空き家所有者には「課税」というペナルティーもありうる
不動産コンサルタントで前回のブログで紹介した「ハ会」のメンバーでもある長嶋修さんの書いた記事についてです。
空き家は社会悪 長嶋修さんの不動産投資コラム133話【健美家】
国土交通省が2013年11月に行った「 消費者( 空き家所有者、空き家利用意向者 )アンケート 」によれば、空き家のうち、売却や賃貸などを検討しているのは24.0%に過ぎず、71.0%の人は特に何もせず所有しているだけです。
http://www.mlit.go.jp/common/001020854.pdf
ましてや人口・世帯減少がトレンドの2010年代において空き家増加に対して何も対策を打たないでいたらますます悪化します。
そこで長嶋さんの提案として出ているのが「 空き家課税 」の採用。
たとえば「 3年以上空き家にしていた場合は課税される 」というもの。先述のアンケートにみられるような、空き家をただ放置しているだけの不作為を除外するのが目的です。
「3年」「5年」など一定の期間を条件としておけば、売却や賃貸で市場に出すなど努力しているが空き家になっているケースを課税から排除できます。
空き家課税が採用されれば空き家オーナーさんにとっては死活問題になりそうです。それこそ必死に売却や賃貸などの流動化策を考えるのかと。
税制関連でいうと「住宅用地の特例措置」という土地の有効活用を促す制度が空き家化を助長していると言われています。たとえ空き家であったとしても税制上は「家屋」として扱われるので、その敷地は「住宅用地」となり更地に比べて固定資産税が軽減されます。
この制度はそもそも、まだ高度成長期で住宅数がまったく足りないころに、市街地の空き地に住宅を建ててもらうために創設されたものです。「 更地のまま放置しておくより、住宅建てたほうが税金が安いですよ 」というアメで住宅建設を促進しようというわけです。
この優遇措置は人口・世帯増加、右肩上がりが常識の高度成長期に住宅が不足していた時代に土地の有効活用という観点からつくられた税制でした。現代はこの真逆なのは言うまでもありません。人口・世帯減少、停滞する経済、住宅余剰で都会は地価が高い現代。
時代が変わり、空き家が問題視されるなかで「 使わない住宅を壊さない理由 」として使われているのは、この税制の本来の趣旨にも反します。したがってやはり「 5年間空き家にしていたら優遇がなくなる 」などとし、賃貸に出すなど、活用されている場合に限り適用されるべきでしょう。
時代遅れとなった制度はさっさとアップデートすべきなのです。国もようやく今年の通常国会で「空き家対策特別措置法案」を提出するとのことで早く税制改正へとつながることを期待しています。
空き家課税については、まずは「住宅用地の特例措置」税制を現代に合ったものに改正して空き家の流動化を促すことが先決かなと思います。今の所は。
新築住宅建設の際に留意したいこと
住宅余剰の時代にも新築住宅建設は毎年約100万戸で進んでいます。このままでは空き家の増加は不可避です。長嶋さんは「新築住宅建設の抑制」を提案されています。これは新築住宅を全くゼロにしろと言っているわけではなく、新築住宅を造るなら、その分必ず増える空き家による街の価値毀損、解体など空き家対策費なども考慮に入れるようにすべきであることを言っています。空き家解体費用の補助金を地方行政が出すというケースも多く聞きます。効率が悪いです。