空き家を活用した小規模保育事業「東京スマート保育」の課題
空き家や空き店舗などを活用して小規模保育事業を運用・選別する市区町村に対し、東京都が財政的サポートを行う制度である「東京スマート保育」。具体的な内容としては・・・
これまで国から一切補助のなかった6~19人の小規模保育施設の開設や運用にあたり、開設準備費(施設の建設費や改修費)については東京都が1500万円まで全額負担、貸借料や子ども一人あたりの運営費については区市町村と折半で一定額まで補助するものです。
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/committee/130417/item1-1.pdf
開設準備費(施設の建設費や改修費)に東京都が1500万円まで全額負担、賃借料や子ども一人あたりの運営費については市区町村と折半するという制度です。しかし”制度欠陥”がある指摘する保育現場からの声があります。
試しに小規模保育のスタンダード人数である9名定員で計算してみましょう。
0歳時が4人で、1~2歳児が5人の園で、利用料が2.5万円を想定します。
7万2,000円×4人+3万9,000円×5人=49万1,000円/月・・・月々の補助収入
2万5,000円×9人=22万5,000円/月・・・保育料収入
計:71万6,000円/月
では費用はいくらかかるか。保育士の給与を社保込みで18万円として、9人定員が可能になる3LDKマンションの家賃を18万円だとすると、
18万円×3人+18万円=72万円/月・・・最低でも月々絶対かかる費用
ということで、月の収入から、最低でもかかる費用を引いただけで赤字になる、というすごい制度であることが分かって頂けると思います。
これ以外にもおもちゃ代や水光熱費や給食材料費や本部事務局経費等が乗っかりますので、赤字確定モデルです。
補助収入と保育料収入を併せて月71万円の収入に対し、保育士の給与と家賃併せた支出が月72万円です。プラスアルファで光熱水費や給食材料費などもかかるので、持続困難な事業です。
ただ来年4月からはしっかり公費(税金)が投入されるので、それまでの間は市区町村が上乗せして補助金を投じる必要があります。
豊島区・子ども家庭部の小野寺悠太さんは「認可保育園の整備に比べると短期間、ローコストで整備できることが一つの魅力」と話します。しかし、問題は運営費でした。都の補助だけでは経営として成り立たないという声が多く、区は1人当たり17万420円と満額補助することにしました。これに対して小野寺さんは「確かに都が発表している運営費だとそれだけではとても運営できる金額ではない。