バービーさんらが登壇して空き家利活用を語る
2021.10.26(火)に空き家活用株式会社が開催した「空活会議2021」は代表の和田さんやご自身の地元である北海道栗山町で「#栗山町ワクワクプロジェクト」に取り組むバービーさん、世田谷区の空き家・老朽建築物担当の千葉さん、北海道栗山町の定住推進担当の金丸さんの4名が登壇し、司会の方含めて空き家の利活用に向けた具体的かつ前向きなお話が展開されました。
その模様はYouTubeで公開されています。
事前課題段階と不動産課題段階という2つの課題
2018年住宅・土地統計調査によると全国の空き家数は849万戸、その内の349万戸は個人住宅であるため必然的に未流通となっています*1。未流通の349万戸のうち共同住宅である78万戸を除き戸建て252万戸と長屋建て17万戸を合わせた約270万戸を空き家活用株式会社は「解決を待つ課題のある空き家」と定義しています。
この270万戸とその予備軍の所有者の課題を解決することが根幹となる事業目的であると和田さんはおっしゃっていました。100件以上の空き家所有者からの問い合わせを対話のうえ分析した結果、空き家所有者には事前課題段階と不動産課題段階の2段階の課題があると指摘します。
権利関係がはっきりしなかったり、まずは片付けが必要だったり、いきなり売却や賃貸するのは躊躇してしまうなど、空き家所有者にはそれぞれ個別の事情や背景、思いがあります。流通させるかどうかは一旦置いておいて、事前課題段階から第三者が時間と手間をかけて的確なサポートを提供していくことが空き家利活用に向けて遠いようで近道です。
事前課題段階の課題が解決した結果、空き家を利活用しないという選択になることももちろんあり得ます。地道に長い目で空き家所有者の課題に向き合い、空き家所有者の納得を得ることが重要だと考えます。
事前課題段階の空き家所有者へのサポート
北海道栗山町の空き家数は約270戸ですが空き家バンクには2件しか登録されていません(2021.11.12時点)。この結果から言えるのは、空き家を誰かに売ろう又は貸そうという前向きな空き家所有者がとても珍しく、少ないということです。このことからも事前課題段階の空き家所有者へのサポートが必要であることがわかります。
空き家活用株式会社とかねてから空き家の利活用に取り組んできた世田谷区とが官民協働により「せたがや空き家活用ナビ」を開設するとしています。空活会議2021の質疑応答で記者からせたがや空き家活用ナビと空き家バンクとの違いは何かと質問に対し和田さんは「空き家バンクは売る又は貸す意思決定をした後の空き家が掲載されているが、せたがや空き家活用ナビは売る又は貸す意思決定をする前から相談に乗れるという違いがある」と話されていました。
登録後は空き家活用のスタッフが売買や賃貸など具体的な処分方針の相談にも応じる。区はこれまでも空き家所有者の相談を受け付けていたが、個別対応にとどまり成約にいたる事例も少なかった。保坂展人区長は「(デジタル活用により)より多くの空き家の利活用が進むのではないか」と期待する。
世田谷区、空き家活用でスタートアップと連携: 日本経済新聞
「#街ごとホテル計画」という夢に向かって
2016年から北海道栗山町で町おこしに取り組むバービーさん*2が空き家を利活用して実現したい夢は「#街ごとホテル計画」です。まち全体を一つのホテルと見立てるという取組はイタリアの「アルベルゴ・ディフーゾ」や谷中の「まちやどHANARE」などが参考になります。食事や入浴、お買い物など一つの建物で完結するのではなく、まちに暮らすように泊まることができることが大きな魅力です。
ずっと個人で動いてきて、限界感じてたところでした。
— バービー (@Barbie_Babiro) October 27, 2021
これでやっと一歩進みそう!!!#街ごとホテル計画 https://t.co/6p6KBc8RQL
幼馴染の空き家(住居付きの土地)を50万円で買って、その空き家を150万円かけて解体したというバービーさん。空き地(更地になったバービーさん所有の土地)で事業やお店を始めたい方を募集されています。
#栗山町ワクワクプロジェクト 新展開です!!
— バービー (@Barbie_Babiro) October 27, 2021
①栗山町(空き家を壊して更地にしたけどもてあましてる私の土地)で事業やお店を始めたい方
②栗山町に未活用のおうちをお持ちの方
いらっしゃいませんか?
お問い合わせはこちらまで、お願い致します。https://t.co/RRggDXK0LP pic.twitter.com/mKjc7lfvWH
まちの自然や文化、歴史を再発見し編集することでまちのポテンシャルを引き出し、まちの価値を高めるバービーさんたちの取組に注目です。
私が町おこしをしたいと考えたのは、このままでは町が衰退してしまうからというネガティブな理由だけではありません。栗山町には観光名所はなくても、広大な土地や美しい自然がありますし、知名度は低いかもしれないけれど、おいしい食べ物も多くあります。うまくブランディングができれば、きっと町を盛り上げることができると考えました。これは、私が栗山町を出て東京に住んだからこそ気付けたことです。確かに地元の将来に不安はありますが、私はもっと希望を持って町おこしをしたいと思っています。
お笑い芸人・バービーさんが目の当たりにした、地方創生のリアル | ウェブ電通報
*1:賃貸用や売却用、別荘などを合わせた500万戸は流通している。
*2:毎週土曜日13:00〜14:55放送のTBSラジオ「週末ノオト」はとてもおもしろい。