今、オンラインサロンがあつい
イケダハヤトさんや経沢香保子さんとはあちゅうさん、佐々木俊尚さんなどそうそうたる方々の「有料オンラインサロン」が次々と立ち上げています。そしていつもブログをチェックしている都議会議員のおときた駿さんと著書・肩書き捨てたら地獄だった - 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方 (中公新書ラクレ)を読んだばかりの宇佐美典也さんの2人が有料オンラインサロンを立ち上げるとのことで、キックオフイベントに行ってきました。
上野にあるアゴラ研究所にて。真ん中は池田信夫さんです。
知の遊び
このサロンの問題意識は「シルバーデモクラシーからの脱却」でコンセプトは「団塊ジュニア世代以降の政治シンクタンク」です。NPOフローレンスの駒崎さんが再三指摘しているように子供・家族向けと高齢者向けの公的支出の割合はなんと1対11です。圧倒的に高齢者世代優先の政策が展開されている現実に対し、このサロンはこのままじゃヤバいという「危機感を問う知の遊び」と宇佐美さんは言います。
子どもや家族への公的支出と高齢者への支出は1対11。先進国のなかでは最もアンバランスなものです。なぜこうなるかというと、高齢者の投票率の方がそれ以外の世代の2倍と高いからです。それが積もり積もって1対11になり、そして少子化に拍車をかけている。この構造を変えないといけないのです。
財政破綻するリスク
名目GDPはバブル崩壊以降頭打ち。
年金、医療、介護福祉などの社会保障給付費は高齢化の進展と勤労者世代の割合現象で今後も大幅に増えます。
<社会保障給付費の将来見込み>
さらに日本の公債残高は増加の一途を辿っていて、将来世代は大きな負担を背負っていかなくてはいけません。
1500兆円に及ぶ個人金融資産の6割を65歳以上の高齢者が占めているのも含めて、財政状況は非常にアンバランスです。
回答は出ない
「回答は出ない」「ダメなりに現状を問題提起する」と宇佐美さんは言います。戦後70年をかけて作られてきた社会システムを一気に解決することは現実的に難しい。ならば厳しい現状をロジカルに示そうということです。
政治というのは、税金の使い道を決めるもの
早速昨日のイベントのことがおときたさんのブログ記事になっています。池田信夫さんがあくまで1つの学説として提案していた「年金受給者に、選挙権は与えるべきではない」の合理的な根拠を示しています。
そもそも、成人であれば誰でも参政権があるという「普通選挙」の考え方は、
我が国では1925年から導入された比較的新しい考え方です。
それまでは「制限選挙」、つまり一定額の税金を納めた人でなければ、
選挙では投票権を持てない仕組みが採用されていました。
これは
「政治というのは、税金の使い道を決めるもの」
という思想・考え方に基づいたものでした。
つまりそもそもは税金を納めているから選挙権が与えられていました。
「普通選挙」の最大の欠点は、誰もがなんとなく権利を持ち、
なんとなく結果を受け止め、責任感や当事者意識が欠如してしまうことに突きます。
納税をしなくなった人の参政権を停止するということは
極めて非現実的な政策ではありますが、そのような理論が生まれる背景にはこうした
「当事者意識」の問題があると認識することは、選挙に望む上で大切なことではないでしょうか。
「納税をしなくなった人の参政権を停止する」ということはシルバーデモクラシーの現状では困難でしょう。しかし、一方で子育て中の人には2票の選挙権を与えるといった提案もあって、こちらのほうは現実的と感じます。先月亡くなられてリー・クアンユー氏は「40歳以上の子持ちの方には、一人もう一票を与えたらどう?」と述べています。
>40歳を超えて子供を持つ人には2票与えてはどうか。なぜなら、それらの人は注意深く、子供のためにも投票するからだ。そういう人は、気まぐれな30歳未満の若者より真剣に投票するだろう。一方で、65歳を超えた人も問題だ。40〜60歳が一番理想的で、60歳を超えたら一人一票に戻す。しかし、そうした仕組みを整えるのは困難だろう。
これは欧州の民主主義先進国でも「ドメイン制」などと呼ばれて議論されている点です。
リー・クアンユーはやはり、シルバー民主主義に懸念を抱いていたのです。