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空き家や別荘など非居住住宅に対する課税の動き

非居住住宅の所有者に対する新税の創設を提言

日経電子版の記事によると、京都市が設置している有識者会議が空き家や別荘など「非居住住宅」の所有者に対する新税の創設を市に提言する答申案をまとめたことが伝えられています。

答申案では財源確保のほか、新税は子育て世代が市外に流出している現状に歯止めをかけることに期待。別荘税は静岡県熱海市で先例があるが、大都市での導入は初めてだという。
京都市、「別荘税」で答申案: 日本経済新聞

30〜40代の転出超過によるまちの空洞化の発生

こちらの有識者会議、すなわち「京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会」第5回検討委員会の資料の中で答申案の概要が公開されています。

下の図を見ると一目瞭然ですが30〜40代くらいの子育て世代が京都市外へ転出超過であることが示されています。消費や生産の中心となる世代が抜けがちになると、地域経済の停滞や税収の減少、地域コミュニティの断絶が懸念されます。

京都市の現状>人口動態(出典:第5回京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会>(資料5-1)答申(案)概要版(見え消し版)P.1)

京都市でも空き家は多いです*1。まちの空洞化を防ぎ地域経済を回し、税収を安定させ、地域コミュニティを育てていくために、空き家や別荘など非居住住宅の利活用と予防を進めることには社会的な意義があります。

非居住住宅の存在が若い世代や子育て世代の定住を阻んでいる

非居住住宅が流通し、若い世代や子育て世代へと循環していけば、就職やマイホーム購入時に市外へ転出してしまうということを避けることができます。若い世代や子育て世代が仕事を得て可処分所得を高めていき旺盛に消費をすれば、地域経済の維持拡大や税収の増加が見込めます。若い世代や子育て世代がまちに定住することで、防災など地域コミュニティを育てまちが培ってきた文化を引き継ぎ守ることにもつながります。

しかし、非居住住宅が存在が若い世代や子育て世代の定住を阻んでいるのが現状です。

京都市内の住宅街:2014年5月撮影

京都市内の住宅街:2014年5月撮影

非居住住宅の流通促進と予防が急務

この新税により想定される課税対象となる非居住住宅は約1.7万件、税収見込み額は約8〜20億円です。類似の税である熱海市の「別荘等所有税」を参考に税率を設定していくそうです。

持続可能なまちづくりを実現するために非居住住宅の流通促進や予防が急務です。

*1:2018年における京都市の空き家数は106,000戸、空き家率は12.9%。