老朽賃貸ビルをリノベーション
1月13日に行われた2回目の「リノベーションまちづくり塾@豊島区」のレポート、本編である吉原住宅・スペースRデザインの吉原勝己さんのお話です。こちらのブログがとてもわかりやすくまとまっていますがぼくもまとめます。
【池袋】第2回リノベーションまちづくり塾@豊島区に参加!【池袋ブログ】
まずは吉原さんの生い立ちから。企業で医薬の臨床研究していたときに不動産オーナーだった親の病気により「吉原住宅」を継いだそうです。
1967年(昭和42年)に建てられた当時の山王マンション(鉄筋コンクリート造6階建) はエレベーターや電話交換室がついているなど最先端のすまいだったようです。しかし2000年頃には既存の和室トイレやバルコニー・洗濯機置き場はないなど設備の老朽化に直面します。徐々に空き室が増えていったそう。
そんな山王マンションが生まれ変わったのは2003年11月です。
山王マンションが生まれ変わったのは2003年11月のこと。福岡で賃貸が再生された事例がまだない中、ビルの再生手法を自ら研究開発する決意で今では福岡では初めてと言われている「賃貸マンションのリノベーション」に取り組み始めました。この当時「リノベーション」という言葉は福岡にはなく、「再生デザイナーズ賃貸マンション」という言葉から動き始めたのでした。誰を連れてきても部屋に入るとその強いオーラにあっという間に時間が過ぎる空間です。リノベーションのすごさを体感した数少ない福岡の人間となったのでした。
<2003年リノベーション開始(福岡初の賃貸リノベマンション)全45室中31室リノベ済み>
オーナー共有
賃貸不動産オーナーさん同士が集まってお互いの悩みや取組を共有する場づくりとして「オーナー井戸端ミーティング」を主催されています。2008年スタートで毎月、賃貸経営改善のための勉強会を行っています。長野市で姉妹会も発足しているそうです。
一棟再投資利回りパーツとしての”リノベーション回り”
リノベーションと一言で言っても色々あって、「スケルトンリノベ」「エコリノベ」「プチリノベ」そして最近は「DIYリノベ」と多様化しています。それぞれ使い分けることで投資利回りを安定させます。
ワンストップ再生プログラム
吉原住宅は”ビンテージビル創出企業”として「リノベーション」と「入居者間交流」で経年ビルの価値を高め、福岡に「ビンテージビル文化」を創出することを経営理念とされています。
吉原住宅で培った不動産管理の経験とワンストップの一貫したコンセプトで賃貸経営を改善していきます。
<SRDはスペースRデザインの略ですね。>
マンションから町へつながるゆるいコミュニティとコミュニケーション。マンションで文化祭なんて楽しそうです。
そして「リノベーションミュージアム」というリノベの殿堂というか憧れの存在みたいになっています。
(画像引用元)
リノベーションミュージアム店舗版
住むだけじゃなくてお店も入りました。輸入壁紙セレクトショップが山王マンション1階に。
耐震補強
当然、耐震性や安全性といった住宅としての基本的な要素は大事ですが、耐震補強なんてのは費用がかなりかかります。耐震ブレースをあえて人の見えやすい場所に作り、壁紙ワークショップをすることでこれから先も愛着を持って大事に使っていこうという意味合いもあるそうです。
ビンテージビル(賃貸)で人がつながるまちづくり
老朽賃貸ビルの価値を創出してレトロビルへ、そしてレトロビルの価値を熟成させてビンテージビルへという流れをつくることでまちづくり・地域活性化につなげるという、ソーシャルビジネス(社会的事業)なんだと力強くおっしゃる吉原さん。
「経年劣化」⇒「経年有価」
リフォームやリノベーションで物質的価値を高め、そっから先はビル住民や地域住民、地域外のファンとのコミュニティを育むことでそれがブランドになり本質的価値につながるということですね。
ビンテージビルのラボビル4棟
福岡市内でたくさんの老朽賃貸ビルをビンテージビルへとリノベーション。
ビル一棟イベント
福岡アジア美術トリエンナーレ2009の展示会場として文化を発信。
耐震補強の効用
「築100年を目指して耐震補強」「イベントでファンづくり」「広めの多目的スペース」などなどもはや既存の住むだけのマンションから4歩、5歩先を行っています。
「DIYリノベ」+「つながり」で新規入居者が増えて退去者は減る
賃貸だから自分のスタイルを作れない、そんな時代は終わりました。ということで「リノっしょ(カスタムリノベーション)」という入居者、オーナー、スペースRデザイン(管理会社)の三者でつくるリノベーションの仕組みを2011年からスタート。
これはテレビでも放送されました。
福岡DIYリノベウィーク2014
福岡県内の約17ヵ所で様々な見学会やワークショップが行われました。
FUKUOKA DIYリノベ International Week 2014 | Facebook
クリエイティブDIYタウン構想
点在する空き家、空きビルをリノベーションして再価値化し、それをエリアに波及させることでエリアの価値を上げるというリノベーションまちづくり構想。
敷地に価値無し、エリアに価値有り。
賃貸経営はソーシャルビジネス
賃貸経営を社会的課題解決ビジネスととらえると、人と街を育てる”付加価値事業”が出来ると吉原さんはおっしゃいます。この考え方は今の時代とても重要です。不動産オーナーのポテンシャルは凄いのです。不動産オーナーが街の救世主になる時代なわけですね。
賃貸ビルオーナーとのソーシャルフランチャイズ
そんな社会的事業に取り組む賃貸ビルオーナー同士が協力してエリアを盛り上げて行く、そんな好循環が生まれたら持続可能な社会の実現につながると思います。
まちのすき間に「ビンテージビル再生の場づくり投資」
DIY改修を学べる教室を作ってしまおうという。DIYリノベの教育機関です。
吉原住宅有限会社(福岡市中央区大名) - ビンテージビル創出企業
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