マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

介護施設に必要な設備が大体揃っているラブホテルを介護施設に転用する

ラブホを介護施設に転用

 

年末にSNSに流れていたこちらのサイト、「廃業したラブホテルが続々と介護施設へ変わるのが今アツい→その理由が納得! - Togetterまとめ」ですが、既存ストックを有効活用して社会的課題を解決するという組み合わせが面白いです。

ラブホテルはそのスペックから、実は介護施設に必要な設備が揃っていると指摘されています。 

 

安全や衛生、近隣との兼ね合いなどが課題?

 

確かにラブホテルは「清潔感ある外装」だったり、「防音しっかりした個室」があったりと、設備的には介護施設に転用しやすいのかもしれません。しかし、行政が設ける介護施設の設備基準を満たすことや介護福祉士などの有資格者の配置など、利用者の安全や衛生、そして近隣住民からの理解など、クリアすべきハードルはたくさんあります。具体的には、厚生労働省が定める有料老人ホーム設置運営標準指導指針などに則る必要があります。

今回の改正は、急増する無届ホームを減らす必要があることから、届け出が促進されない理由の一つである、設備等基準の緩和を一部で図り、無届けホームでの高齢者虐待問題がクローズアップされたことへ対応するための基準強化等を盛り込む方針で行われました。

厚生労働省、有料老人ホーム設置運営標準指導指針を改正(H27.3.30) | 国の制度、事業について重要なお知らせ | 公益社団法人 全国有料老人ホーム協会

 

「無届け介護ハウス」が全国で急速に拡大

 

昨年12月にNHKスペシャルで放送されていたこちらの番組、「NHKスペシャル | 調査報告 介護危機 急増“無届け介護ハウス”」では法律で定められた行政への届け出を行っていない、空き家などを利活用した「無届け介護ハウス」が、全国で急速に拡大していること、その背景にある特別養護老人ホームが52万人の入所待ちを抱えていること、在宅重視の診療報酬の事情があること、高額な有料老人ホームを利用できない高齢者が止むを得ず「無届け介護ハウス」を利用している実態など、詳細な取材報告をしています。

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(画像引用元:NHKスペシャル | 調査報告 介護危機 急増“無届け介護ハウス”

 

廃業したラブホテルが介護施設に

 

そしてこちらの動画で紹介されているのが、6年前に廃業したラブホテルが内装をそのままに、介護施設に転用されている事例です。しかし問題なのがこちらの介護施設は”無届け”であることです。NHKによると全国にこうした「無届け介護ハウス」は1941件あるそうです。自宅での介護が難しく施設にも入れない高齢者にとっての受け皿を担っている一方、個室の整備や防火設備の設置がなされていなかったり、行政の目が届かないために虐待が放置されていたり、介護報酬が過剰に請求されるなどの面もあるのが実態です。

高齢者を入居させて食事や介護などのサービスを提供する施設は有料老人ホームとして都道府県への届け出が法律で義務づけられ、国のガイドラインでは個室の整備や防火設備の設置が定められています。わたしたちは有料老人ホームにあたるのに届け出を行っていない施設を「無届け介護ハウス」と呼び、その実態について介護の相談窓口がある全国の県庁所在地と政令指定都市の地域包括支援センターにアンケート調査を行うなどして独自に調べました(1797か所対象 回答率41%)。その結果、無届けの施設の数は少なくとも全国で1941件に上ることが初めて明らかになりました。

NHK NEWS WEB 急増する「無届け介護ハウス」

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(画像引用元:潰れたラブホテルが介護施設に「急増“無届け介護ハウス”」① - YouTube

 

既存ストック×リノベーション=社会的課題解決

 

今回ご紹介した「無届け介護ハウス」問題については、無届けでもいいから介護施設を利用する高齢者の存在があります。無認可でもいいから保育所を利用する子育て世代にも通じるものがあります。無認可保育所が保育の一翼を担うように、無届け介護ハウスが介護の一翼を担っている現状、ソーシャルビジネス的なサービスと行政によるチェックを同時並行していくような仕組みが求められています。

 

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