マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

これからの不動産仲介に必要なのは両手取引の禁止ではなく恣意的な囲い込みを無くすこと

不動産業界の問題行為・物件の”囲い込み”

 

物件の売主と買主の双方から仲介手数料を受け取るために、不動産会社が恣意的に物件の情報を隠して買主を選ぶ行為である”囲い込み”。これが不動産業界の大きな問題点であると、不動産コンサルタントの長嶋修さん不動産ポータルサイトHOME'Sを運営する(株)ネクスト社長の井上高志さんらが指摘しています。

 

最近ニュースやSNSで話題になったのが、この”囲い込み”の実態調査報告書が公になったことです。

 

<参照記事>

akiya123.hatenablog.com

 

是正に向けた動き

 

現在、自民党の中古住宅市場活性化小委員会で是正策が練られていて、提言が今月にも出される予定です。

 

是正策では、売り出し物件に対する購入の打診などの情報を透明化することで、売買の成立を不当に遅らせる要因を取り除き、条件の良い買い主に速やかに売却できるようにする。自民党の中古住宅市場活性化小委員会が今月まとめる提言に盛り込む方針で、これを受けて国土交通省が制度化の検討を進める。

不動産業界“囲い込み”是正へ 売り主への情報開示制度化、中...|ビジネスジャーナル

 

是正策の具体的な中身はというと、売りに出されている物件について「買いたい」などの打診や問い合わせがあるかどうかを、売主自身がインターネットで直接確認できるようになります。

 

売主が専任または専属専任媒介を結び売却を依頼した物件が、レインズに登録されたがどうかを直接確認できる機能、登録された物件の販売状況を元付け、客付け双方の仲介業者と売主が確認できる機能の2つを指す。2015年度中の施行を目指している。

レインズに「ステータス管理」導入へ 悪質な「囲い込み」改善 - 住宅新報web | 売買仲介

 

両手取引そのものは悪ではない、恣意的な囲い込みを無くす

 

なぜ”囲い込み”が起きるのかと考えると、仲介手数料が「物件価格の3%+6万円+消費税」と定められているため、利潤を追求する不動産会社としては両手取引を狙うのが合理的な選択になってしまっています。この仲介手数料の根拠は昭和45年に定められたものです。

 

 

そこで”仲介手数料の自由化”によって不動産会社間の競争を活発化させるということも有効です。

 

日本では不動産売買手数料は上限である「物件価格の3%+6万円+消費税」の金額をベースに設定され、売買契約が行われる。売り主、買い主の両方から上限並みの手数料を得られれば大きな利益が確保できるため、「高い売却額を提示する他社が仲介した買い主よりも、価格が低くても自社が仲介する買い主を優先する傾向が強い」(業界関係者)。一方、海外では業者間での競争を活発化させるため、仲介手数料率が自由化されているケースが多い。

不動産業界“囲い込み”是正へ 売り主への情報開示制度化、中...|ビジネスジャーナル

 

仲介手数料を自由化することで不動産仲介のコストに見合った手数料を取れるようになれば数10万とか数100万円の中古住宅や空き家の取引の活性化にもつながるはずです。

 

 

物件が囲い込まれ、不動産流通が阻害されていることが問題なのであって、健全な競争の中で結果的に両手取引になることは自然なことだと思います。これからの不動産仲介に必要なのは恣意的な囲い込みを無くし、自由で健全な透明な不動産市場をつくっていくことです。