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空き家を活用して新しい価値をつくる

リノベーションまちづくり塾@豊島区第1回レポートpart3

リノベーションはコンテクストへの参加

 

さて先日参加した「リノベーションまちづくり塾@豊島区」第1回レポートのpart3を書いていきます。今回はリノベーション事業の草分け的存在であるブルースタジオの大島芳彦さんのお話の中から具体的なリノベ事例をご紹介していきます。リノベーションまちづくりとは?について書いたpart1はこちらを。リノベーションとリフォームの違いやリノベーションは物語を編集することなどについて書いたpart2はこちらをご覧ください。

 

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DUEStudies 〜Interview 大島芳彦〜

 

「リノベーションというのはコンテクストそのものへの参加なのです。」と語る大島さん。コンテクストはつまり「文脈」ですね。つまり住宅が建てられることになった経緯からこれまでの住み手の遍歴、大家さんの思い、近隣や社会との関わり、日常の風景といった一戸一戸に固有の「歴史」がある。そこに住んだ人や大家さんにしかわからない魅力や事情があって、それを活かして革新的な価値を生み出すのがリノベーションなのかなと思います。(リフォームが対症療法なのに対してリノベーションは原因療法

 

次に具体的なリノベーション事例を見ていきます。

 

うめこみち

 

東京都大田区蒲田の「梅屋敷駅前商店街」というなかなか立派な商店街(実はぼくの故郷です)があります。梅屋敷駅から徒歩10分ほどの場所にある「聖蹟蒲田梅屋敷公園」では江戸時代の頃はたくさんの梅の木があったそうです。十二代将軍徳川家慶が鷹狩りの際に休み処として梅屋敷を利用したり、幕末には木戸孝允や伊藤博文らが集まって会合を開いたという由来のある土地柄です。 

 

そんな梅屋敷にある「風呂無し・四畳半・築60年」の借家をリノベーションしたのが「U&Me komichi(うめこみち)」です。特徴的なのは現オーナーの先々代が建築した築60年の木造長屋と先代が建築した築30年の賃貸マンションが存在していることです。現オーナーさんは先々代の木造長屋は取り壊すつもりだったようですが、大島さんとの話し合いの中で「時間の蓄積を価値に変える」ことに取り組むようになります。

 

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画像引用元:SUUMOジャーナル

築60年の木造長屋(おじいさん建物)は耐震改修を含むリノベーション。築30年の賃貸マンション(おとうさん建物)は共用部分をリノベーション。新しく木造戸建て賃貸住宅と木造長屋賃貸住宅を建てました。そしてこれらの建物に囲まれた路地、中庭が「コミュニケーションの場」(こみち)へとデザインされました。この出来事が2012年2月。「街開き内覧会」を行い5世帯の住人から申込があったそうです。

 

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画像引用元:SUUMOジャーナル

画像はオーナー主催のイベントです。餅つきしています。入居者だけでなく近所の人たちも巻き込んで楽しそうです。

 

テラス・コナ・サーフ

 

次は鎌倉・由比ケ浜の築40年のアパートを一棟まるごとリノベーションした「TERRACE KONA SURF(テラス・コナ・サーフ)」です。”コナ”はハワイの地名です。

 

ハワイアン好きだった、今は亡きオーナーのお父さまが70年代に名付けたテラス・コナ・サーフ。残されたご家族の思いと一緒に物件名を引き継ぎ、駐車場だった場所を街の人々も裸足で集えるテラスに変えた。

はじめからおわりまで « 生きるように働く人の仕事探し「日本仕事百貨」

 

殺風景だった駐車場を。

 

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人、街、時間。ブルースタジオの彩る日常 : コトハコ勝手図鑑

 

物語を編集するリノベーションにより、、、

 

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人、街、時間。ブルースタジオの彩る日常 : コトハコ勝手図鑑

 

なんと駐車場だった場所にハワイアンな感じのデッキを作ってしまったんですね。新しい「コト」が生まれそうな予感です。

 

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画像引用元:日本仕事百貨

 

オーナーさんおハワイアン仲間や地元食材を使うピザ屋さん、道行く人たちなどたくさんの人たちが集まりミニコンサートのような盛り上がりを見せたそうです。まさにこの住宅の物語を具現化するようなリノベーションです。

 

まとめ

 

今回は2つだけの事例紹介でした。2つとも単なる改修や修繕(リフォーム)ではなく、共感の輪が生まれて広がるという新しい価値が生まれています(リノベーション)。物件の持つ歴史を物語へと練り上げることで他に無い「ここにしかない」住環境が生まれているのだと思います。次回は今回盛り込めなかった事例をご紹介します。

 

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