マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

オープンデータの活用で空き家の増加に悩む団地を再生する

空き家の増加や少子高齢化が進む郊外の団地の再生にどのようにオープンデータが活用できるかを考える

 

福井県鯖江市、秋田県横手市に次いでオープンデータの活用に積極的な神奈川県横浜市で、空き家の増加や少子高齢化が進む郊外の団地の再生にどのようにオープンデータが活用できるかを考えるイベントが開かれました

 

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政令指定都市の中ではダントツ一位の人口370万人の横浜市。空き家問題への取組は住民に身近な基礎自治体が矢面に立って取り組むべき課題であるとすると、基礎自治体の中で一番の人口と財政規模を持つ横浜市の取組は他の基礎自治体にとっても大いに参考になるはずです。

 

人口減少が急速に進む大規模団地では若者の流出と住民の高齢化により、老朽化した建物の建て替えや維持修繕も行えず、ますます空き家や空き室が増加していっています。テーマは「郊外住宅団地における若年世代の呼び戻し」や「郊外における仕事興し」などです。大分県大分市の富士見が丘団地では子育て世帯を呼び込むために家賃補助などに取り組みある程度の成果を挙げているなど工夫次第で団地再生は可能です。あとは郊外団地での仕事をどうするかという問題ですが、これはインターネットを使いこなして仕事作りましょう。

 

当日のイベントは大学院生や市民など20人ほどが集まりました。そしてオープンデータを活用して、60〜70年代の高度経済成長期に建設された古い団地に近い小学校ほど統廃合するケースが多いことを導きました。 

 

この中では大学院生たちが団地の抱える課題として、若い人が団地に戻らず世代交代がうまく進まない一方で、建物の老朽化や小学校の統廃合などが進んでいることを説明しました。
そのうえで、オープンデータを活用し、団地とそばの小学校の建設時期を重ね合わせてみると、1960年、70年代に建設された団地に近い小学校ほど統廃合しているとデータから分かる傾向を説明しました。

団地再生にオープンデータ生かす NHKニュース

 

さらに、地形や鉄道、高齢化率などのオープンデータを掛け合わせることで単体のデータでは見えてこなかった地域の課題が明らかになってきました。

 

横浜市の地形や鉄道、高齢化率などのデータと団地の位置を見ると、駅から遠い場所にある団地ほど高齢化が進んでいることなど、オープンデータによって地域の課題が把握しすくなることも紹介しました。 

団地再生にオープンデータ生かす NHKニュース

 

団地に移住してきた人たちの働き方としては例えばオープンデータを活用してそこの団地の課題を解決することを仕事にするとか良いと思います。団地からバスに乗って駅まで行って、そこから電車に乗って会社へって昭和時代にタイムスリップしてしまうので、インターネットを軸とした現代の働き方へとアップデートさせる必要があります、

 

このあと5つのグループに分かれて団地再生に向けた課題を話し合い、「団地の再生には職住近接など、近くに雇用の場を作ることが必要ではないか」とか「団地に住む人だけのコミュニティではなく団地に住む人、団地以外の地域の人、たまに近くを訪れる人を結びつける拠点が必要だ」といった提案が出されていました。

団地再生にオープンデータ生かす NHKニュース

 

オープンデータの推進に消極的な行政→実績を一つ一つ積み重ねていくしかない

 

オープンデータの活用に取り組む自治体は少しずつ増えてはいますが、日本の首都東京都ではまだまだなようです。

未利用の「都有地」は情報公開(オープンデータ化)せよ! | みんなの党 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

「社会の課題を解決する=行政」という図式はもはや過去のものです。アップルやグーグルなどの”超国籍企業”(レイヤー化する世界)の影響力が巨大になってきて相対的に行政の影響力は低下しています。その結果、「大きな社会」や「新しい公共」、「オープンガバメント」、「ガバメント2.0」などといった概念に則って行政単独ではなく、民間やNPOと協力し、行政はプラットフォームとしての役割を担おうという方向へ進んでいく必要があります。

 

待機児童対策は東京都においては一刻も早く解決すべき喫緊の課題のはずです。しかし、”行政無謬神話”的発想で民間やNPOの力を信頼せず、または過小評価して、もしくは単に知らないだけで都有地情報のオープンデータ化に消極的です。

 

行政側が「ニーズがない」「立地が悪い」と思い込んでいても、民間の事業者側から見れば魅力的な立地、活用したい土地である可能性が大いにあるのです。

「都有地」はどうしたら有効・迅速に活用できるか【一般質問】 | みんなの党 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

 

インターネットやソーシャルメディアの発達は情報へのアクセスへのハードルを一気に下げました。もはやググれば大抵のことを一通りは把握できます。そのためそういった情報自体にはあまり価値がなくなり、膨大な情報をキュレーションしたり、情報同士をマッシュアップして二次創作して新しいサービスを生み出すことなどのほうが大きな価値があります。行政はその特性上、「公共的なデータ」をほぼ独占しています。この情報を社会に開放し、民間の優秀なキュレーターやプログラマーが新しいサービスを生み出すきっかけを作る必要があります。それがオープンデータの推進にほかなりません。

 

確かに基礎自治体は地域のニーズを調査していると思いますが、民間事業者も独自のマーケティングデータを持っており、ビジネスチャンスを積極的に伺っています。

東京都が持っている土地というのはもちろん、もともとは我々東京都民の土地です。その利用状況について、積極的な情報公開を行うのはなんら違和感のないことです。

未利用の「都有地」は情報公開(オープンデータ化)せよ! | みんなの党 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

 

とは言っても予測可能な”前例”を踏襲しながら仕事していくのが行政の常。横浜市などの先進的・革新的な自治体が実績を積み上げて、地道に事例を見せていくしかないと思います。急がば回れ。

 

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