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空き家を利活用して新しい価値をつくる

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京都市の「空き家利活用促進税」の動きと厳しい財政事情

京都市で空き家の利活用は進むか?(画像出典:ぱくたそ)

京都市で空き家の利活用は進むか?(画像出典:ぱくたそ 

空き家利活用促進税の骨子まとまる

京都市が導入の検討を進めている「空き家利活用促進税」ならぬ「(仮称)非居住住宅利活用促進税」の骨子案が、2022年1月にまとまったことがNHK京都新聞などで報道されています。

家屋の固定資産評価額が100万円未満の建物は新たな税の導入から5年間は対象外とすることや、所有者が死亡してから3年間は課税を猶予することなど、具体的な制度の中身が明らかになってきました。

2月の定例議会に条例案を提出する予定ということですが、新たな税の導入時期は2026年度以降になるそうです。

京都市は、利用されていない住宅の有効活用を進めようと、空き家や別荘などの所有者に対する新たな税を検討していて、このほど骨子案をまとめました。
このなかで資産価値の低い家屋を所有し、売却できないという人に配慮するため、税の導入から5年間は家屋の固定資産評価額が100万円未満の建物を対象外にするとしています。

www3.nhk.or.jp

空き家の有効活用の誘導と財源の確保

2021年11月5日に開催された令和3年度第1回京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会の資料を読むと、新たな税の制度設計に向けた議論が垣間見えて興味深いです。

資料2の「(仮称)非居住住宅利活用促進税」現時点での制度設計案によると、新たな税の目的は空き家の有効活用の誘導と財源の確保の2点であることが書かれています。

◯居住者のない住宅への居住を促進することにより人口の減少に歯止めをかけ,土地及び建物の有効活用を誘導するため
◯居住者のない住宅が存在することによる現在及び将来の社会的費用の低減を図りつつ,その経費に係る財源を確保するため

資料3参考の論点ごとの検討に当たっての参考数値等には、「交通が不便な地域の戸建住宅。思った価格で売却に至らず、そのままにしている」、「賃貸物件として利用する予定だが、リフォーム費用を捻出できずに放置している」、「路地裏の戸建住宅。相続したが、使いみちがなく、放置している」といったリアルな空き家の事例が多数載っています。

それぞれの空き家の家屋固定資産評価額を踏まえ、課税対象見込み件数や税収見込み額が試算されています。

(資料3参考)論点ごとの検討に当たっての参考数値等P.3

(資料3参考)論点ごとの検討に当たっての参考数値等P.3


「(仮称)非居住住宅利活用促進税」の制度設計案の論点に関する意見には、有識者会議体である京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会から京都市に、新たな税の制度設計案の論点について意見がなされています。例えば免税点をどれくらいの金額に設定するかについて、あまり低くすると市場性が乏しく利活用のメリットが薄い空き家の所有者への課税強化となってしまい、新たな税の目的にそぐわなくなってしまうことが懸念されていました。

市場性が高い空き家の所有者へは相応の税負担をしてもらい、市場性が低い空き家の所有者へは除却も含めた空き家の適正管理を促していくという整理の重要性が示されています。

今回まとめられた骨子案はこの意見が反映されたものといえます。市場性が低い空き家然り、空き家対策全般は京都市でも既に取り組まれています。

この税においては,市場性が乏しく処分が困難な空き家に対して経済的負荷を課すことが,真に効果的であるかどうかという点についても検討する必要があり,また,税が強制的に徴収されるものであるとの性質を踏まえると,慎重な対応が必要と考えられる。免税点を低く設定すると,市場性が乏しく売るに売れないような非居住住宅の所有者にとっては,税負担だけを求められ続けることにもなりかねず,こうした事態はこの税が目指すところではない。
一方,市場性が乏しい非居住住宅の中には,管理不全空き家も含まれるが,これこそ喫緊に対策が必要なものでもある。ただ,管理不全空き家に関しては,除却も含めた是正が必要であり,市場を介して利活用を促進させようとする一般の空き家とは異なる面もある。
「(仮称)非居住住宅利活用促進税」の制度設計案の論点に関する意見P.1

財政破綻の危機にある京都市

空き家所有者への課税強化といった踏み込んだ政策の背景には京都市の厳しい財政事情があります。京都市は学生が多い(高齢者も多い)ため個人市民税が少ない、古い木造建物が多いため固定資産税が少ないといった古い都ならではの特性に加え、1997年に開業した市営地下鉄東西線の経営難、敬老パスなど手厚い市民サービスの維持、基金の取り崩しなどの影響により、企業の倒産にあたる財政再生団体に2028年度にも転落する恐れがある状態となっているのです。

令和3年3月1日号(京都市のお金の事情2)

令和3年3月1日号(京都市のお金の事情2)

京都市は2021年8月に行財政改革計画2021-2025を策定し、2022年10月からは敬老パスの交付開始年齢を10年かけて70歳から75歳に引き上げるなど、収支改善に取り組んでいます。

令和4年1月1日号(行財政改革の実施状況)

令和4年1月1日号(行財政改革の実施状況)

このように厳しい財政事情の中で行われている新たな税の動きであるということは、頭に入れておく必要があると考えています。

 

参考

www.city.kyoto.lg.jp

www.yomiuri.co.jp

www.mbs.jp