「マンションの空き部屋や戸建て空き家や医院、事務所用途の物件など、様々な“空き物件”を有効活用して保育園につくりかえている」のが認定NPO法人フローレンスの「おうち保育園」です。
都市部にゲリラ的に発生する保育施設ニーズに機動的に対応することで”待機児童問題”の解決につながるだけではありません。地方に限らず都市においても増加している空き家や空き室などを活用することで、空き家が管理不全になり老朽化して近隣や地域に迷惑を及ぼすようになる”空き家問題”の発生を防ぐことにもつながります。
認定NPO法人フローレンスの「おうち保育園」は都内で13しか開園していません(2014年4月時点)。ということで都内待機児童ワースト3の世田谷区、練馬区、大田区へ「空き家等を活用した小規模保育施設の拡充を希望」と題した要望を出してみました。
大田区からの回答
「区長への手紙」からの返事シリーズ第3弾。今日は大田区からの回答をご紹介します。
第1弾世田谷区からの回答はこちらをご覧ください。
第2弾練馬区からの回答はこちらをご覧ください。
・・・・・
舟橋 拓 様
平成26年5月10日にお送りいただきました「空き家等を活用した小規模保育施設の拡充
を希望」として、いただきましたメールを拝読しました。
本件につきましては、下記のとおり回答いたします。
なお、本回答に対するご意見、ご質問に対しては、下記担当までご連絡いただきます
よう、よろしくお願いいたします。
大田区では、待機児解消に向けた取り組みとして、認可保育所、認証保育所のほか、
小規模保育所についても平成25年度から整備を進めております。
小規模保育所の開設に当たっては、東京都が定める小規模保育整備促進支援事業実施
要綱に記載されているとおり、「空き家、空き店舗、空き公共施設等を活用して行う
小規模の保育を支援することにより、都内における保育サービスの拡充を図り、もっ
て東京都における児童福祉の増進に資することを目的とする」の条項に基づき、空き
家も保育基盤の一つと認識し、その活用についても積極的に進めております。
小規模保育所の整備を進める場合、保育ニーズが高い地域での整備であるとともに、
当該物件の所有者が明確であり、物件の所有者及び周辺住民の保育所整備に対する理
解、協力などが必要となります。
なお、小規模保育所の整備に係る補助金の対象範囲は、物件を保育所用途に変更する
際の内装工事だけであり、物件本体(躯体)の外装工事や老朽化に伴う補修費用は所
有者負担である旨を申し添えます。
【担当】こども家庭部保育サービス課
サービス推進担当 七田(しちた)・高浜
電話03‐5744‐1277
・・・・・
小規模保育施設の整備に必要ないくつかのこと、東京都の補助金は内装工事費用のみ
大田区からの回答のポイントとしては以下の2点があります。
(1)小規模保育所の整備に必要なこと
まず大田区でも「東京スマート保育」制度を活用して小規模保育所を立ち上げています。この小規模保育を整備するにあたって主に以下のハードルをクリアする必要があります。
- 保育ニーズが高い地域での整備であること
- 当該物件の所有者が明確であること
- 物件の所有者及び周辺住民の保育所整備に対する理解、協力が得られること
1の保育ニーズの高い地域の把握は市区町村で情報管理しているはずです。問題は2と3で、空き物件の所有者がそもそも明確で所有者に加え近隣の理解・協力を得るのがスムーズにいかないケースが少なくなさそうです。
(2)「東京スマート保育」制度の範囲
大田区も東京都の補助金を活用しているようです。ですが補助金の範囲は物件を保育所用途に変更する際の内装工事だけであり、物件本体(躯体)の外装工事や老朽化に伴う補修費用は所有者負担ということで、そもそも老朽化していない耐震基準を充たした、かつ消防法や建築基準法などの法令に定められた基準をクリアした物件だけが補助の対象になるようです。