中古住宅の流通促進
空き家は主に中古住宅です(新築住宅の竣工から引き渡し期間や分譲住宅や賃貸住宅を建てて買い手や借り手がつくのを待っている状態を除く)。つまり、中古住宅の流通促進が空き家の有効活用につながります。そんな中古住宅の流通促進に追い風となる取組がスタートしそうです。具体的には、中古住宅の販売時に専門家が住宅の劣化状況を調べる住宅診断が義務化になります。
政府・与党は買い手がつかず売れ残る中古住宅の市場活性化に乗り出す。専門家が劣化状況を調べる住宅診断を徹底し、仲介業者に販売時の説明を義務付ける。購入後に欠陥が判明するケースを防ぐ。一方で販売情報も適切に開示し、安心して売り買いできる環境を整える。少子高齢化で空き家が増えており、資産価値の高い中古住宅の流通を促す。
住宅診断(ホームインスペクション)とは?
中古住宅購入後に欠陥が見つかるなどのトラブルを防ぐために前もって中古住宅の耐久性や劣化状況を第三者が点検する仕組みが住宅診断(ホームインスペクション)です。
「欠陥住宅ではないか」
「いつごろ、どこに、いくらくらいのお金がかかるのか」
「あと何年くらいもつのか」
ホームインスペクション(住宅診断)とは、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場から、また専門家の見地から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見きわめ、アドバイスを行う専門業務です。
(画像引用元)
欧米では普及が進む住宅診断(ホームインスペクション)
中古住宅の流通が盛んな欧米では住宅診断(ホームインスペクション)が普及しています。
米国では、州によって異なりますが、取引全体の70~90%の割合でホームインスペクションが行われ、すでに常識となっています。
新築住宅の流通が中心で中古住宅の流通は1割程度である日本では住宅診断(ホームインスペクション)の利用率は1割に満たないとする統計もあるそうです。
住宅投資がちゃんと資産として評価されるようにする
住宅を定期的にメンテナンスしたり改修したりといった住宅投資がちゃんと資産として評価されていかないと中古住宅の流通も進みません。ということで住宅診断(ホームインスペクション)の実施も中古住宅の適正な評価の基準の一つとして有効だと思います。
活性化策の柱は、欧米で広く普及する住宅診断の徹底だ。専門家が目視などで物件を点検し、劣化状況や耐久性を調べる。水回りや傾斜などから補修の必要性を判定する。政府・与党は仲介業者が買い主に住宅診断の内容を説明するよう義務付ける。具体的には法改正で、契約前に確認する重要事項説明書に住宅診断の項目を設ける。
課題は「第三者性」「客観性」の担保
住宅診断(ホームインスペクション)がしっかり機能するためには中古住宅の売り手がホームインスペクターを選ぶのではなく、買い手が選ぶことで「第三者性」を担保することが重要です。
ついにここまで来たかと、かなり感慨深いものがあります。子の件で大事になるのは「第三者性」をどう担保するか。 ※中古住宅、販売時の診断義務化 活発な取引促す :日本経済新聞 http://t.co/nHCbxMMtGW
— 長嶋修 不動産コンサルタント (@nagashimaosamu) 2015, 4月 27
売り主主導のインスペクションは、やらないよりイイけどその効果は限定的。その立て付けで成功した国はありません。「買主が自ら選んだインスペクターがインスペクションを行う」のがキモ。 ※中古住宅、販売時の診断義務化 活発な取引促す : http://t.co/nHCbxMMtGW
— 長嶋修 不動産コンサルタント (@nagashimaosamu) 2015, 4月 27
不動産コンサルタントでNPO法人日本ホームインスペクターズ協会・理事長の長嶋修さんもホームインスペクションには「第三者性」や「客観性」が必要だと指摘しています。
いずれにせよホームインスペクションはなにより「第三者性」「客観性」が大切であることはいうまでもない。たとえば「リフォームの仕事をとりたいがための、恣意的なインスペクション」では診断そのものに信ぴょう性がない。
しかし、不確定な中でも将来的に空き家を売却することを見越して、空き家の適正管理にしっかり取り組むことを後押しする動きであることは間違いありません。