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空き家を活用して新しい価値をつくる

埼玉県が発行した「住まなくなったらこうする!空き家管理・活用の道しるべ」がわかりやすい

要点を絞っていて読みやすい

埼玉県、県内全市町村及び関係団体で構成する「埼玉県空き家対策連絡会議」は、今年3月、空き家しかり建物の所有者が建物の今後を考えるきっかけにしてもらうための小冊子「住まなくなったらこうする!空き家管理・活用の道しるべ」を発行しました。A4カラー16ページと、コンパクトにまとまっていて読みやすいです。

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(画像引用元:建物所有者向けの小冊子「住まなくなったらこうする!空き家管理・活用の道しるべ 」 - 埼玉県

人口減少・住宅過剰社会において不動産の価値とは

2030年代に全都道府県で人口減少となる一方、2023年には空き家が約1400万戸(空き家率21.0%)、2033年には空き家が約2150万戸(空き家率30.2%)という住宅過剰社会を向かえることが予想されています。もはや不動産はよほどの好条件物件でない限り資産価値は下落します。不動産コンサルタントの長嶋修さんは住宅市場は”三極化”していると指摘されています。不動産の資産価値が維持または上昇するのは15%程度ですので、基本的に大体の不動産は価値が落ちていきます。不動産を所有するものという考え方ではなく、不動産は利用するものという考え方への転換がますます重要になってきます。

上位15%だけが価格維持・上昇が可能で、70%は緩やかな下落基調をたどる。残り15%は価値がなくなる。東京23区内でも最寄り駅からの距離による価格差が、数年前に比べ2倍程度に拡大している

10年ぶり上昇も、15%の住宅地は価値がなくなる

管理する

空き家しかり建物をいつでも気持ちよく利用できるように、掃除や修繕、換気、通水など適正に管理することはとても大事です。ただ、空き家になっている場合、その所有者が足を運んで作業をするのは結構大変ですので、専門業者に任せるというのも手です。

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売却する

ご両親が亡くなって実家を相続したけれど、既に持ち家があるため実家をどうするか悩む、というケースはこれからますます増えていきます。管理にしろ賃貸にしろ所有者としての義務が発生しますので、売却してしまってきれいさっぱりという意味で売却できるのであればこの選択は一番シンプルなのかもしれません。相続人がたくさんいて意思統一に向けたコストがかかるなど、一筋縄ではいかないとは思いますが。

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賃貸する

DIY型賃貸借という新しい賃貸契約のスタイルを国土交通省が推し進めようとしています。カフェやコワーキングスペース、民泊など住宅以外の用途として貸すということもこれから大きな可能性があります。最近では、3階建てまでの戸建て住宅を飲食店や福祉施設へ用途変更しやすくする法改正も行われました

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解体する

老朽化してどうしようもない場合、解体という選択があります。空き家を解体するというと、特定空き家の行政代執行がよくニュースになっています。解体した後、更地になった土地に再建築するのか、再建築したとしてペイできるのか、ペイできない場合は行政の補助制度などを活用して地域のための防災倉庫の置き場スペースとしてだったり、そういう活用もあります。

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登記、改修費用補助

空き家の取得理由の半数以上は相続です。しかし相続登記は義務ではないため空き家の所有者が更新されることなく、前の所有者のままとなっているケースが多くあります。相続登記には手続きにかかる手間や費用もかかるため、積極的に空き家をどうにかしようと考えていない場合は相続登記をするインセンティブが働きづらいです。そのため登記がされず放置されることに。これは土地の所有者不明化も同じ構造で、現在国を上げて対策に取り組んでいます

また、空き家の改修費用や解体費用補助などを出す自治体も数多くあります。老朽化している空き家は近隣住民の脅威になるばかりか、エリアの価値を阻害する要因にもなります。一方で工夫して一手間加えれば蘇る空き家もあるわけで、そういった空き家改修を後押ししているのもまた事実です。

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空き家対策の取組 - 埼玉県