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空き家対策特別措置法が一部施行!空き家判定の基準を初めて例示「概ね年間を通して建築物等の使用実績がないことは1つの基準となる」

空き家対策特別措置法の一部が施行

 

昨日(2月26日)、空き家対策特別措置法の一部が施行されました。市町村による空き家調査(9条)、特定空き家に対する処置(14条)、過料について(16条)については3ヶ月後の5月26日からの施行になります。そして具体的に何がどう変わるのか、ということですが国土交通省から「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針の決定について」という報道発表がありまして、かいつまんで言うと空き家対策の最前線である市区町村がスムーズに施策実施や空き家対策計画策定を進められるように「空き家対策の基本指針」が作られました5条)。

 

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画像引用元

 

空き家かどうかの判定基準が初めて例示される

 

空き家かどうかの判断って主観と客観とで本当にバラツキがあると思います。そんな中「年間を通じて建物の使用実績がないことは1つの基準になる」と初めて具体的に示されました。

 

空き家かどうかを判定する目安として、「建物が1年間にわたって使われていないこと」と初めて示した

特措法は昨年11月に成立したが、市町村が空き家を判定するための基準について記載がなかった。

空き家の目安「1年使用なし」 国交省・総務省が指針:朝日新聞デジタル

 

具体的に1次ソースである国土交通省が公表している基本指針を読んでみるとより具体的なことが見えてきます。

 

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空き家対策基本指針の概要:PDF) 

 

「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」とは?

 

空き家対策特別措置法の条文を見てみると”空き家の定義”が何なのか具体的になります。第2条の第1項で”空き家の定義”がうたわれています。そこで出てくるのが「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」という文言です。

 

(第1項)この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。

「空家等対策の推進に関する特別措置法」逐条まとめpart1 - 空き家の活用で社会的課題を解決するブログ

 

つまり「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」と判断された建物(厳密には「建築物又はこれに附属する工作物」)は空き家と定義されることになります。

 

そして「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」という状態がどんなものなのかは今回発表された基本指針の中に記述されています。

 

「居住その他の使用がなされていないこと」とは、人の日常生活が営まれていない、 営業が行われていないなど当該建築物等を現に意図をもって使い用いていないことをいう

空き家対策基本指針P8:PDF

 

なるほど。「人の日常生活が営まれていない」「営業が行われていない」などなんらかの使用の意図がない建物は空き家と判断されるということです。でもまだ具体的な動かぬデータがないと判断が分かれそうです。そこで空き家の実態調査を行う市区町村(9条)が建物の使用実態の有無を把握するにあたってどんな客観的なデータを取るべきかも示されています。

 

建築物等の使用実態の有無については、 法第9条第1項の調査を行う一環として、調査時点での建築物等の状況を基に、建築物等の用途、建築物等への人の出入りの有無、電気・ガス・水道の使用状況及びそれらが使用可能な状態にあるか否か、建築物等及びその敷地の登記記録並びに建築物等の所有者等の住民票の内容、建築物等の適切な管理が行われているか否か、建築物等の所有者等によるその利用実績についての主張等から客観的に判断することが望ましい。

空き家対策基本指針P8:PDF

 

客観的なデータとしては電気・ガス・水道の使用状況の確認が一番手っ取り早いのかもしれません。使用量について各事業者に情報照会出来たりするとよりスムーズだと思います。そして具体的に「年間を通して建物の使用実績がないこと」という例示もあります。

 

「居住その他の使用がなされていない」ことが「常態である」とは、建築物等が長期間にわたって使用されていない状態をいい、例えば概ね年間を通して建築物等の使用実績がないことは1つの基準となると考えられる。 

空き家対策基本指針P8:PDF

 

年間を通して建物の使用実績がないかどうかをどう調査するか

 

空き家かどうかを判断する目安が示された次はそれをどうやって行うかです。毎月、市区町村の空き家対策部署の職員が空き家と判定されそうな建物を巡回し、電気・ガス・水道の使用状況を目視で確認していく、っていうのは地道なようで負担も大きいと思います。

 

第10条第3項で、「関係する地方公共団体の長」「その他の者」に空き家の所有者に関する情報提供を求めることが可能な旨がうたわれています。「その他の者」に当たるだろう電気・ガス・水道事業者に情報照会すれば「年間を通じて建物の使用実績がないこと」は一発でわかるし効率的です。

 

(第3項)前項に定めるもののほか、市町村長は、この法律の施行のために必要があるときは、関係する地方公共団体の長その他の者に対して、空家等の所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めることができる。  

「空家等対策の推進に関する特別措置法」逐条まとめpart3 - 空き家の活用で社会的課題を解決するブログ