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空き家を活用して新しい価値をつくる

「定期借家契約」は空き家・空き室対策の有効なツール!

「定期借家契約」を上手く使って収益化

 

昨日は愛知県で定期借家契約を活用して空き家問題の解決に取り組む住健トラスト株式会社さんについて書きました。今日はその延長で、”定期借家契約をどう使いこなせば空き家・空き室対策に有効か”をオーナー目線で書きます。出典は定期借家推進協議会のサイトに載っている「事例集」です。

 

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画像引用元:定期借家協議会)定期借家契約を上手く使って収益化につながっている事例がいくつか紹介されています。

 

(1)オフシーズン期の空き室の家賃を下げ繁忙期前まで定期借家契約を使う

 

賃貸の繁忙期は1〜3月にかけてと言われています。となると、4、5月頃に埋まっていない賃貸物件は何も対策を取らないとその後も埋まらない可能性が高いと言えます。事例集で紹介されている事例は5月になっても空き室だった単身向け物件の家賃を5,000〜8,000円減額し、翌年2月末までの定期借家契約で募集しました。比較的閑散な時期は家賃を下げることでより門戸を開こうという趣旨ですね

 

その結果、20戸中6戸が成約し、3月からも再契約できる旨を11月末に改めて伝えたところ3名は相場通りの家賃で再契約し、退去者3名中2名には転居先の物件を紹介出来たそうです。「損して得とれ」とはまさにこのことかという事例です

 

(2)家賃値下げの大義名分として定期借家契約を使う

 

次の事例は企業の撤退により単身者用2棟60戸の空き室が一斉に発生した件です。郊外で成約の厳しい地域ですが、家主は賃料減額には後ろ向きです。その理由はというと、近所に同じような物件を持っており、 そこの入居者から「私の家賃も下げて欲しい」と言われることを恐れたためです。そこで、1棟30戸を普通借家、もう1棟30戸を定期借家とし、定期借家の30戸の家賃については、”定期借家契約であることを理由に”5,000円減額(1割減)することにします。

 

その結果、定期借家の30戸は速いペースで成約が進み、先に満室になります。単身者向けということもあり、家賃が5,000円安いということが喜ばれたようです。空き室対策としてただ単に家賃を下げるのではなく一部の空き室限定で定期借家契約を使うことがポイントです

 

(3)滞納者に定期借家契約を使う

 

安くても確実に家賃収入が期待できるという利点を活かした事例です。すなわち、家賃を4ヶ月滞納していた入居者と調停の結果、「1ヶ月以内に退去する。滞納している家賃は分割で返済する」との内容で和解します。しかし、どこかに転居した後に返済をすっぽかされるかもしれない不安があります。

 

そこであえて以前の物件より家賃が4万円安い自社管理物件に3ヶ月の定期借家契約で入居してもらいます。家賃がだいぶ安いことや敷金・礼金もゼロなため滞納はなくなり、返済も順調になったそうです。定期借家契約の契約満了したときに、今後も返済出来そうだと判断出来れば再契約することで家賃収入が継続します

 

まとめ

 

賃貸物件の空き家・空き室が出たときは「定期借家契約」を閑散期に使ってみたり、一部の空き家・空き室だけに使ってみたり、滞納者が確実に家賃を支払えるようになったり、と賃貸借契約のスタイルに「定期借家契約」という新しい選択肢(主に家賃値下げ)が増えることで空き家・空き室の価値が高まり、入居者の増加につながるという好循環な事例の紹介でした。

 

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