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消滅可能性都市・豊島区で「100人女子会」が開催〜地域の未来は地域の人たちでつくる〜

26年後の2040年、池袋のある豊島区が消滅!?

 

今年5月、民間の政策発信組織「日本創成会議」の試算で、2040年(平成52)年に20〜39歳の女性の人口が2010年時点の半分以下に減る「消滅可能性都市」になると、都内23区で唯一指摘されたのが27万人都市の豊島区です。

”空き家で少子化対策”賃貸空き家に子育てファミリー世帯を呼び込む - 空き家の活用で社会的課題を解決するブログ

 

豊島区の池袋といえば、

  • SUUMO関東版住みたい街ランキング2014で第3位(「刺激的な環境でシングルに人気」とのこと)
  • 2013年3月には東京メトロ副都心線が開通し、東武線、西武線などを加え5社相互乗り入れで交通がさらに便利に
  • アニメ、マンガ、サブカル系のお店が充実、サンシャインシティなど商業施設が充実
  • 大学や高校もたくさん

という感じで現在は活況です。若い女性も大勢います。

 

一部では豊島区内にはおばあちゃんの原宿「巣鴨」があるから、相対的に若い女性の定住が少なくなっているのではないか、という声もありますが。

 

豊島区内在住・在勤・在学の女性たちによる「としま100人女子会」が開催

 

豊島区ではこの消滅可能性都市の発表を受けて緊急対策本部を設置し要因の分析、今後の対策についての検討を開始しています。そして豊島区では「地方との共生」と「総合的な女性施策の展開」という二つの方針を柱に人口維持・地域活性化に取り組むとしています。

「消滅可能性都市」への対応│豊島区公式ホームページ

 

で、このたび豊島区内の在住・在勤・在学の20歳以上の女性100名による「としま100人女子会」という自治体としてはなかなかユニークな取組が行われました。

 

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画像引用元)「としまF1会議」という子育て世代である20〜30歳代を中心とする会議のキックオフイベントだそうです。

 

主題は「豊島区に住みたくなるには何があればいいか」

 

4〜5人のグループに分かれ、15分ごとに席を替わり、全員が話し合っているような効果を得るワールドカフェ方式で意見交換が交わされました。テーブルには地元のお菓子や飲み物も用意され和気あいあいとした雰囲気だったそう。

 

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画像引用元

 

子育てしている家族にとって家賃負担が高いこと、子どもが遊べる場所が少ない、空き家活用を進めるべき、ワークライフバランスの実現に向け企業への働きかけが必要などといった意見が出ました。

 

各グループは、「恋の生まれる街」「欲張り幕の内弁当な豊島区」など思い思いのキャッチフレーズをまとめた。一方、「家族で住むには家賃が高すぎる」「緑が多く落ち着いた公園が必要」などの注文も相次いだ。

東京新聞:恋の生まれる街に 豊島区100人女子会 注文相次ぐ:社会(TOKYO Web)

討論では「子供と遊べる場を充実して」「保育園の情報がほしい」と、子供に関する意見が全卓で登場。「商店街を元気に」「空き家活用を進めるべきだ」「自転車道は高齢者の車イスにも便利」「ワークライフバランス(仕事と家庭の調和)を進め、恋が生まれる街に」などの提案もあった。

豊島区の未来救え 100人女子会 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 

交通が便利とか商業施設やサブカルスポットが充実というのは池袋の魅力ですが、子育て世代が安全で安心して生活できる環境を整えることにこれからは優先度を上げていく必要があるということだと思います。

 

空き家活用を進める

 

「としま100人女子会」で空き家活用を進めるべきという意見が出てきたことは良い意味で意外でした。「空き家活用」は今まさに”ホットトピック”といえます。豊島区の空き家総数は約2万2000戸、そのうち賃貸用が約1万7000戸、個人住宅が約4000戸です。副都心ということで人口の出入りが激しいので民間賃貸物件にしているオーナーさんが多いということだと思います。

 

豊島区の空き家活用の取組としては、賃貸空き家を活用して低所得者や高齢者、シングルマザーなど住宅確保要配慮者に対して情報提供・紹介を行うという「居住支援」に取り組んでいます。

 

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画像引用元

 

ただし課題も多いようです。空き家を提供するオーナーさんからすれば家賃を払えるのかわからない人を歓迎する余裕も無くて、家賃保証というのは大きな焦点です。

 

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画像引用元)クローズアップ現代で取り上げられた豊島区の空き家活用の取組。

 

解決策としては行政内部で住宅セクションと福祉セクションが連携して住宅困窮者の「住宅保障」に取り組む必要があります。つまり公営住宅の入居がもはや宝くじ状態(数倍から数百倍)なので、民間賃貸住宅の空き家・空き室を有効に活用するために「住宅バウチャー」を発行するという施策の推進です。その予算の出所は現在老朽化が進んでいる公営住宅の立て替え費用などを「住宅バウチャー」のほうに回せないでしょうか。

 

まとめ

 

今回のイベントは斬新で面白いのですが、一過性になるではないかというのが懸念です。子育てしやすい街に向けてこんなことやっています、と目立つようなことを一度やっても具体的な成果が出なければ意味がないわけで。「としま100人女子会」のメンバーの中から自然発生的にNPOが生まれたり、住みたくなる街の実現に向けて考えて行動するきっかけになったら、このイベントは成功だと思います。「自分たちの街の未来はそこに住み学び、働く人たちがつくっていく」という当事者としての行動が大切ですね。

 

なんの義理も義務もない人様を頼りにして、自分の地域が再生するなんて思っているから衰退するんじゃないですかね。自分達しかいないと思えば本気になるんじゃないでしょうか。

あなたのまちにウルトラマンも仮面ライダーも来ない。

 

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