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神戸市が2021年度から空き家への固定資産税の税制優遇を除外へ

普通の空き家も税制優遇除外の対象に

 神戸市が2021年度から空き家にも適用されていた固定資産税の税制優遇を除外する、とニュースになっています。この税制優遇については空き家対策特別措置法による特定空き家に指定され、さらに勧告を受けなければ適用が除外されることはありませんでしたので、今回の神戸市の動きは一歩踏み込んだ空き家対策と言えます。

神戸市は老朽化が目立つ空き家について、固定資産税の税優遇を2021年度から本格的に廃止する。長年放置され地域の景観を損なう建物については住宅と見なさず、所有者などに解体・修繕の意思がなければ「更地」と同様に固定資産税の支払いを求める。同様の取り組みは全国でも珍しい。
神戸市、空き家の税優遇を廃止 :日本経済新聞

 神戸市では9月から倒壊などのリスクの高い空き家の所有者に税制優遇除外についての通知を始めています。これにより、空き家の所有者は従来の3.5倍程度、固定資産税が増額となります。不動産の所有権は絶対的と言っていいほど守られているため、空き家の所有者自らの行動変容を働きかける施策が重要です。

市の担当者は「固定資産税が増額されることで所有者に行動を起こしていただけると考えた。通知をきっかけに、所有者と交渉を重ね、空き家の再利用や土地の利活用につなげていきたい」と述べた。
神戸市、空き家の税制優遇を廃止へ 来年度から(1/3ページ) - 産経ニュース

f:id:cbwinwin123:20201121171308p:plain(出典:神戸市、空き家の税制優遇を廃止へ 来年度から(1/3ページ) - 産経ニュース

人口減少、住宅余剰な社会に合った税制へ

 住宅が建っていれば土地の固定資産税を優遇するという税制はそもそも1973年に導入された制度です。あれから50年が経ち人口減少や空き家の増加が社会問題となるなど、社会情勢は大きく変化しています。非正規雇用者の比率が4割近くに増え、トヨタの社長が「終身雇用を守るのは難しい」と発言するなど、35年もの長期に渡ってローンを組み住宅を所有することの必然性は限りなく薄らいでいます。

固定資産税に「住宅用地特例」が導入されたのは1973年のことだ。この特例では、「住宅」を建てる際、200平方メートル以下の敷地なら、固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1に軽減される(200平方メートル超はそれぞれ3分の1と3分の2)とした。当時は、国民がこぞってマイホームを持ちたいと思った時代であり、政府がその後押しをした形となった。
老朽や損傷が進む「空き家」をどうする? 神戸市の取り組み | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

まちのために空き家を動かす

 現時点では近隣に悪影響を及ぼしていないとしても、長年空き家状態になることで所有者の高齢化と建物の老朽化は進行するなど、リスクは高まっていきます。利用の当てが無い空き家については早い段階から行政なり外部からの働きかけにより、活用に向けて方向転換していくことがまちや地域社会の持続可能性にとって大切になってきます。