時代遅れの規制をアップデートする
法令から通達までの運用レベルのものまで多数かつ多様な規制が存在しています。規制とはその創設当時は一定の合理性を有していますが、テクノロジーの進化や社会経済情勢の変化などにより時代遅れとなる規制が多々あります。そんな時代遅れの規制が新しいサービスやチャレンジを阻害することにならないように、今の時代に適合するような規制へとアップデートする役割を担うのが内閣府に設置されている審議会である規制改革会議です。
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地域活性化分野の鍵は空きキャパシティの再生・利用
規制改革の具体的なテーマとしては(1)健康・医療、(2)雇用、(3)農業、(4)投資促進等、(5)地域活性化の5つがあります。そして、(5)地域活性化分野の肝となっているのが空き家や空き店舗、廃校といった”空きキャパシティ”の再生・利用です。
少子高齢化を背景に、地域では、膨大な量の「空きキャパシティ」(空き家、空き商店、空き学校(廃校)、空き公共施設(都市公園等)など)が生じつつある。地域活性化のためには、これらを再生させ・利用することによって、地域の交流・賑わいの拠点 を整備し、コミュニティ維持・再生の足がかりとするとともに、「お金が回る」仕組みを作り出して雇用を創出しなければならない。
具体的には、建築物の用途変更などをスムーズに行いやすくすように、建築基準法の規制を緩和したりすることを検討しています。
このため、安全性を確保しつつ、建築物の用途の変更等を行いやすくするよう、用途変更時等に適用される建築基準法の規制について、性能規定の更なる合理化等の検討や運用の改善を行うとともに、建築基準法上の用途地域における建築物の制限の緩和、また、都市公園を賑わい空間として利用しやすくするため、都市公園を活用した先進的な 地域活性化の取組事例、及び住民参加による維持管理の取組事例の紹介を行う。
規制改革案がまとまる
で、このたび規制改革会議が6/16に「規制改革に関する第3次答申〜多様で活力ある日本へ〜」をまとめました。
住宅・不動産に関わる項目は、空き家・空き商店・廃校など空きキャパシティの再生・利用、小規模宿泊業のための規制緩和、老朽化マンションの建て替え促進、都市再開発における手続きの合理化など。
空きキャパシティの利用では用途変更を行いやすくするとともに、用途変更で適用される建築基準法の規制緩和を検討し、運用を改善する。
週刊住宅online > 最新ニュース > 政府、空き家や廃校の用途変更を容易にするなど規制改革案まとめる(2015-06-18 )
規制改革案の中身を見ていくと、
- 廃校の利活用促進
- 既存不適格建築物の用途変更時に係る規制の運用の整理・明確化
- 既存不適格建築物の増築時に係る規制の見直し
- 検査済証のない建築物に対する既存不適格調書の手続の合理化、及び法適合状況 調査のためのガイドラインの運用改善
- 用途変更を伴う建築行為に係る基準の見直しと運用の改善
といった建築物の用途変更時等における規制の見直し。
- 住居専用地域における住民介護・看護用の事務所設置
- 遊休期間の別荘貸出し
といった用途地域における建築物制限の緩和。
- 賑わい空間としての活用
- 住民による維持管理の取組促進
これは都市公園の利活用促進。
他にも小規模宿泊業のための規制緩和として、イベントなどを実施する際の民泊における規制緩和も盛り込まれています。つまり、イベントの時期だけは旅館業法の適用外として、自宅で旅行者に宿泊させるサービスを提供することが可能になるようにすることも検討されています。
また、イベントのときだけでなくインターネットを使って恒常的に自宅を使って宿泊サービスを提供するという空きキャパシティ活用についても検討されます。