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空き家を活用して新しい価値をつくる

住宅及び世帯に関する基本集計の結果が公表!

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 2019年9月30日に平成30年住宅・土地統計調査の「住宅及び世帯に関する基本集計」結果が公表されました4月の公表は住宅数概数集計でした。今後、2020年1月に「住宅の構造等に関する集計」が3月に「土地集計」が公表されます。以下私が注目した点をピックアップします。

総世帯数の増加傾向は鈍化の兆し

 2018年10月時点の総住宅数は6240万7千戸。今年4月の速報値は6242万戸でしたので若干増加しています。4月の速報値にはまだ数字が出ていなかったのが総世帯数です。今回初めて公表され、5400万1千世帯となっています。ここで注目したいのが総世帯数の増加傾向に鈍化の兆しが見られたことです。1958年〜今回の2018年まで総世帯数は増加する一方ですが、5年間と比較した増減率が今回は3.0%増に止まりました。

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全国の総世帯数は2023年をピークに減少へ

 厚生労働省が公表している2018年人口動態統計によると、出生数は91万8397人で3年連続で過去最少を更新し、死亡数は戦後最多の136万2482人でした*1。生まれる人が少なく亡くなる人が多い。人口減少の加速化はまさにこれからです。

f:id:cbwinwin123:20191029202026p:plain(出典:【図解・社会】合計特殊出生率、出生・死亡数の推移:時事ドットコム

 さらに、国立社会保障・人口問題研究所が公表している2018年推計の日本の世帯数の将来推計によると全国の総世帯数は2023年の5419万世帯でピークを迎え、その後が減少すると推計しています。また、2035年までに沖縄を除く46都道府県で総世帯数が減少するという推計もあります。つまり、住宅を使う人は減っていくのに住宅はあまり活用されず、そのまま残るという状態が今後先鋭化していくということです。

個人住宅(その他の住宅)の空き家の割合の増加傾向が続く

 個人住宅(その他の住宅)の空き家の増加が目立つ件については以前の記事でも書きましたが、5年前に比べて賃貸用住宅の空き家が3万5千戸(0.8%)増なのに対し、個人住宅の空き家は30万4千戸(9.5%)増となっています。過去最高である2018年の空き家率13.6%の内5.6%を個人住宅が占めており、この数字は過去最高です。

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持ち家6対賃貸4の比率はほぼ変わらず

 持ち家と賃貸の比率は1973年以降、6対4でほぼ変わらず2018年まで続いています。住宅ローン減税など新築・持ち家優遇措置を続けているのに6対4のままとも言えます。終身雇用で給料が段階的に上がっていく、地震や台風などの自然災害に強い地盤や立地に建てられている、病気をして急に働けなくなっても収入が途絶えることがない、大きな負債を抱えるリスクがない、以上のリスクはあるけれどそれ以上に持ち家が必要という方は持ち家が合理的な選択だと思います。
 駅近でも空き店舗があり、駅からそう遠くない住宅街の中にも郵便ポストが封鎖された放置空き家が点在している昨今、住宅を所有することの責任とは何か、住宅の公共性とは何か、持続可能な地域社会とは何か、など考えさせられる機会が増えました。

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65歳以上の高齢者のいる世帯の82.1%が持ち家

 65歳以上の高齢者のいる世帯数が2253万4千世帯ですが、持ち家が1848万9千世帯で、82.1%にもなります。先ほど見た全世帯に占める持ち家率が61.2%ですから約20%も高くなっています。もはや持ち家があったところで建物の状態が悪かったり、立地が悪かったりで必ずしも資産とはならないケースも増えてきています。人口減少社会に合わせた持続可能な住宅政策、市場、文化をつくり上げていくことが重要です。中古住宅流通促進を目的とした税制優遇や新築・持ち家優遇措置の見直し、ホームインスペクション や建物の維持管理、リフォームやリノベーションが金融機関に適性に評価されるシステムの構築、無計画・無秩序な新築住宅建設の規制、目先の転入者人口増を目指した居住地域拡大の規制緩和の見直し、住宅を住む以外の多用途に活用していくサブカルチャー的な解放区を許容するゆとりある都市空間の実現など、今後やるべきことはたくさんあります。

60〜74歳までがいる世帯で空き家を所有している傾向が高い

 今回初めて調査項目として導入されたのが「現住居以外の住宅を所有しているかどうか」です。基本的にこれまでは空き家の調査は調査員による外観調査などで行ってきましたが、今回は調査対象世帯に直接回答してもらおうというものです。
 現住居以外の住宅を所有している世帯は511万世帯で、全体の9.5%です。この内、完全に居住世帯のない住宅を所有している世帯は132万2千世帯、全体の2.6%となっています。この数字だけを額面通り捉えると、外観調査で空き家と判断したけれど実際には使っている住宅もある、となります。
 60〜74歳までがいる世帯で現住居以外の住宅を所有している割合及び空き家の割合が高いです。

*1:こちらの図解がわかりやすいです