マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

オープンデータはまだまだ黎明期だからこそ大きな可能性がある

「公共的なデータ」は誰のもの?

 

公共的なデータは行政の所有物ではありません。不特定多数の一般市民がアクセス可能で利用できるものです。「由らしむべし知らしむべからず」な行政はもはや時代遅れ。一人ひとりが興味や関心の下、出来る範囲で社会的課題にコミットしていくことが「課題先進国」の日本にとって必要なことと思っています。

 

そもそもオープンデータとは?

 

空き家問題に限らず、現代は多くの社会的課題があります。「公共的なデータ」を誰もが使いやすいかたちで公開することで便利なアプリが開発されたり、新しいサービスやビジネスを生み出すきっかけとなります。そして、行政の透明性が上がれば市民から行政への関心が高まり批判的精神も生まれ、良い緊張関係が築かれ、市民と行政との役割が洗練されていくと思います。

 

そんな「オープンデータ」ですがそもそもの定義を確認しておきたいと思います。非営利団体Open Knowledge FoundationがまとめたOpen Data Handbook(オープンデータハンドブック)に書かれてある定義を引用します。(そして今読んでいるデータを紡いで社会につなぐ デジタルアーカイブのつくり方 (講談社現代新書)のp44〜p46をそのまま引用しています)

 

オープンデータとは、自由に使えて再利用もでき、かつ誰でも再配布できるようなデータのことだ。従うべき決まりは、せいぜい「作者のクレジットを残す」あるいは「同じ条件で配布する」程度である。 

オープンデータとは何か? — Open Data Handbook

 

「オープンデータ」は簡単に言うと誰もが”自由に使える””再利用できる””再配布できる”といったことがポイントです。さらに詳細に見ると、

 

(1) 用できる、そしてアクセスできる

データ全体を丸ごと使えないといけないし、再作成に必要以上のコストがかかってはいけない。望ましいのは、インターネット経由でダウンロードできるようにすることだ。また、データは使いやすく変更可能な形式で存在しなければならない。

オープンデータとは何か? — Open Data Handbook

 

データへのアクセスの敷居の低さがポイントです。

 

(2)再利用と再配布ができる
データを提供するにあたって、再利用や再配布を許可しなければならない。また、他のデータセットと組み合わせて使うことも許可しなければならない。

オープンデータとは何か? — Open Data Handbook

 

膨大なウェブデータ同士をマッシュアップすることでイノベーションを誘発するわけですね。例えば「PDF形式」だと他のプログラムに読み込んで処理したり変更することが難しいのでオープンデータには適さないです。現在のオープンデータはもっぱらXML(Extensible Markup Language)形式が使われています。

 

XMLとは、素のデータに対してさまざまな「タグ」が付けられており、コンピュータにとって処理しやすく、汎用性が高い形式のことです。

データを紡いで社会につなぐ デジタルアーカイブのつくり方 (講談社現代新書)

 

(3)誰もが使える

誰もが利用、再利用、再配布をできなければならない。データの使い道、人種、所属団体などによる差別をしてはいけない。たとえば「非営利目的での利用に限る」などという制限をすると商用での利用を制限してしまうし「教育目的での利用に限る」などの制限も許されない。

オープンデータとは何か? — Open Data Handbook

 

まさにここに「オープン」=「誰にでも開かれている」というオープンデータの核を見る気がします。インターネット上では人種も身分も階層も関係ないんですね。フラットな世界観。

 

各自治体におけるオープンデータ化は黎明期

 

国内の各自治体のオープンデータ化は少しずつ進みつつあります。特に有名でもっともオープンデータ化が進んでいるのは福井県鯖江市です。もともとは眼鏡の産地として有名な地方都市でしたが、「地方の危機感」を感じた牧野市長の問題意識や同市内に開発拠点を置くモバイルベンチャーの福野社長ら若者の提案などがあって「データシティ鯖江」が誕生しました。

 

“眼鏡の街”がなぜ、ITやオープンデータに取り組むのか。「地方の危機感ですよ」――鯖江市の牧野百男市長は言う。「国も地方も、今のままではつぶれてしまう。ITは、分からない部分が多いが、魅力もあるし、夢もある。話題が明るいですしね」

1941年(昭和16年)生まれの牧野市長。ITに明るくはなかったが、同市内に開発拠点を置くモバイルベンチャー・jig.jpの福野泰介社長ら若者の提案を即座に採り入れ、公衆無線LANの整備や、市保有データのオープンデータ化を推進してきた。

「リスクのない挑戦はない」 人口7万の街が“オープンデータ先進地”に 福井県鯖江市の取り組み (ITmedia ニュース) - Yahoo!ニュース

 

鯖江市以外の自治体のオープンデータ化の取組状況のランキングを掲載しているウェブサイトがあります。

地域資源の情報をオープンデータとして共有していくためのデータベースサイト | CityData

これによると、鯖江市がダントツの一位です。

 

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画像引用元

 

しかし、他の自治体でもオープンデータ化がニュースになってきているなど少しずつオープンデータ化が広がっています。

 

東京都八王子市。多摩地域初のオープンデータ化。

八王子市が「オープンデータ」公開へ−多摩初、300超のデータを一般に提供 /東京 (みんなの経済新聞ネットワーク) - Yahoo!ニュース

岡山県。「SNS分析事業」に取り組みます。

岡山県がビッグデータ新事業 全国初「つぶやき」をオープンデータ化 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 

オープンデータがどのように役立つのかロールモデルをどんどん作ることが重要

 

確かに広がりつつある「オープンデータ」。しかしまだまだムーブメントにまではなっていないのが実情です。オープンデータ化によってどんなメリットがあるのか、社会にどのような貢献ができるのかをどんどん発信していくことが重要です。鯖江市ではオープンデータを使って作られた魅力的なアプリがたくさんあります。 

 

関連ウェブサイトはこちら。

オープンデータとは何か? — Open Data Handbook

地域資源の情報をオープンデータとして共有していくためのデータベースサイト | CityData

福井県鯖江市>アプリケーション(オープンデータによる、XML)

「リスクのない挑戦はない」 人口7万の街が“オープンデータ先進地”に 福井県鯖江市の取り組み (ITmedia ニュース) - Yahoo!ニュース

八王子市が「オープンデータ」公開へ−多摩初、300超のデータを一般に提供 /東京 (みんなの経済新聞ネットワーク) - Yahoo!ニュース

岡山県がビッグデータ新事業 全国初「つぶやき」をオープンデータ化 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

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