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空き家を活用して新しい価値をつくる

”空き家を小規模保育所に”都内の待機児童が過去最多、「箱モノ」へのこだわりを捨てて多面的な保育対策を(空き家活用事例紹介)

待機児童数は依然増加

 

先月末、今年4月1日時点における都内の待機児童数が明らかになりました。都内の待機児童数は8,672人と前年から555人増えました。これは過去最高の数字です。

都内の保育サービスの状況について|東京都

 

潜在的な待機児童数は全国80万人全国の待機児童数は2013年4月1日時点で約2万3千人)と言われていますので、単純計算すると、都内に潜在的な待機児童は35万人近くに及びます。

 

保育サービスの”潜在的”需要は高い

 

少子化や人口減少ではありますが、今すぐにでも保育サービスを利用したい親御さんがいます。保育所に預けるのを諦めてしまう方々もいます。中長期的に見て子どもの数が減ればその親御さんたちの保育サービスの需要も減るのではないか、という意見も中にはあると思います。しかし現在、都内では就学前児童(義務教育年齢に達していない子ども)に対して保育サービス利用児童は37.6%しかありません。つまり残り60%超の就学前児童が潜在的な待機児童と言えます。

 

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 (画像引用元)平成26年4月時点で(保育サービス)利用児童数は合計234,911。これに対し就学前児童人口は3倍近くの625,347人。就学前児童を持つ全ての親が保育サービスを利用すると考えると”潜在的な待機児童数”は625,347人ー234,911人=390,436人。ここからさらに待機児童数を引くと381,764人。都内の潜在待機児童数は38万人にものぼります。

 

例年、待機児童数は増加していていたちごっこのようになっています。これは保育サービスの拡充が呼び水となって新たな保育サービス利用希望者を生むからだと思います。そういった保育サービス需要に官民が立場を越えて応えていくことが必要です。

 

いつまでも「保育所ありき」の一面的な対策ではダメ

 

東京都の待機児童解消策は依然として「保育所ありき」です。都議のおときたさんが指摘しています。

 

東京都は待機児童解消策として、民間事業者が保育所を建設する際の土地確保、賃料の優遇策などを提示していますが、相変わらず「保育所ありき」です。

日本の保育政策はその当初から、対象を「保育に欠ける子」として、理想的な施設(保育所)で児童を預かる方向性を堅持してきたわけですが、このモデルがすでに破たんをきたしていることは明らかです。

都内の待機児童、過去最多…それでも保育所という「箱モノ」に拘わるべきか | みんなの党 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

 

「保育所ありき」の対策ではいずれ子どもの数が本格的に減ってきたときに「空き保育園化」するケースが増えてしまいます。

 

そして複数の識者が指摘している通り、今現在は増えている待機児童でも東京都では5年~10年のうちに子ども数がピークアウトし、膨大な数の保育所が不良債権化する可能性があります

都内の待機児童、過去最多…それでも保育所という「箱モノ」に拘わるべきか | みんなの党 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

 

そこで保育所という「箱モノ」にこだわるのではなく、おときた都議もおっしゃるとおり小規模保育やベビーシッターなど機動的で多様な保育形態へと政策転換していくことが大切です。既存の保育所が中心だとしても保育サービスのチャンネルを増やして多面的に課題解決に当たることが重要だと思います。

 

空き家を活用した小規模保育「東京スマート保育」「おうち保育園」

 

東京都では昨年度から空き家や空き店舗などを活用して小規模保育事業を運用・選別する市区町村に対し、東京都が財政的サポートを行う制度である「東京スマート保育」をスタートさせました。板橋区杉並区大田区などではこの制度を使って小規模保育所を整備しています。

 

また、認定NPO法人フローレンスが展開するマンションの空き部屋や戸建て空き家など他にも様々な”空き物件”を有効活用して小規模保育所につくりかえている「おうち保育園」など民間の立場からビジネスとして待機児童問題の解決に向けて取り組んでいる実例もあります。

 

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画像引用元)空き家を小規模保育所に活用。待機児童が発生した地域の空き家を活用することでスピーディにピンポイントで待機児童解消を図る。

 

待機児童対策には子どもの安全はもちろんのことスピードも求められます。こうあるべきという「べき論」を言っているだけでは時間ばかりが過ぎて手遅れになりかねない。余っている空き家を有効活用することで機動的に小規模保育所を立ち上げることが出来ます

 

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