マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

「巻き込み系まちづくり〜HAGISO×神山バレーサテライトオフィスコンプレックス」に行ってきた

雑司ヶ谷のサンドイッチとコーヒー屋さん「あぶくり」にて

 

昨日は雑司ヶ谷のあぶくりにて、台東区谷中で取り壊す予定だった木造アパート「萩荘」をギャラリーやカフェ、レンタルスペース、美容室、アトリエ、設計事務所などが腹蔵した施設へとリノベーションした「HAGISO(ハギソウ)」の宮崎晃吉さんと徳島県神山町で「空き家町屋プロジェクト」に取り組む坂東幸輔さんとのトークということで行ってきました。テーマは「巻き込み系まちづくり」。まちの拠点をつくるときに多くの人を巻き込んでプロジェクト化する手法についてのお話を聞きました。

 

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「巻き込み系まちづくり〜HAGISO×神山バレーサテライトオフィスコンプレックス」 | Facebook)左側が「HAGISO」、右側が神山バレーサテライトオフィスコンプレックス。

 

「参加型」ではなく「巻き込み系」

 

まずはHAGISOの宮崎さんから現在の取組について20分程お話。東京芸大の建築科の学生たちのシェアハウスとして使われていた約築60年の木造2階建て賃貸アパートですが、東日本大震災を受けて大家さんは解体の方針をお持ちになったそうで、「萩荘」は解体される予定でした。

 

東京谷中のこの地区も大きな揺れを感じ、
まち中も道端の塀がくずれたり屋根の瓦が落ちたりといった被害がありました。
萩荘自体は目立った損傷はありませんでしたが、
以前からの設備関係の老朽化が限界に達しており、
今後のことを案じた大家さんより、解体の方針を伝えられました。
解体の後は、しばらくは駐車場として使用するとのことでした。

木造の学生アパート「萩荘」で始まったこと。HAGISTUDIO vol.1|東京都 台東区谷中|「colocal コロカル」ローカルを学ぶ・暮らす・旅する

 

そこで愛着のある萩荘に対してきちんと別れを告げるセレモニー「ハギエンナーレ」を開催することになります。建物の解体が前提なので柱を彫刻したり、壁に崩壊寸前までビスを打ち続けたり、壁の傷や穴をすべてカラー年度でふさいだり、解体前の住宅を作品化し、公開していったそうです。

 

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HAGISO » ハギエンナーレ2012 / Hagiennale2012

 

で、このハギエンナーレという3週間の展示イベントで約1500人もの人が訪れるなど、大きな盛り上がりを見せたそうです。そして凄いことに、これを一緒に体験した大家さんが方針転換、建物価値を見直し、改修され2013年3月「最小文化複合施設HAGISO」としてオープンすることになりました。

 

ちょっと前置きが長くなりました。こっからが話の本題ですが、オーナーもプロセスを一緒に共有すること(オーナー巻き込み系)、改修に当たっても大工さんに加えて技術を持たない一般の人たちも募集(施工巻き込み系)、そしてクラウドファンディングで資金を募る(パトロン巻き込み系)。こういった参加型というよりも、いつのまにか巻き込まれているような感じを重視されているようです。

 

木造賃貸アパートは価値が低いと思われているけれど面白い」という宮崎さんの言葉が印象的でした。

 

 

JUST DO ITとヒトノミクス

 

次に神山バレーサテライトオフィスの坂東さんのお話も20分位。ブロードバンドサービスが整備された徳島県においてNPO法人グリーンバレーの大南信也さんなどと古民家を改修してサテライトオフィスにするワークインレジデンスという取組などを行っていらっしゃいます。

参考記事:Works | 坂東幸輔... - 東京藝術大学美術学部建築科|大学院美術研究科建築専攻 Tokyo University of the Arts Faculty of Fine Arts / Graduate School of Fine Arts Department of Architecture

 

地方は仕事がないならば仕事を持っている人に移住してもらおうと始めた「ワークインレジデンス」。2010年10月から神山町の古民家を借りて「神山ラボ」というサテライトオフィスを作ったSansan株式会社などIT系の企業が続々と移住しているようです。

 

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Works | 坂東幸輔... - 東京藝術大学美術学部建築科|大学院美術研究科建築専攻 Tokyo University of the Arts Faculty of Fine Arts / Graduate School of Fine Arts Department of Architecture

 

ブルーベアオフィス神山、えんがわオフィス、神山バレーサテライトオフィスコンプレックスなど、次々と古民家が生まれ変わって行きます。

神山プロジェクト 未来の働き方を実験する

神山プロジェクト 未来の働き方を実験する

 

神山町のキーパーソン、 NPO法人グリーンバレーの代表・大南さんは「やったらええんちゃう」というとりあえずやってみるという姿勢を大事にされていること、モノを作ったり集めたりするのではなく面白い人を集めてコンテンツを作ること、を重視しているということです。

 

この2点はぼくも今後実践していきたいですね。

 

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