空き家の活用で社会的課題を解決するブログ

空き家を活用することで新しい価値を生み出し、社会的課題解決へつなげる好循環をつくるために書いているブログです。

知っておきたい!空き家と火災保険

空き家でも火災保険に加入できる

日経電子版のこちらの記事に相続空き家の火災保険に関することが紹介されていました。損害保険会社の対応にもよりますが家財が残っていて住居として使用する家は専用住宅として火災保険に加入できる一方で、家の管理がされていない空き家は住宅ではなく店舗や事務所などと同じ一般物件として火災保険に加入することになります。空き家でも火災保険自体には加入できるようです。

保険料負担は増す

しかし空き家の場合、一般物件になるので専用住宅に比べて保険料が増すことになります。どのくらい金額に差がある調べてみると、こちらの記事では年間保険料が約1万2000円高くなると紹介しています。

補償内容をほぼ同条件とした場合の、使用中の住宅と空き家との年間保険料を比較したのが下の表。賠償責任保険を含めた年間保険料は、空き家の方が約1万2000円高い。住まない家の方が、維持コストは高くなるわけだ。

放置すればリスク大 空き家でも欠かせぬ火災保険|マネー研究所|NIKKEI STYLE

f:id:cbwinwin123:20181013222426p:plain(出典:放置すればリスク大 空き家でも欠かせぬ火災保険|マネー研究所|NIKKEI STYLE

地震保険はかけられない

空き家の場合、保険料は割高でも火災保険には加入できますが地震保険には加入できません。地震で家が倒壊したり、地震が原因の火災で消失した時は保険金が出ないので注意が必要です。2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震然り、思ってもみない場所で大地震が起きる可能性があります。大地震により空き家が倒壊し、近隣家屋の破損や住人の怪我や最悪の場合、死亡させてしまうことも十分起こりえます。こういったケースの損害額について公益財団法人日本住宅総合センターの「空き家発生による外部不経済の実態と損害額の試算に係る調査」によると、物件損害額が約1500万円、人身損害額が約2億円と試算されています。

f:id:cbwinwin123:20181013223415p:plain(出典:契約切れ・地震・水害… 自宅の保険に問題はない?|マネー研究所|NIKKEI STYLE

「世界の空き家対策」刊行記念トークイベントに行ってきた

注目のお二方のトーク

 2018年11月11日(木)、紀伊国屋書店新宿本店9階イベントスペースで開催された『世界の空き家対策〜公民連携による不動産活用とエリア再生』刊行記念トークイベントに行ってきました。この本の編著者である富士通総研経済研究所上席研究員の米山秀隆さん東京財団政策研究所研究員兼政策オフィサーの吉原祥子さんが登壇されました。米山さんは2012年頃から空き家問題について研究をされていて、前々から研究レポートやオピニオン、ご著書から学ばせていただいています。吉原さんについてもご著書である『人口減少時代の土地問題ーー「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ』から土地の所有者不明化問題について知り、特に東京財団研究所のウェブサイトは定期的にチェックしています。今回はそんな日々学びを得ているお二方が出演されるとのことで、イベント情報がウェブサイトに掲載された8月下旬の時点ですぐに申し込みました。 

世界の空き家対策: 公民連携による不動産活用とエリア再生

世界の空き家対策: 公民連携による不動産活用とエリア再生

  • 作者:米山 秀隆,小林 正典,室田 昌子,小柳 春一郎,倉橋 透,周藤 利一
  • 出版社:学芸出版社
  • 発売日: 2018-08-31

f:id:cbwinwin123:20181012082504p:plain

「世界の空き家対策」から学ぶ

日本の空き家率は13.5%もある(2013年住宅・土地統計調査)わけですが*1、各国の空き家率はどのようになっているでしょうか。米山さんのスライドを見てみると、意外なことにアメリカの空き家率は12.7%と高く、その他の空き家率も5.4%と日本と同水準です。しかし他の国は軒並み一桁台ですので日本の空き家率の高さが際立ちます。日本の空き家率は2033年に27.3%に上昇する予測もされており、空き家を不動産市場に流通させていくことや空き家をこれ以上増やさないための対策などを具体的に実践していく必要があります*2。中古比率を見ると日本は14.7%と非常に低いです。一方アメリカは83.1%、フランスは68.4%、イギリスは87.0%、諸外国では中古住宅市場がちゃんと整備されていることがわかります。もちろん統計の取り方が国によって違いますので厳密に比較できるものではないですが。

f:id:cbwinwin123:20181012082541p:plain

まちづくり(都市計画)の考え方の違い

ヨーロッパではどこでも住宅を建てていいわけではない、空き家を放置させない対策を取っている 、ということを米山さんはご指摘されていました。日本では戦後、高度成長期の住宅不足に対応するため、まち(市街地)を広げ、新築を大量に作ってきました。人口減少局面に入ると空き家がまるでスポンジの穴のように増えてきました(都市のスポンジ化)。一方ヨーロッパでは郊外へと無秩序にまちを広げていくのではなく、古くからあるまちをずっと使っています。空き家を放置させない対策もしっかりしていて、ドイツでは住宅の維持管理が義務とされていて所有者に対し建物近代化や修繕の命令、それができない場合は取り壊し命令を自治体が出せたり、フランスでは空き家に対する課税、自治体が強制的に利用できる制度が、イギリスでも空き家に対する課税、空き家の利用権を自治体が強制収容する制度などがあります。

f:id:cbwinwin123:20181012082559p:plain

2つの放置

次に吉原さんからは所有者不明土地問題についてお話がありました。基準地価が27ぶり上昇したとニュースになっていましたが、人口減少に伴い中長期的には地価は下落する。朝日新聞「負動産時代」という特集記事も組まれるなど、土地を所有することのメリットというのがどんどん変化している。今年は明治維新から150年目ですが、明治から築いてきた日本の土地制度が現代社会に適応できなくなってきていること。2017年12月に提言をまとめた所有者不明土地問題研究会のパート2が2018年6月からスタートしていることなどご指摘されていました。

f:id:cbwinwin123:20181012082631p:plain

*1:住宅・土地統計調査は5年毎に行われる標本調査で、最新の2018年版の調査結果は2019年夏頃公表される予定です。参考記事はこちら

*2:空き家を流通させようとする取組は国では、空き家対策当別措置法全国版空き家・空き地バンク住宅セーフティネット制度安心R住宅既存住宅・リフォームの活性化に向けた取組など、民間ではNPO法人尾道空き家再生プロジェクト長野市善光寺門前のエリアマネジメントMAD Cityプロジェクト宇都宮もみじ通り吉原住宅有限会社NPO法人空家・空地管理センターといった事業者や取組、家いちばスペースマーケットリノべるリビタイエシルDIYP東京R不動産ツクルバなどのサービスがあります。もちろん他にもたくさんあります。

1933年築の古民家が改装されカフェ&レンタルスペースに【古民家カフェ蓮月】

空き家になった元蕎麦屋の古民家を

東京都大田区にある池上本門寺の西側の散策路にある古民家カフェ蓮月は、1933(昭和8)年築の古民家を改装し2015年10月にオープンした人気カフェです。映画「ふきげんな過去」の撮影現場として利用されたり、第1回大田区景観まちづくり賞を受賞するなど、ただのカフェではない存在感を放っています。カフェとしてオープンする前は1階は蓮月庵という蕎麦屋(1959年〜)、2階の座敷は結婚式や披露宴の会場として使われていた時代もあったそう。しかし店主の高齢により2014年に閉店し、その後は空き家となっていたところを地元の人達主体で保存プロジェクトが立ち上がりました。

そんな中、蓮月の今後を心配し見守っていた地元の人達が集まり、保存プロジェクトを起ち上げた。どうやって建物を活かし再生するかのアイディアを出し合い、検討がはじまったのだ。
建物は、住む人がなくなるとあっという間に老朽化が進むが、築年数の経過した建築物であれば尚更である。保存が危ぶまれる中、どういった経緯で古民家カフェ蓮月は誕生したのだろうか?
「古民家カフェ蓮月」の店長である輪島基史さんに話を伺った。

昭和8年築の古民家がカフェ蓮月として復活。保存プロジェクトの奮闘を聞いてきた 

f:id:cbwinwin123:20181008165822p:plain(出典:大田区池上の古民家カフェ 蓮月)外観からいい味が出ています

再活用してくれる人を募る説明会の実施がきっかけとなり

保存プロジェクトのメンバーの間では古民家をカフェにしたいという案が出ていました。そして蓮月庵が閉店した翌年の2015年2月、再活用してくれる人を募る説明会が開かれます。70人が集まりましたが、ちょうど説明会当日にご自身が経営していた古着屋をしめたばかりという、後に古民家カフェ蓮月の店長となる輪島基史さんに保存プロジェクトのメンバーからカフェ店長の打診がなされました。

「悩みましたが、こんな機会は滅多にないし、やったことが無いことに挑戦しよう!という想いもあり、引き受けました。古着屋を閉めた後、勉強をして3年くらいしたら小さな飲食店をやりたいとは思っていたんです。でもまさか、こんなに早くやることになるとは思ってもいませんでしたね…。」

昭和8年築の古民家がカフェ蓮月として復活。保存プロジェクトの奮闘を聞いてきた  

f:id:cbwinwin123:20181008172646p:plain(出典:ふきげんな過去 – 大田区池上の古民家カフェ 蓮月)映画「ふきげんな過去」のセットの様子

修繕や掃除を進める

古民家はこれまであまり大きな修繕を行ってこなったので修繕や掃除を繰り返す必要がありました。保存プロジェクトのリーダーとなった輪島さんは修繕や掃除をする中で、古民家をどう活用するべきかを考えます。その時に大事にしてたが「みんながやりたいことをやる」でした。元々は蕎麦屋だった古民家を保存したいという動機からスタートしているので、店の名前を引き継ぎ、改修も蕎麦屋の名残を活かすことにしました。

蓮月の店長である輪島さんは、店に関する全ての決定権を持っていると言っていい。だが、これまで保存プロジェクトに関わってきた人の意志を尊重し、ともに蓮月を守っていくことを一番の目的に取り組んだ。長年地域に溶け込んでいた建物であるからこそ、あえて大きく手を加えない。だからこそ保存プロジェクトの人たちと協力しオープンすることができだのだろう。
昭和8年築の古民家がカフェ蓮月として復活。保存プロジェクトの奮闘を聞いてきた  

f:id:cbwinwin123:20181008173929p:plain(出典:RENTAL – 大田区池上の古民家カフェ 蓮月)2階のレンタルルームは純和風の広々したお座敷

地域住民が気軽に立ち寄れる場所

古民家カフェ蓮月では学生向けに夏休み自習室を企画したり、「まなびや蓮月」と言って月〜木曜日の夜18時以降、若草色の暖簾が出ている時間帯は勉強や仕事(読書・趣味の学びも含む)をする方を対象とした空間になるなど、ただ飲食をする場所ではない役割を担っています。他にもイベントが開かれたりもしています。街の中の点在している空き家が蓮月のような空間に生まれ変わったら、日常生活の中に溶け込んで気軽に立ち寄りたくなると思います。

歴史を継承しつつ現代のニーズに合わせ地域に愛されるお店となる

肝心のメニューを見てみるととても充実しています。モーニング、ランチ、ディナーまで用意していて、メニューも豊富。厚切り照り豚丼なんてボリュームたっぷりです。ディナータイムはお酒やおつまみも充実しています。これまでの蕎麦屋としての歴史を継承しつつ、現代のニーズにあった飲食サービス、そして地域住民が立ち寄りたくなるような場所を目指すこと。今後長く地域で愛されるお店であり続けるために重要なことだろうと考えました。

大田区池上の古民家カフェ 蓮月
古民家カフェ蓮月 @東京都大田区池上(@ikegamirengetsu)さん | Twitter