等への転居といった個人の事情によるところが大きい。しかし、多くの空き家所有者は当事者意識が希薄であるため、いざ空き家が発生したときに対処できず、問題が深刻化している。
そのため、空き家の解体に目を向けたのがこの作品。「家の葬式」を行うことで空き家の管理意識を根付かせるのが目的。「家の葬式」文化を浸透させるのはなかなか時間がかかると思うけれど面白い視点。
5.「THEポジティブ空き家」 Studio Syncroll(建築設計事務所) 渋谷大輔 coro
八丈島発、空き家で社会を元気にするモデル。人口流出→産業衰退→観光者数減というバッドサイクルを解消するために、
- 住み始めることのできる空き家を把握
- 長期滞在型ホテルとして活用
- 移住支援のシステム化
そもそも空き家を手放してくれるのか交渉が大変そう。地元不動者屋さんや地元のキーマンと協力しながら進めていく必要がありそう。空き家を拠点に八丈島の自然や歴史、文化などを体験。
6.「AKY48」 東京電機大学大学院未来科学研究科建築学 小林洸陽 斉藤貴義
最優秀作品賞。「空き家48」。一番盛り上がったプレゼン。発表者の方もオタクっぽかったからなおのことリアルに感じました。内容はというと、
- 「空き家」という住宅に限らず広く「空の建物」を活用していくのが前提
「廃校」 → AKY運営局、宿泊施設
「廃工場」 → イベント施設
「空き民家」 → アイドルの家
「空き倉庫」 → オタク・地域の交流場
- 一つの空き家(アイドルの家)に留まることなく町中に散らばった空き家間を行き来(聖地巡礼)
- 地域住民とも交流。
- 空き家のリノベーションをアイドルとオタクが協力して作り上げる(推すこと=サポートすること)
- アイドルが地域イベントに参加、AKYカフェの出店、見守り隊の結成(地域とアイドルをつなぐ)
- オタクが地域住民のサポート、交流(地域とオタクをつなぐ)
- アイドルが卒業した後の空き家は「聖地」として「アーカイブ化」または「売却」して「空き家にならないしくみ」を構築
個人的には一番面白いと思った作品。空き家に「アイドル」と「オタク」という二つの要素が入ることで地域社会にとって大きな起爆剤になりそう。秋元さんご一考を。
7.「二つのイエをもつ時代の到来を楽しもう!」 101design 大成康隆
要するに空き家を譲り受け(購入?)、地域に開放していくということか。地域が「チイキ」と書いてあってちょっとよくわかりづらい。あまりにも地域、地域言うのも辟易してしまうこともある。
「空き家問題を解決せよ!」 第3回リノベーションアイデアコンペ 11 月4 日(月・祝)トークイベント開催|リノベーション協議会のプレスリリース
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